気にさわる会話、というのが誰にでもあると思う。
昨日、まるで真夏の日差しの中で、中央線武蔵境駅前のスターバックスのテラスでドリップコーヒーのショートを飲んでいたときのことだった。
隣のテーブルの男二人の会話が、勝手に耳に飛び込んできた。
二人のうちの一人の声が規格外に大きかったので、耳に入ってきてしまったのである。
そして、それが気にさわった。
「今日は、肉、なにを食おうか」
おそらく、お二人は仲良しで、頻繁に一緒にメシを食いにいっているのだろう、と推測した。
声のトーンが、仲間意識独特の馴れ馴れしさを伴っていたからだ。
「4日続きで、焼き肉はどうだ」と相方が答えた。
それに対して、声のでかい男が「いいね」と答えて、メニューは決まった。
メニューが決まったあとで、声のでかい男「A」が、声のトーンをさらに上げて言った。
「肉だけでいいからな。野菜なんてのは、軟弱なやつが食べるもんだから」
こういうご意見を持ったお方は、以外と多い。
そして、なにが根拠か知らないが、「俺は肉食系だからよ」と話をつなぐのだ。
肉しか食わないから肉食系?
そのまんまですね。
しかし、私はこの種の会話を聞いて、いつも思うのだ。
彼はきっと、子どもの頃からママに、こんなことを言っていたのだと思う。
「ボク、ピーマン食べられないの!」
「ニンジンも大っ嫌い!」
「シイタケなんて、見るのも嫌!」
それに対して、ママは毎回「いいのよ、ボク。ピーマン食べなくても大きくなれるから」と励ます。
もちろん、大きくなれるだろう。
しかし、その結果、彼は大人になってから、一生、嫌いなものにチャレンジできない「軟弱もの」になってしまったのである。
肉を食うことを、まるで英雄の所行のように転嫁させ、野菜を食えないことの言い訳にしているのだ。
そして、でかい声で言う。
「ナスなんか、人が食う色してねえだろ!」
その言葉を、野菜農家の人の前で大きな声で言えるのなら、私は彼を認めてもいいと思う。
そして、声のでかい男「A」は、こんなことも言ったのだ。
「最近の俺は、地震予知の能力があるんじゃないかな?」
普段は感じないが、寝ていて、背中がムズムズすることがあるのだという。
それを感じると、3日以内に、世界でマグニチュード4以上の地震が、必ず発生していると自慢していた。
それを聞いて、彼の相方「B」は、「おお、すごいな」と彼を讃えた。
いま、地球の地下活動は、かなり活発化しているように思える。
マグニチュード4程度の地震なら、日本のどこかで週に数回起きているのではないか。
「でもなあ」と、声のでかい男「A」が言う。
「どこで起きるかは、わからないんだよ。ただ、背中に違和感を感じたときは、確実に起きるんだ」
「それって、凄いことだよ」と相方「B」。
そうですか。
私は、ほぼ毎日、世界のどこかで、マグニチュード4クラスの地震は起きていると思うのですが…。
それを予知と言ったら、今日、地球のどこかで竜巻が起きます、というのも「立派な予知」になるだろうから、私が、竜巻くるかもね~、と言ったら、それも予知が当たったことになるのだろうか。
つまり、誰もが「予言者」、ということなのかもしれない。
そして、最後の会話。
相方「B」が、ドリンクのストローを左手の小指を立てて飲みながら言った。
「俺、10歳年の離れた高校1年の妹の風呂場を突然のぞいたことがあったんだよ」
声のでかい男「A」が、その話に、すぐに食いついた。
「すげえな。やるな、おまえ! 勇者だな!」
なにをもって「やるな」というのか、疑問に思ったが、その後の会話が、私の左耳に勝手に入ってきた(右耳は聴力がないので)。
「妹は、ビックリした顔で、俺を見ていたけど、その顔が可愛かったんだな。でも、次からは、風呂のドアの鍵をかけたから、見れなくなったが、たまに鍵をかけ忘れることがあるんだよ。そのときは、またいきなりドアを開けるんだ。妹の驚いた顔は何度見ても可愛いな。最近は、鍵をかけ忘れることが少なくなったが、たまにあったときは、嬉しいな」
ハッハッハ、と手を叩いて喜ぶ、声のでかい男「A」。
「おまえ、ヒーローだよ!」
どんなヒーローだよ!
その話を聞いて思った。
この二人は、今日たまたま低レベルの会話をしたわけではないだろう。
おそらく会うたびに、このクォリティの会話をしているのだと思う。
心を許し合っている友だちだからこそ、できる会話だというのは、わかる。
バカ話ができるのが友だちだ、ということもわかる。
ただ、低レベルなことには、変わりがない。
おそらく、私も友人とする会話は、はたから見れば低レベルに思われているのかもしれない。
たまにベッキーさんやローラさんの太ももの美しさを絶賛する会話を友人とすることがあるが、その会話を他人が聞いたら、そのひとたちは「こいつ、エロ親父?」と眉をひそめていたのかもしれない。
ベッキーさんとローラさんの太ももは最強だが、「A」と「B」の会話を聞いて、私は、これから周囲に気を配りつつ、「低レベルの会話」をするベッキーだと肝に銘じた。
昨日、まるで真夏の日差しの中で、中央線武蔵境駅前のスターバックスのテラスでドリップコーヒーのショートを飲んでいたときのことだった。
隣のテーブルの男二人の会話が、勝手に耳に飛び込んできた。
二人のうちの一人の声が規格外に大きかったので、耳に入ってきてしまったのである。
そして、それが気にさわった。
「今日は、肉、なにを食おうか」
おそらく、お二人は仲良しで、頻繁に一緒にメシを食いにいっているのだろう、と推測した。
声のトーンが、仲間意識独特の馴れ馴れしさを伴っていたからだ。
「4日続きで、焼き肉はどうだ」と相方が答えた。
それに対して、声のでかい男が「いいね」と答えて、メニューは決まった。
メニューが決まったあとで、声のでかい男「A」が、声のトーンをさらに上げて言った。
「肉だけでいいからな。野菜なんてのは、軟弱なやつが食べるもんだから」
こういうご意見を持ったお方は、以外と多い。
そして、なにが根拠か知らないが、「俺は肉食系だからよ」と話をつなぐのだ。
肉しか食わないから肉食系?
そのまんまですね。
しかし、私はこの種の会話を聞いて、いつも思うのだ。
彼はきっと、子どもの頃からママに、こんなことを言っていたのだと思う。
「ボク、ピーマン食べられないの!」
「ニンジンも大っ嫌い!」
「シイタケなんて、見るのも嫌!」
それに対して、ママは毎回「いいのよ、ボク。ピーマン食べなくても大きくなれるから」と励ます。
もちろん、大きくなれるだろう。
しかし、その結果、彼は大人になってから、一生、嫌いなものにチャレンジできない「軟弱もの」になってしまったのである。
肉を食うことを、まるで英雄の所行のように転嫁させ、野菜を食えないことの言い訳にしているのだ。
そして、でかい声で言う。
「ナスなんか、人が食う色してねえだろ!」
その言葉を、野菜農家の人の前で大きな声で言えるのなら、私は彼を認めてもいいと思う。
そして、声のでかい男「A」は、こんなことも言ったのだ。
「最近の俺は、地震予知の能力があるんじゃないかな?」
普段は感じないが、寝ていて、背中がムズムズすることがあるのだという。
それを感じると、3日以内に、世界でマグニチュード4以上の地震が、必ず発生していると自慢していた。
それを聞いて、彼の相方「B」は、「おお、すごいな」と彼を讃えた。
いま、地球の地下活動は、かなり活発化しているように思える。
マグニチュード4程度の地震なら、日本のどこかで週に数回起きているのではないか。
「でもなあ」と、声のでかい男「A」が言う。
「どこで起きるかは、わからないんだよ。ただ、背中に違和感を感じたときは、確実に起きるんだ」
「それって、凄いことだよ」と相方「B」。
そうですか。
私は、ほぼ毎日、世界のどこかで、マグニチュード4クラスの地震は起きていると思うのですが…。
それを予知と言ったら、今日、地球のどこかで竜巻が起きます、というのも「立派な予知」になるだろうから、私が、竜巻くるかもね~、と言ったら、それも予知が当たったことになるのだろうか。
つまり、誰もが「予言者」、ということなのかもしれない。
そして、最後の会話。
相方「B」が、ドリンクのストローを左手の小指を立てて飲みながら言った。
「俺、10歳年の離れた高校1年の妹の風呂場を突然のぞいたことがあったんだよ」
声のでかい男「A」が、その話に、すぐに食いついた。
「すげえな。やるな、おまえ! 勇者だな!」
なにをもって「やるな」というのか、疑問に思ったが、その後の会話が、私の左耳に勝手に入ってきた(右耳は聴力がないので)。
「妹は、ビックリした顔で、俺を見ていたけど、その顔が可愛かったんだな。でも、次からは、風呂のドアの鍵をかけたから、見れなくなったが、たまに鍵をかけ忘れることがあるんだよ。そのときは、またいきなりドアを開けるんだ。妹の驚いた顔は何度見ても可愛いな。最近は、鍵をかけ忘れることが少なくなったが、たまにあったときは、嬉しいな」
ハッハッハ、と手を叩いて喜ぶ、声のでかい男「A」。
「おまえ、ヒーローだよ!」
どんなヒーローだよ!
その話を聞いて思った。
この二人は、今日たまたま低レベルの会話をしたわけではないだろう。
おそらく会うたびに、このクォリティの会話をしているのだと思う。
心を許し合っている友だちだからこそ、できる会話だというのは、わかる。
バカ話ができるのが友だちだ、ということもわかる。
ただ、低レベルなことには、変わりがない。
おそらく、私も友人とする会話は、はたから見れば低レベルに思われているのかもしれない。
たまにベッキーさんやローラさんの太ももの美しさを絶賛する会話を友人とすることがあるが、その会話を他人が聞いたら、そのひとたちは「こいつ、エロ親父?」と眉をひそめていたのかもしれない。
ベッキーさんとローラさんの太ももは最強だが、「A」と「B」の会話を聞いて、私は、これから周囲に気を配りつつ、「低レベルの会話」をするベッキーだと肝に銘じた。