富士山の世界文化遺産登録が決定した翌23日、24日と、中日新聞朝刊広告特集で記事を
書きました。
富士山の世界遺産に関する取材も、かれこれ10年ぐらいになります。
これまでゴミの問題や山麓が開発され過ぎていて世界遺産になれなかったと思われているようですが、最初から文化遺産を目指す、つまり自然環境ではなく、信仰や芸術の源泉としてプレゼンしていけば、すんなり登録されたのかもしれません。
そもそも自然遺産の国内候補にもなれなかった理由は、ゴミや開発ばかりでなく、火山としての特徴がキリマンジャロやハワイ活火山など他の世界自然遺産と比べて乏しく、絶滅危惧種の生育地でもなかったから。つまり、山そのものの魅力はワールドクラスじゃないって“そもそも論”だったんですね。
しかし、信仰や芸術の源泉という観点で見たら、唯一無二の存在だし、西洋美術にも多大な影響を与えている。取材の過程でも、戦略を間違えなければ、もっと早くすんなり登録されたのでは、という声をよく聞きました。
そうはいっても文化遺産は候補が多く、登録の基準も年々厳しくなっています。構成資産候補の富士山周辺の各浅間神社は、ふだんは地元の氏子さんたちが細々守っているという感じで、世界から参拝客を受け入るという体制にはほど遠い感じがしたし、三保の松原はテトラポットと風景に似つかわしくない観光土産店&ゴミの散乱がネック。
昨年、イコモスの調査員が現地にやってきたとき、どんなふうに思ったのか、やっぱり気になりました。イコモスというのは遺跡調査や保存に関する専門機関ですから、対象となる資産が、地元で、価値ある遺産としてちゃんと認識され、保存されているかどうか厳しくチェックされると思ったからです。
今年の1月1日元日は、家族で三保の松原と久能山東照宮をお参りしました。三保の松原を家族で歩くのは、私が小学校へ上がる前以来。海岸のゴミやテトラポットは相変わらず気になりましたが、晴天の海原と松林の向こうに広がる富士山は、歓声を上げてしまうほど美しかった。素直に、「世界遺産になってほしい」と心から湧き上がってくるのを感じました。
22日登録決定の日は、朝から富士~富士宮周辺の富士山関連グッズを取材してまわり、12時から富士宮市役所の登録記念イベントに参加。市内4蔵の地酒(高砂、富士正、白糸、富士錦)をぜいたくにブレンドした樽酒で乾杯~!の瞬間を写真撮り。
夕方から静岡のFM-Hi スタジオで上川陽子さんの番組収録があったため、登録決定の瞬間には立ち会えませんでしたが、陽子さんにはトイレットペーパーのお土産をしっかり持ち帰りました(笑)。
紆余曲折の登録までの道のりを、今日(23日)の中日新聞朝刊で紹介しました。新聞をご覧になれない方は以下をお読みくださいませ。
祝!富士山、世界文化遺産登録。<o:p></o:p>
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ROAD TO THE WORLD
HERITAGE<o:p></o:p>
世界遺産への道のりを振り返る<o:p></o:p>
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日本の象徴・富士山が、ようやく世界文化遺産に登録された。日本がユネスコ世界遺産条約の締結国となった平成4年(1992)から始まった登録への動き。20年余の道のりを、登山風に振り返ってみよう。(取材協力・写真提供/静岡県世界遺産推進課)<o:p></o:p>
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0合目/民間で署名活動スタート<o:p></o:p>
平成4年(1992)、日本が世界遺産条約の締結国になったこの年から、自然保護団体等を中心に、登録を目指す動きが始まる。民間主導で「富士山を世界遺産とする連絡協議会」が発足し、大規模な署名運動を実施。<o:p></o:p>
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1合目/国に推薦を請願<o:p></o:p>
平成6年(1994)、「富士山を世界遺産とする連絡協議会」が240万人余の署名を添えて衆参両院議長へ推薦を請願。陳情を目的とした静岡・山梨両県の文化・自然保護団体による「富士山を考える会」が発足し、続けて衆参両院議長へ誓願。両院において「世界遺産リストへの登録を目指し、富士山の保全対策を検討するなど積極的な取り組みを行うこと」が採択された。<o:p></o:p>
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1・5合目/環境省の取り組みスタート<o:p></o:p>
平成7年(1995)、環境省は国会採択を受け、富士山地域の自然環境保護と適正な利用を推進する具体策を協議するため、「富士箱根伊豆国立公園富士山地域環境保全対策協議会」を設置。<o:p></o:p>
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2合目/世界文化遺産の可能性<o:p></o:p>
平成12年(2000)、国は「文化財保護審議会世界遺産条約特別委員会」を設置。世界文化遺産候補として暫定リストへ登載する国内候補地を審議し、『平泉』『石見銀山遺跡』『紀伊山地の霊場と参詣道』を選出。富士山は「顕著な価値を有する文化的景観として評価できると考えられる。今後、多角的・総合的な調査研究を深め、その価値を守るための国民の理解と協力が高まることを期待し、できるだけ早期に推薦できるよう強く要望する」とのコメントを受けた。<o:p></o:p>
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3合目/世界自然遺産候補から外れる<o:p></o:p>
平成15年(2003)、環境省と林野庁が共同で「世界自然遺産候補に関する検討会」を実施。富士山を含む国内19ヶ所について詳細な検討を行い、『知床』『小笠原諸島』『トカラ・奄美・琉球列島』の暫定リストへの推薦が決まった。<o:p></o:p>
富士山が選ばれなかった理由は以下の通り。<o:p></o:p>
○ 3千mを超える単独の成層火山だが、多様な火山タイプ(特徴)がなく、絶滅危惧種の生息域でもなく、世界遺産基準の条件に欠ける。<o:p></o:p>
○ すでに世界遺産に登録されているキリマンジャロ、ハワイ火山と比較すると見劣りする。<o:p></o:p>
○ 利用されすぎていることにより、改変が進んでいる。<o:p></o:p>
○ ゴミ・し尿処理対策など管理体制の確立が必要。<o:p></o:p>
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3・5合目/『富士山を世界遺産にする国民会議』発足<o:p></o:p>
平成17年(2005)、中曽根康弘元首相を会長に、静岡・山梨両県知事を特別顧問としたNPO「富士山を世界遺産にする国民会議」が発足。両県連名で文科省・文化庁に対し、要望書を提出。文化財としての保護管理の指針を示す「特別名勝富士山保存管理計画」がスタート。県と地元市町に「静岡県世界文化遺産登録推進協議会」設置。静岡・山梨両県で「両県合同会議」発足。<o:p></o:p>
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4合目/県庁内に担当室設置、官民足並み揃う<o:p></o:p>