杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

吟醸王国しずおかパイロット版試写IN大阪高槻のお知らせ

2011-07-11 09:23:57 | 吟醸王国しずおか

 吟醸王国しずおか映像製作委員会の斗瓶会員で、この4月に掛川から大阪へ転勤になった清水吉明さんが、大阪・高槻で『吟醸王国しずおかパイロット版』試写会を企画してくれました。

・・・試写の機会を必死に作ろうと思っても、時間ばかりがむなしく過ぎ、ひとりで焦っていたときに、静岡を離れたサポーターからの温かいエール。本当に感激しました。しかも関西では初めてのパイロット版試写です。静岡酒ファンがどれくらいいるのかドキドキしますが、銘柄や地域云々よりも、日本酒ファンーひいては日本のモノづくりにシンパシーを感じている方に何かを感じてもらえる映像だ、と信じて作っていますので、しかと観てもらおうと思います。

 

 当日は高槻でお祭りがあるそうです。現地まで遊びに行けるという方、関西に親戚や友人がいるよ~という方は、ぜひお誘いいただき、足をお運びくださいまし(といっても、会場は30席定員・先着順のようですので、お早めにお申し込みください)。

 

大阪・高槻 『日本酒を楽しむ会 番外編 銘酒 祭の陣(『吟醸王国しずおかパイロット版上映付き)』

 

◇日時 8月6日(土) 18時~空調が止まるまで?

 

◇場所 自然食レストラン「マサラバザール」
 JR高槻駅南側のグリーンプラザ1号館地下の「自然館」のお店の奥です。JRの改札を出て右に進み、松坂屋を正面に見 て左のビルです。食材は安全安心なものを選び、手作りで美味しいものを安く提供してくれます(清水さんより)。

 

◇料金 おつまみ一品料理を100円~、豪華料理1500円(豪華料理は要予約)内容はお楽しみ。日本酒は60ml200円~。静岡の銘柄もいくつかお持ちする予定です。

 

◇申込  マサラバザールへ。TEL 072-681-3445   8月1日〆切りです(先着30人です)。


POWER TO THE 東北!北関東!

2011-06-23 13:39:00 | 吟醸王国しずおか

 22日(水)は夏至にふさわしく、夏本番を思わせる暑さでした。最近、市内は自転車で動いているんですが、帽子に綿マフラーにアームカバーでUVガードしてると、頭皮や首や二の腕がジドーッと湿ってきてこの上なく不快・・・汗をかくのはダイエット的には◎ですけどね。とにかく夏本番まであと●キロ痩せないと、夏服が着れないぞ!と自分を奮い立たせています。

 

 

 前回の記事で紹介したとおり、昨日は午後から渋谷シダックスホールで開催された地酒試飲イベント『POWER TO THE 東北!北関東!』の2日目、被災地を含む東北・北関東の酒を味わってきました。東京は31℃ぐらいだったみたいですが、渋谷のビル群を歩くと去年の猛暑を思わせる暑さで、会場に到着したとたん、一番入口に近いブースの『豊盃』(青森)さんで仕込み水をがぶ飲みさせてもらっちゃいました。

 当ブログでも紹介した宮城県石巻の『日高見』、同じく石巻の『墨廼江』ほか、青森~栃木の蔵元有志31社が参加され、お客さんは前日をしのぐ400人近い人々で大賑わいでした。しかも若い人が多い!平日の昼間っから400人の若者が、料理やつまみが一切ない、酒瓶だけが並んだ会場で、ひたすら日本酒を飲む光景が、不思議であり頼もしくもありました。

 

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 前日参加の白隠正宗(沼津)の蔵元・高嶋一孝さんが、大学の友人だという山和(宮城)のブースにいたので、「今日のお客さんって何の仕事してる人?料飲店さんばかりじゃないでしょう?」と訊いたら、「このために会社を休んだという人が多いみたいですよ」とのこと。・・・ここに来ている人は、飲酒人口の中のほんの一握りかもしれないけど、日本酒復権の確かな手応えを感じずにはいられませんでした。

 

 

 まずは少しテイスティングの印象を。前日も実感したんですが、今の日本酒の味の傾向は、あきらかに高酸タイプ。そして原料米の種類も増えて、各地で開発改良されたご当地米を積極的に使っているようです。

 使い手が、どこまでその米の特徴を把握し、精米歩合を決め、酸度(=味の濃淡のめやす)や日本酒度(=甘辛のめやす)を計算して造っているのかわかりませんが、私が信頼する蔵元は、「こういう酒を造りたい」というビジョンや設計図がきちんとある。

 そういう酒はお代わりしても呑み飽きせず、地の食材にもうまく合うから、その設計図は正しいんだと信頼できる。静岡は低酸タイプが多いから、造り手が込めた繊細で絶妙なバランスをよくよく吟味してみないとわからない。・・・特徴がわかりやすい酒や1杯で満足したい酒を求める人には、素っ気なく感じるかもしれませんが、もともと日本人の味覚は外国人に比べて繊細で、素材の持ち味や旬を感じ取る感性が高いのですから、静岡酒のような酒の価値も必ず理解されると思っています。『喜久醉』の青島孝さんが、『吟醸王国しずおかパイロット版』のラストメッセージで、「静岡の酒は、酒の王道を行く」と語ったとおりです。

 

 

 今回、試飲した中で、低酸(1・2)で、地元酒造好適米を22%まで精米した酒がありました。他とは違うかなと期待したんですが、高カプロン酸系酵母を使っていたせいか、香りが立ち過ぎというか、くど過ぎというのか、香りでぜ~んぶ持ってかれて、高精白した意味がイマイチ伝わってこなかった。・・・蔵元には「22%まで磨くには精米機を何時間回したんですか?」と他愛もないことを訊いてしまいましたが(苦笑)。

 

 

 

 会場で初めて呑んで自分的に「お代りできる!」と思った銘柄をいくつかメモしておきます。

 

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 高嶋さんの友人の蔵『山和・純米吟醸』(宮城)は、酸度は1・7ぐらいあったけど、後口は重くなく、軽い渋みが残って嫌味がなく、静岡っぽい“さばけ方”だなと嬉しくなりました。今回の取り扱い店は坂戸屋商店味ノマチダヤ(中野)です。

 

 

 

 『磐城壽・純米』(福島) は原料米が「夢の香」、酵母は福島の「小川酵母」で酸度1・4。とても素直で味が丸く、まとまっていました。

 蔵元の鈴木酒造店さんは福島原発から近い浪江町にあり、避難を強いられ、被災した蔵を放置せざるをえない、最も厳しい状況にあるP1000003
蔵元のお一人でした。

 ブースの酒は小売店に残っていた21BYのもの。もともと生産量が500石程度の小蔵だったため、今は「売る酒が全くない」状態とのことでした。「小さな蔵なんで小回りが利くというのか、今は別の土地を探してなんとか酒造を継続できるよう頑張ってます」と気丈に語っておられました。・・・こういう蔵元さんを、遠くからでも支援できる手段はないものかと本当に切なくなります。取り扱いは味ノマチダヤ(中野)です。

 

 

 

 『大那・純米大吟醸』(栃木) は原料米が那須産五百万石45%精米、酵母は「とちぎ酵母」、酸度1・6。五百万石でも、山田錦並みにきれいに仕上P1000006がっていて、お代わりしたくなる一品でした。

 「ダイナって素敵な酒名ですね」と訊いたら「大いなる那須という意味ですが、響きが洋風っぽくていいでしょう」と蔵元さん。「ダイナをもう一杯」って言い易そうでイイですよね!取り扱い店は坂戸屋商店(川崎)味ノマチダヤ(中野)です。

 

 

 

 被災した蔵元さんは、ぶ厚い消費パワーと直に触れたことで、少しでも前向きになってくれれば・・・と思います。中にはあまりにも状況が酷く、何もできず、こういう場所にも来れない蔵元さんもいらっしゃるだろうし、今回は首都圏の有力地酒専門店の共同開催ですから、そういう専門店と取引関係のない蔵元さんには(・・・地元消費率の高い地域の酒蔵はとくに)直接声は届かないかもしれません。

 

 でも日本酒は下支えする消費者がちゃんといる、若い世代も育っている、と伝えたいですね。ファンがこんな熱くなれるアルコール飲料って、他にないって、改めて感動しました。

 

 主催された酒販店のみなさま、遠路お集まりになった蔵元のみなさま、本当にお疲れさまでした。


志太美酒の価値を世界へ!

2011-06-16 10:34:45 | 吟醸王国しずおか

 1週間経ってしまいましたが、6月9日(木)、恒例の志太平野美酒物語(於・焼津松風閣)が開かれました。今年で19回目を数える日本酒党の大事な年中行事です。・・・思えば私も19回、懲りずに出没し、少しずつ若返り&女性客の増量ぶりを眺め、静岡酒の市場の広がりを実感し続けてきました。

 

 今年は久しぶりに一参加者として心ゆくまで試飲を楽しませていただきました。また『吟醸王国しずおか』の制作に何かとお力添えをいただいた方々をお招きすることもできました。実行委員会のみなさま、本当にありがとうございました!私はカメラを持たず、ひたすら試飲とおしゃべりに没頭してしまったので、会場の様子はこちらをご覧ください。

 

 東京からは、吟醸王国しずおかの『Web酒場・しずおか吟醸伝』にメッセージを寄せてくださった元日本銀行静岡支店長の武藤清さん、吟醸伝に、静岡県酒造組合元専務理事の故・栗田覚一郎さんの思い出をつづってくれた牧之原の菓子処・扇子家の高橋克壽さん(栗田さんの甥)をお招きすることもでき、OFF会のような気分で呑めました。

 

 また、志太平野美酒物語を毎年楽しみに参加してくださった駿河蒔絵師の故・中條峰雄先生の奥さま良枝さんと、今年5月の松坂屋静岡店の個展で酒林の染色画を出品された松井妙子先生にも来ていただけました。

 

 吟醸王国しずおかのカメラマン成岡正之さんは、(パイロット版撮影の3年前とは)雰囲気の変わった会場内を新たに撮りおろしました。こちらからお願いしたわけではないのに、自主的にカメラを持ってきてくれたのです。

 

 成岡さんのお誘いで本プロジェクトに参加することになった映像作家・脇田敏靖さんにも東京からわざわざ来ていただきました。初・志太美酒体験に目を白黒させながら、日本酒ファンのパワーの凄さを実感されているようでした。ご本人は無類の日本酒好き。こちらが誘導せずとも、『初亀』の時間限定酒の列にしっかり並んでいました
 

 

 脇田さんは海外で映像の仕事を手掛け、JAPANに注がれる眼が熱く複雑になっていることを体感し、『吟醸王国しずおか』の世界観にシンパシーを感じてくださって「ぜひ海外へ出せる映像作品にすべき」と協力を申し出てくれた方です。こんな奇特な人、こちらから意図して探そうと思っても、なかなか見つかりません。時間がかかっても慌てず止まらず志を失わず、地道に努力を続けていれば、こういうご縁に恵まれるんだなあとしみじみ嬉しくなりました。

 彼のことはまた改めてじっくりご紹介します。

 

 

 

 

 志太平野美酒物語の開催から1週間経った昨日(15日)、ふたたび焼津・松風閣での宴席に招かれ、久しぶりに『吟醸王国しずおかパイロット版』の上映を行いました。島田信用金庫の焼津地区の顧客で構成された“焼津島信会”定時総会の講演会で映像を流しながら地酒のお話をさせていただいたのです。

 

 志太地区のお膝元で活動される実業家のみなさんですから、そこそこ興味を持っていただけるのでは、と、期待していましたが、終了後は思いのほか、いろいろな方に声をかけていただき、激励され、本当に有難かったです!

 

 

 映像には南部杜氏の多田信男さん(磯自慢)、能登杜氏の故・波瀬正吉さん(開運)、志太杜氏の伝統を継承しようとする青島孝さん(喜久醉)といった職人たちが登場するので、酒造り技能者の地域別の違い等を、志太地域の歴史にからめてお話したところ、「うちの会社(鰹節製造)にも昔、冬場に蔵へ働きに行っていた鰹節職人がいた」なんてご当地ネタを教えてくださった方も。

 また、静岡酵母の力によって吟醸酒の品質が向上したというお話には「うちの会社(食品バイオ)もビールメーカーと技術提携している。スゴイ商品を開発中なんだ」なんて嬉しそうに反応してくださった方も。観光関連の方からは「静岡空港利用者をこの地へ呼び込むのに、こういう映像があると助かる」とも。

 

 ・・・今更ながら、ですが、志太地域のモノづくりにはとてつもないポテンシャルがあって、あまり知られていないけど、ホントに世界基準の技術と技能がある・・・!と実感させられました。

 

 

 そんな地元の方々から、「世界に出す価値のある映像だ」と背中を押していただきました。・・・手前味噌で恐縮ですが、震災の後、初めて通しで観たパイロット版に、自分でウルウルしてしまいました(苦笑)。

 地元の方々に褒めていただいたのはこの上ない励みですが、今のご時世でどんな支援をお願いしたらいいのか私自身、整理し切れていない段階・・・。それでも、成岡さんや脇田さんという映像のプロが、このタイミングで“使命感”を持って取り組んでくれるようになったということは、酒のように一定の熟成期間を経て少しずつ“作品”に近づいてきているのかなと手応えを感じているところです。

 彼らのような世界基準で映像の仕事をしているプロが、自分の作品のつもりで本気で取り組んでいるということも、ちゃんと伝えたいと思っています。

 

 まだまだ地元でも知らない人が多い地酒の価値と、『吟醸王国しずおか』制作プロジェクト。どんな小さな会場でもDVDが再生できさえすれば駆けつけますので、よろしくお願いいたします!

 


静岡酵母とさくや姫

2011-02-20 11:13:08 | 吟醸王国しずおか

 今朝(20日)、起きて静岡新聞朝刊を開いたら、上野にやってくるパンダちゃんの写真と同じ紙面に、自分が酒を飲んでいる写真がドカンと出ていて超ビックリ!!なんだかプライベートタイムが県下一円に晒されたみたいで恥ずかしかったぁ・・・

 

 もちろん隠し撮りされたわけじゃなくて、1月31日から2月5日まで静岡新聞夕刊1面に連載された『静岡酵母物語』を執筆した記者に取材協力したもの。

 同連載が始まる前、いろいろ情報提供した際に、「静岡酵母のお話は25年以上前の“川上のてっぺん”の出来事。25年経てその成果が川下にどう活かされたのか、その視点を欠かさないでほしい」とお願いし、静岡酵母の力によって品質を向上させた蔵元の努力、静岡酵母の成功で県の技術支援に期待がかかり、酒米誉富士の誕生を導いたこと、川上(造り手)の努力を支えた川下(売り手・飲み手)あってこその『吟醸王国』だと僭越ながらアドバイスさせてもらいました。

 

 

 川下の活動を象徴するような写真が撮りたいという相談を受け、静岡市内の地酒専門の飲食店を何軒か紹介した中で、記者が選んだのが『狸の穴』で、取材当日はご主人に呼ばれて私もサクラでノコノコうかがったのです。

 ところが後日、夕刊連載シリーズでは『川下』の話そのものがカットされたと聞き、狸の穴に申し訳ないなぁと思っていたところ、記者さんも「紙面を確保して必ず載せますからっ」と発奮してくれて、静岡deはしご酒ほか、県内各地の『川下』の活動を紹介し、記事にしていただいたというわけです。

 

 

 新聞の取材では突発的なニュースが起きたりするとボツになるのが日常茶飯事なので、本当に記事になるのか、いつ載るのか、期待半分といったところでしたが、今朝、いきなり載っていて、フイを突かれた感じ(苦笑)。

 ・・・でも有難いですね、地酒の話題が幾度となくこうして取り上げられるって。広告料に換算したらとんでもない金額です。ひところの『川上』さんは取材協力してやった、ぐらいにしか思わない人も多かったけど、最近は広報の重要性を理解する人が増えました。日本酒の消費低迷に直面する『川下』さんにとっては、広報がどれだけ有難いか、言われなくてもよ~くわかってくださるでしょう。

 

 

 私は県の広報の仕事を手伝っているので、県という静岡で一番巨大な組織が、広報に本腰を入れて真剣に取り組んでいる様子が手に取るようにわかります。

 県の各部署では本当に時代を見据えた価値ある事業をたくさん手掛けているのに、県民が知らない→知らないから『お役所は何やってんだ』批判を受ける→税金で事業を行う以上、批判の声は無視できない→十分な成果が出ないうちに見直し(事業仕分けが始まってからとくに)という悪循環に陥る。

 でも、ちょっと待ってほしい。事業そのものを見直す前に、事業対象に周知徹底されているか、県民の理解が得られるような広報はされているか、検証してほしい。広報予算というのはケチってはいけない!!と声を大にして言いたいです・・・なにせ、こっちは生活かかってますからね(苦笑)。

 

 

 

 

 さて、県の事業といえば、今週は『富士見の祭典』というのが開かれていますね。私は広報誌でPR記事を書いただけで、直接事業にはタッチしていませんが、2月23日(水)の“富士山の日”には様々な記念行事が予定されているようです。

 

 

 その中のひとつ・県男女共同参画課が今年度手掛けた『さくや姫プロジェクト』という県内で活躍する女性のデータバンク事業で、記念のシンポジウム・富士見の祭典~さくやな話が23日(水)14時から、静岡県男女共同参画センターあざれあ(静岡市駿河区馬渕)で開かれます(詳しくはこちら)。

 

 

 この女性データバンク(ウエブサイト)は、おつきあいのあるデザイン会社レ・サンクさんが制作を請け負っているので、センスの良いサイトに仕上がっています。イマドキの、いろ~んな職業の女性がたくさん紹介されていて、各人のインタビュー記事も読み応え十分です。何より写真が、モデル撮影みたいに美しく撮っているんですね。

 ライター&カメラマンのugaさんは、ニューズウィーク日本版編集部にいた方で、彼女のスキルが存分に生かされているという意味では、さくや姫=ugaさん自身ではないかと思えるほど。

 

 

 実は私、この事業が始まった昨年8月、レ・サンクさんから(たぶん数合わせに)呼ばれてugaさんの取材を受けたんですね。最初レ・サンクさんから連絡があったときはライターとして取材するほうかと思ったら、取材される側だったので超ビックリ!!なんでも9月中旬のAPEC国際会議(男女共同参画部会)でサイトの動画デモをやることになり、サンプルとして20人ぐらいのデータを急いで作らなければならなくなったそうで、たいして実績もない私ですがレ・サンクさんのためと思い、恥ずかしながら協力させていただいた次第です。ugaさんには吟醸王国しずおかパイロット版の映像の一部を提供し、試写会の様子や、青島酒造さんに協力してもらって蔵や田んぼを取材する(格好だけの)動画を撮ってもらったりしたんです。

 しかしながら、自分よりも実績のあるライターさんは静岡にたくさんいるし、自分ごときが他の優秀な女性たちと肩を並べて紹介されるなんておごがましいと自覚していたので、これまで人には話してませんでした

 

 

 でも広報の価値を改めて考えると、恥ずかしいだの何だのと言ってられない、まだまだ資金の足りない『吟醸王国しずおか』のためを思ったら、ある程度媒体を選ぶにしても、広報の機会を存分に活かすべきではないか。何より私自身ではなく、私が伝えようとしている地酒の価値を発信する場として有効活用すべきじゃないかと腹をくくりました。

 裏方役であるライターが顔を晒すのは本意ではありませんが、さくや姫の私のページの写真は、ugaさんが、びっくりするほどカッコよく撮ってくれましたしね さすがプロ!

 

 

 そんなugaさんと、サイトに登場する女性何人かが、23日、まさにコノハナサクヤヒメを神とあがめる富士山の日に、パネルディスカッションを開くのです。私もまだ見たことのない、私の紹介動画も会場で観られるみたいです。APEC国際会議で晒されるのは(どーせ縁のない人が観るんだし)何とも思いませんが、地元公開は超ハズカシイ・・・

 

 

 23日のシンポジウム、それなりに告知はされていたと思うんですが、どうやら平日午後という日程がネックなのか、お席が余っているようですので、お時間がある方はぜひお越しください! 

 とくに女性を新しい戦力に考えておられる企業のマーケティングや企画開発担当の方、新たなネットワークを掘り起こそうとする方など、静岡に有能な女性がこんなにたくさんいる!って知るだけでも大きいと思います。

 

 『富士見の祭典~さくやな話』は、2月23日(水)14時から、静岡県男女共同参画センターあざれあ(静岡市駿河区馬渕)です(詳しくはこちら)。よろしくお願いします

  


清々しいニュース

2011-01-08 10:39:40 | 吟醸王国しずおか

 新年第1週目は、2~4日まで原稿執筆、5日に東京取材、6日に原稿執筆、7日は打ち合わせ・・・と、ふだんとまったく変わらないワークローテーションで、なんとも味気ないお正月でした。「屠蘇酒」についてあれこれウンチクを紹介しても(こちらをご参照を)、この1週間で酒を飲めたのは1日だけ。しかも半分お仕事がらみの新年会だったので、名刺交換やら賀詞交歓やら酒についての素人解説やらで、飲んだ気がしませんでした(苦笑)。

 

 

 そんな中でも、親しい人から明るいニュースをもらって、清々しい新年出足となりました。

 

 まず尊敬する山本起也監督が、いよいよ初の劇映画のメガホンをとることになり、2月からクランクインというお知らせ!『カミハテ商店』というタイトルで、1年がかりで創り上げたシナリオだそうです。

 

 『朝鮮通信使』の制作時、一緒に飲んで酔って「絶対に巨匠になってねっ いや、あなたは絶対なるっ そのときは私、アノ監督と飲んだことあるんだ~って自慢するから」とクダをまいたことを思い出しました。酒席での戯言ではなく、ホントにそうなるかも、と思うと、ゾクゾクします。映画ファンのみなさま、山本起也の名前を映画メディアの中で見つけたら、ぜひ“先物買い”するつもりで注目してくださいねっ

 

 

 

 その山本監督と、吟醸王国しずおか制作の相談をしていた頃、引き合わせたことのある『喜久醉』の青島孝さん出演の、WOWOWドキュメンタリー『銘酒誕生物語 岐阜・静岡杜氏秘伝の技を訪ねて』。1月2日のオンエアをご覧になりましたか?

 私は昨日(7日)にやっと録画を観まして、提供した前杜氏の富山初雄さんや河村傳兵衛先生の写真がたくさん使われていて、『喜久醉』の価値を世に伝える一助になれたことを嬉しく思いました。時間にしたら30分弱ぐらいでしたが、青島さんの人となりをこれだけしっかり伝えたテレビ番組は初めてじゃないでしょうか。

 カメラに向かってまっすぐに、自分の酒造りの志を語る青島さんの姿はキラキラしていました。久しぶりに画面で拝見したナマ河村先生の泰然自若としたお姿も印象的でした。

  

 単なる銘柄宣伝ではなく、造り手の技や精神にスポットを当てたという意味で『吟醸王国しずおか』に似た構成だったので、青島さんは私にさかんに気を遣ってくださいましたが、それなりに時間をかけて丁寧に作った番組だったし、酒にこうして真摯に向き合うテレビ制作者がいたことを、心強くも思いました。

 

 「・・・それにひきかえ、地元静岡のテレビ局にこういう制作者はいないし、素人の私が苦労して作っているのに手を差し伸べてくれる局もない」と、ついつい愚痴ってしまいたくもなります。

 

 自分が企画した映画や番組が作れる環境にいる人は、妥協することなく、後世に残す価値あるものを作ってほしいと切に願います。これだけメディアが多様化してくると、真に価値あるものしか残らないって痛感します。映像のプロが作るコンテンツはこうだっ!ってものをぜひ残してください。

 なお、同番組は14日(金)18時から再放送されるようですから、ぜひチェックしてくださいね。

 

 

 

 もうひとつ嬉しいニュース。私のライターとしての成長をずっと見守ってくれた静岡新聞社の平野斗紀子さんが昨年退職されてフリーになられたことは、当ブログでも紹介しましたが、その平野さんが、吟醸王国HPに楽しいコラムを書いてくださいました。フリーエディター平野斗紀子として外に発信した原稿は初めてじゃないかな。

 

 しかも今年は自費で情報誌『Tamara Press』を発刊するというお知らせつき! 平野さんに誌名の意味を訊いたら、タマラ・プレスは東京五輪の女子砲丸投げ選手の名前で、昔、新聞社の上司にあだ名にされたとか。“最後はチカラわざでねじ伏せる”と解釈してください、とのことです。・・・なんだか怪力大女になってガッツポーズをとる平野さんが夢で出てきそうですが(笑)。

 

 平野さんのコラムは、なんというのか、プロの書き手らしいリズム感があって、さすが「地酒をもう一杯」の編集者らしい「もう一杯」に満ち溢れた、落語話のような楽しい体験談です。これを読んで、すっかりお正月のお屠蘇気分に浸ることができました。平野さん、ありがとうございました

 

 

 吟醸王国会員メッセージ『しずおか吟醸伝』、今月は私が“姉さん”と慕うパワフルな女傑が続々登場しますので、乞うご期待を