杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

地酒deハロウィン~のみにくれば参加御礼

2014-11-03 10:00:28 | しずおか地酒研究会

 10月31日(金)夜から11月2日(日)夜まで、静岡市街一の歓楽街・両替町通りで試飲イベント【地酒deハロウィン~のみにくれば】を開催しました。3日間ともあいにくのお天気でしたが、わざわざ足を運んでくださった酒徒のみなさま、本当にありがとうございました!

 

 このイベントは先の記事でご案内したとおり、NPO法人静岡団塊創業塾が運営するコミュニティカフェ「くれば」がハロウィンナイトに特別営業したもの。「くれば」のキッチンスタッフのみなさんが採算度外視で提供する酒肴3品に、静岡酒の代表選手「喜久醉」「白隠正宗」セットを1000円で提供しました。

 お酒は3日間とも同じモノでしたが、酒肴は毎日内容が変わり、2回以上来て下さったお客さんに喜んでいただけました。接客業はド素人の私、お酒をこぼしたりお代をもらい忘れたりと粗相が多く、ご迷惑をおかけしてしまった分は、キッチンスタッフのみなさんたちの気配りや機転の良さに助けられました。本当にありがとうございました。

 

 

 「くれば」はもともとランチ&カフェタイムしか営業しないお店で、夜、しかも日本酒をあつかうのは今回初めて。ハロウィンの仮装パレードや路上ライブでホコ天になったことで、逆にいつも両替町を闊歩するであろう一般の飲み手が減ってしまい、ここで試飲イベントをやっているということが十分訴求できなかった観もありますが、私にとっては、地酒の魅力を知らない人に直接紹介し、反応を得られる貴重な機会。愛飲家だけが集まる酒の会と違い、未知の市場に飛び出してファンを開拓する難しさ&醍醐味を、今回も感じることが出来ました。

 

 通りすがりに、ちょっぴり無愛想な男性客がフラッと入ってきて、最初、ただ「銘柄はどうでもいい、熱燗をくれ」と言われ、一瞬、「タチの悪い酔っ払いかも」と緊張したのですが、白隠(燗)と喜久醉(冷)をお出ししたところ、追加で3杯もオーダーしてくれたのが喜久醉(冷)。帰り際は、「こういう店が両替町にあると、飲み会に行く前にちょこっと寄れていいんだよなあ」と満足顔でした。

 

 白隠正宗は60℃近い熱燗でも美味い辛口純米をご用意し、初日にサポートしてくれたときわストア後藤英和さんの燗付けテクニックのおかげで、燗をオーダーされた方に大好評でした。白隠を初めて飲むお客さんも多かったのですが、気に入った人は「今度は常温で」とお代わりされるなど、酒銘と味わいはしっかり記憶してくれたと思います。

 

 

 12席ほどの狭い店内で、面識のないお客さん同士が相席になると、最初は静かに飲んでいたり、知り合い同士だけで会話をしていますが、地酒がある席というのは不思議なもので、いつのまにか初対面のお客さん同士が意気投合するんですね。「おいしいですねえ」「こっちのほうが好みかな」なんて酒の味わいから会話が始まり、造っている場所、造っている人、置いてある店のことなど、地域の中で共通するキーワードがいくつも出てくるからだと思います(キーワードの中にこのブログのタイトルが出てきたときはビックリ!感激でしたが)。

 【吟醸王国しずおか】パイロット版を上映したときは、「お酒があんなに全身全霊、手間隙かけて造っているなんて知らなかった」と驚き、「大事に飲まなきゃ」と納得していただいたお客さんもいて、未完成映像ながら多少は役に立っていることにホッとしました。

 

 メニューは地酒2種に酒肴3種のきき酒セット+カフェメニューしかないのに、「こんな楽しい時間は久しぶり」と意気投合したお客さん同士で2次会カラオケに行かれた方もいました。喜久醉の青島さんがよく「自分の前職(ファンドマネージャー)はごく一部の儲かる人しか幸せにできない仕事だったが、今の仕事は世界中の人を幸せにできる」と言っていたことを、ふと思い出しました。

 

 唯一、個人的に残念だったのが、「おたくはどこの蔵元?」「(後藤さん不在の1日2日に)あら、今日はご主人はいないの?」と聞かれたこと。当然ながら、自分が主宰する会では経験しない質問なので、顔で笑って否定しても、内心戸惑っちゃいます。しかもこの手の質問をしてくるのは女性ばかりなんですよね。・・・25年以上も酒に関わってきたのに、いまだに、どこかの職員か、だれかの嫁さんでなければ、こういう活動をしているのはフツウじゃないと同性から思われているか~とちょっぴり脱力。まあ、いくら何年やってても、しょせん、これが自分の限界なんですね。

 

 両替町という静岡随一の繁華街で初挑戦した試飲イベント。いろんな意味で、多くを学んだ3日間でした、ご来店の皆さま、「くれば」の皆さまに心から感謝いたします。