杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

今年の酒縁に感謝!

2010-12-29 10:57:34 | 吟醸王国しずおか

 28日、世間的に仕事納めの日、お世話になった何箇所かにご挨拶回りをしました。

 

 

 先週末に『喜久醉』の青島孝さんから「今がイチバン飲みごろ」というとびきりのお酒を送っていただきました。

 …実はWOWOWを契約されている方はご存知だと思いますが、1月2日15時から『銘酒誕生物語~岐阜・静岡 杜氏秘伝の技を訪ねて』という番組が放送されます。昨年からWOWOWで日本酒や焼酎の蔵元を紹介する1時間番組が年数回、放送されているんですが、いよいよ静岡の蔵元代表で青島酒造さんが登場します!

 今回はタイトルどおり杜氏の技の伝承というテーマだそうで、私が長年撮り溜めていた青島酒造前杜氏・富山初雄さんの写真を何点か提供させていただきました。実際に採用されるかどうかわかりませんが、そんなこんなで写真提供のお礼に、と青島さんがお気遣いくださったようです。

 

 

 27日に仕事で旧大井川町の戸塚豆腐店を再び訪ね、お豆腐を10丁ほど購入して、青島さんにお酒のお礼にお届けしました。青島家も戸塚豆腐店の大ファンだったんですね。大井川で復活し、KOマートで買えますよと教えたら、「今年、“はやぶさ”の帰還に匹敵するサプライズニュース!」と大喜びされ、搾りたての酒粕をお返しにいただきました。

 

Photo  

 28日はその酒粕を手土産にご挨拶まわり。『吟醸王国しずおか』のロゴ入りエプロンをご注文くださった大村屋酒造場さんを訪ねたときは、さすがに青島酒造の酒粕を持っていくわけにいかず、別途折菓子を持参したのですが、なんともタイミングよく、ちょうど蔵の中で餅つきが始まったのです! 

 

 

 お孫さんを抱いて嬉しそうに餅つきを見守る松永社長、つきたて餅を器用に丸める奥さまはじめ、蔵内のみなさん、ホントに楽しそう。毎年Photo_2 12月28日にこうして内輪で餅つきをされるそうで、長年この蔵ともおつきあいをしてきましたが、初めて知りました。折菓子のお礼にと、奥さまが鏡餅にしてくださったつきたて餅と搾りたて新酒をいただいてしまいました。

 

 

 その足で金谷の松井妙子先生のところへ。青島酒造の酒粕をお届けしたらやっぱりとても喜んでくださって、「帰りに青島さんのところへお届けして」と手土産を風呂敷一杯に包んでくださいました。大村屋さんのアツアツつきたて鏡餅も、せっかくならと先生に差し上げ、「お礼にうかがった先々で、おもらいさんしちゃって…」と苦笑いしたら、「マユミさんって福ノ神なのよ~」と感心?していただきました。

 

 

 帰りに松井先生のお礼の品を青島酒造に届けたら、今度は青島秀夫社長が「あんたにあげるもの、ないかな~」と土間に積まれた荷物の中から、大粒のみかん2個を取り出してくださいました。そのみかんをダウンジャケットの左右のポケットに入れたら、なんだかポケットを通してほんのり温かい“気”のようなものが体に伝わってきました。

 

 

 

 このみかんにたどりつくまでの、何人もの人々の笑顔―松井先生、松永社長、青島孝さん、戸塚豆腐店のご主人…はたまた5日の酒と匠の文化祭を支えてくれた人々や吟醸王国しずおかの制作を後押ししてくれた人々、その礎となった富山さんはじめ多くの杜氏さんや蔵元さんたちとの酒縁の連鎖が、やっぱり私の財産だな~って改めて思います。

 新しい年も、この連鎖を長く太くしていきたいですね。くれぐれも“疫病神”と思われないよう精進しなければ

 


お酒好きの方へのギフト

2010-12-17 11:48:47 | 吟醸王国しずおか

 

 今日はブログ人さんでサービスしてるデコ画面ってのに挑戦してみました。読みにくかったらごめんなさい。
 
 
 クリスマスまであと1週間・・・ほんと、12月って早いですね~。今週は連日仕事がらみの飲み会で静岡の街中をうろつきましたが、あんまり年の瀬って感じがしない。子どもがいれば、学校が休みになったり帰省したりという節目があってそれなりに季節感を感じるだろうけど。・・・そういえば昨日の飲み会でご一緒した紳士に、まともに「独身?子どもいないの?」とビックリされて身の置き場に困りました(苦笑)。
 
 
 
 
 それはさておき、今日は『吟醸王国しずおか』グッズのご紹介です。5日酒と匠の文化祭でも売らせていただきましたが、映画のタイトルロゴ入りのおちょことエプロンを作りました。
 
 
 
 
 おちょこは試写会や試飲会でも使えるようにと、斗瓶会員(ボランティアスImgp3472 タッフ)の総意で今年作ったものです。直径約4.5センチ。薬味入れなんかにも使えます!
  
 
 エプロン先のブログでもご紹介したとおり、國本良博さんの娘さんである倉島麻衣さんが1枚1枚手作りで仕上げてくださった完全オリジナルの腰巻エプロン。こちらは私のポケットマネーで作りました。
 
 
Imgp3470  いずれも、『小夜衣』も蔵元・森本均さんが書いてくださったタイトルロゴ入り。とくに麻衣さんのエプロンは森本さんの筆跡をステッチ(刺繍)で忠実に再現した逸品です。
 
 
 デザインや仕様はすべてお任せしたんですが、木綿のしっかりした生地に丁寧に縫いこんであり、その誠実な仕事ぶりに、さすが國本さんのお嬢さん!と感激しました。
 
 
 
 
 
 
 お酒好きの方へのプレゼントやパーティーの景品等にいかがですか?興味のある方はぜひメールください。
「店に置いてもいいよ」と言ってくださる酒販店さん、飲食店さんがいらしたら有難いです。よろしくお願いします~
 
 
 おちょこ → 1個 300円
 エプロン → 1枚2500円
 お問い合わせ → info@ginjyo-shizuoka.jp
 

 


静岡新聞ご購読のみなさまへ

2010-11-25 15:07:28 | 吟醸王国しずおか

 珍しくいくつも仕事が重なり、ブログ更新の時間が取れません。すみませんが今日もお知らせ事項のみ。といっても静岡新聞をご購読の方限定の情報ですが。

 

 

 11月27日(土)の夕刊文化生活欄で、見開きの地酒特集があります。鈴木真弓の磯自慢仕込み取材記、鈴木詔雄さん(清水・すずき酒店)の地酒レクチャー、後藤英和さん(岡部・地酒Barイーハトーヴォ)の酒粕料理レクチャー、そして12月5日『大旅籠柏屋酒と匠の文化祭』告知です。

 

 

 

 磯自慢酒造には先週11月19日におじゃまし、洗米作業や搾りたて本醸造Dsc_0023 の初搾り、吟醸の麹造りの写真を撮ってきました。

 お忙しい中、寺岡社長や多田杜氏が、同行の静岡新聞担当編集者に酒造りのイロハや手順を懇切丁寧に解説してくれて、過去に酒蔵取材経験があるという男性編集者は「こんなに詳しく、臨場感たっぷりにお話が聞けたのは初めて」と感激していました。

 

 磯自慢がなぜ人気があるのか、情報発信の立場にある人たちに、そう、心から実感してもらいたかったので、本当に良かったです。編集者自身が感動を実感し、つくる紙面って、きっと読み手にもその熱が伝わるんじゃないかな。

 

 

 後藤さんは、5日の文化祭のPRとして一肌脱ごうと協力してくれました。といっても、別に文化祭にからめなくても、一年のうちで一番酒粕が入手しやすい時期になるので、企画的にもタイムリーですよね。

 

 後藤さんや鈴木さんのコーナーは新聞社サイドで取材してくださったので、どんな記事になるのか私も楽しみです

 

 

 翌28日(日)の静岡新聞朝刊には、全面広告記事で、静岡県ニュービジネスフォーラムが紹介されます。17日にグランディエールブケトーカイで開かれたフォーラムの紙上報告です。このブログでちゃんと報告しようと思ったんですが、こっちの記事を書くのに手間取り、しかも広告記事なんでいろんなところからチェックが入り、昨日(24日)、ようやく校了。広告会社から、最大スポンサーでもあるニュービジネス協議会会長が出来栄えにご満悦だったという連絡を受けてホッとしたところです。

 

 

Dsc_0030  限られた紙面ゆえ、ほんのさわりや要点しかご紹介できませんでしたが、この手の経済記事を、一般の読者の方が肩こらずに読んでもらえるにはどうしたらいいか、言葉を削って削って、吟味に吟味を重ねました。短く平易な文章で端的に伝えるって、ほんと、ライターとしての力量が試されます。

 

 

 

 先日、知人から、「マユミさんのブログや掲示板の文章は、削った言葉でズバッと書かれているから、一瞬ビクッとすることがある。それは職業柄なんですね~」と言われました。

・・・確かに文章を書くことを生業にしている人間の文章は、たとえ個人ブログだろうと、どこか「商品」を発信しているという感覚になってしまうかもしれません。仲間内や親しい人に自分の日常を報告するにも、無意識のうちに、無駄な表現は無いか、読み手を退屈させないか、このあたりは読み手に想像させる余地を与えたほうがいいんじゃないか・・・な~んて考えてしまいます。更新後も何度か見直し、手直ししたりで、もう、こうなると職業病ですね

 

 

 

 それはさておき、28日のニュービジネスフォーラム全面広告記事は、職業ライターの「削る」テクニックを精一杯投入した紙面になっています。

 27日の磯自慢の紹介記事も800字という限られた文字数で、杜氏や蔵人たちの新酒仕込みにかける情熱をどこまで伝えることができるか、大いなる挑戦でした。こんなチャンスを2度ももらって、2日続けて自分の原稿が新聞に載るなんて、盆と正月が一度に来たような気分です 

 

 

 言い訳がましくて恐縮ですが、2本の記事とも、本当はもっともっと丁寧に紹介したかったし、削ったボリュームのほうが圧倒的に多いのです。少なくともこのブログをご覧の方は、新聞に採用された文の行間をあれこれ想像しながらお楽しみくださいませ

 

 なお、静岡新聞ご購読でない方は、27日夕刊&28日朝刊だけでも新聞店かコンビニでお買い求めくださいまし 


初亀の名杜氏・瀧上秀三逝く

2010-11-21 11:53:29 | 吟醸王国しずおか

 とても残念なお知らせです。
 初亀醸造の名杜氏としてファンも多い、能登杜氏の瀧上秀三さんが、11月18日に逝去されました。

 

 

 2008年春に杜氏を引退され、吟醸王国しずおかの撮影には間に合わず、
パイロット版第1弾では、引退する瀧上さんへの入ろうと感謝の念を込めた、初亀の橋本謹嗣社長の神神社大祓い儀式の祈りの様子を、瀧上さんの写真をPhoto 添えてご紹介しました。

 この写真、たしか98年に静岡新聞社から発行した『地酒をもう一杯』の取材時に撮ったものですが、我ながら、瀧上さんの気骨さが伝わるいい写真だ!と満足してました。映画本編でも使う予定でいます。

 

 

 

 

 08BY(酒造年度)は、瀧上さんの志を継いだ若き杜氏・西原光志さんの仕込みの様子を撮影しました。しかし残念なことに、西原さんは初亀をこの一期で去り、現在は志太泉の杜氏として活躍中です。志太泉に移られた09BYにいきなり全国新酒鑑評会で金賞受賞しましたので、たぶん酒蔵との相性みたいなものがあったのだと思います。杜氏も生き物なら、酒蔵そのものも生き物なんですね・・・。

 

 

 初亀は、09BYから西原さんの補佐をしていた辻村和則さんが杜氏となり、二期目の仕込みに取り組んでいます。映画でも、辻村さんの仕込みを撮影し直しました。撮影を1年早くスタートできたら、瀧上さんの最後の酒造りの雄姿を収めることもでき、その後の杜氏交代劇で橋本社長やカメラマン成岡さんに余計な気遣いをさせることもなかったと後悔していますが、今更どうにもなりません・・・。

 

 とにもかくにも、映画が完成したら瀧上さんが余生を送られる能登でも上映会を開いて、酒造りの伝統の灯が守られる様子をご覧いただき、ご安心いただこうと思っていました。

 なかなか完成のめどが立たず、忸怩たる思いでいたところに、この訃報で、自分の非力さを改めて痛感しました。『吟醸王国しずおか』では、何度こういう思いをさせられたことか・・・。

 

 

 高砂の吹上さん、開運の波瀬さん、そして瀧上さん・・・静岡の地酒を支えて来られた能登の名杜氏が、次々と旅立って逝かれました。天空に酒場があるならば、富士山を見下ろしながら酒杯を酌み交わしておられることでしょう。

 

 心よりご冥福をお祈りいたします。


久々の『朝鮮通信使』上映会お知らせ

2010-11-17 23:02:08 | 吟醸王国しずおか

 すでにお知らせのとおり、12月5日(日)は、藤枝市岡部の大旅籠柏屋にて『酒と匠の文化祭』を開催します。多くのみなさんにご支援ご協力をいただき、準備のほうも着々と進んでいます。ぜひご期待くださいね!

 

 

 ところで、前日の12月4日(土)、私が映画制作にかかわるきっかけにもなった映像作品『朝鮮通信使~駿府発二十一世紀の使行録』の上映会が久しぶりに開かれることになりました

 

 Photo

 場所は、静岡市クリエーター支援センター。そう、朝鮮通信使の制作元・しずおかコンテンツバレー推進コンソーシアム(SCV)の事務局がある施設です。SCVは2008年から静岡市クリエーター支援センターの指定管理者になっているんですね。

 朝鮮通信使の制作は2007年でしたから、私は支援センター自体にはあまり縁がなくて、客として利用する程度。静岡市内では一番ハイレベルな映像試写ルームが出来たので、08年夏の『吟醸王国しずおか』パイロット版第一弾の試写会はここで開かせてもらいました。

 

 

 ただ、なぜか、この映像ルームでSCVが制作した『朝鮮通信使』を上映する機会が、(私が知る範囲では)今までなかったんですね・・・。今まで個人的に何度か各団体にお願いして開いてもらった上映会は、会議室での備付けスクリーンを使うことがほとんどで、ハイビジョンサイズのクリアな映像でお楽しみいただくことが叶いませんでした。

 

 

 いつかクリエーター支援センターの映像ルームで『朝鮮通信使』が観られるといいのにな~と願いつつ、SCVにはすでに朝鮮通信使制作時にお世話になったスタッフがほとんどいないので、気軽に頼める術もなく・・・。

 

 

 

 

 そんなときに、静岡県朝鮮通信使研究会の北村欽哉先生から「今度の総会でお話してみませんか?」と思いがけないオファーをいただき、通信使研究の専門家でも何でもない一介のライターが、お歴々を前に話をするなどトンデモナイと、びびった次の瞬間、クリエーター支援センターで上映会を開く願ってもない好機だ!と思い立ったのでした。

 

 

 研究会のみなさんの多くは、何らかの機会に『朝鮮通信使』をご覧になっていると思いますが、上映後に制作裏話やロケ先でのエピソードなどを、脚本監修の北村先生と面白おかしく雑談すれば、いつもの真面目な歴史勉強会とは違うけど、それはそれで楽しんでいただけるのではないかと。

 

 市営の素晴らしい映像ルームで、静岡市の予算で静岡市民のために作られた映像作品を上映するのですから、ぜひとも一般の人にもお声掛けしたいと思い、先生にご相談したところ、快くご了解をいただきました。

 

 

 当ブログでも再三ふれてきた『朝鮮通信使』、未見の方はこの機会に、ぜひご覧ください。そして翌5日は、藤枝市岡部の大旅籠柏屋の『酒と匠の文化祭』内で、この映像制作を糧に生まれた『吟醸王国しずおか』パイロット版を上映しますので、ぜひぜひご覧くださいませ。

 

 

 

第4回静岡県朝鮮通信使研究会総会

◆日時 2010年12月4日(土) 13時30分~16時

 

◆場所 静岡市クリエーター支援センター3階プレゼンテーションルーム

 *場所は静岡県庁横・旧静岡市青葉小学校です。こちらをご参照ください。

 

◆内容

 13時30分~14時  総会

 14時~15時10分  『朝鮮通信使~駿府発二十一世紀の使行録』上映

 15時10分~16時  講話「朝鮮通信使の製作裏話」 鈴木真弓・北村欽哉氏

 

◆参加費 無料

 *静岡県朝鮮通信使研究会入会希望の方は年会費(個人一口2000円、団体一口5000円)を当日受け付けます。

 

 

 

 上映会のみの参加もOKです。ぜひふるってお越しくださいませ!

 なお、吟醸王国しずおか公式サイトで、私とカメラマン成岡さんの朝鮮通信使制作秘話が読めますので、ぜひご参考にどうぞ!成岡版はこちら、鈴木版はこちら