杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

喜楽庭の春

2008-03-01 20:34:52 | NPO

 目下、締め切りをせっつかれている原稿が2本。1本はこのひと月間、県内3ヶ所を取材して回ったNPO協働フォーラムのレポート、もう1本は雑誌sizo:kaの酒蔵スケッチ。異なるジャンルの原稿執筆が重なったときは、完全に頭を切り替えるアイドルタイムが必要で、数時間で済むこともあれば、1日空けないと次に取り掛かれない場合もあります。

  

  sizo:kaでは、前号(07年秋冬号)で静岡の酒を全面特集し、私のところにもたくさんの反響が来ました。『吟醸王国しずおか』映像制作プロジェクトの紹介を書かせてもらったところ、見知らぬ読者から「何か手伝いたい」と連絡をもらったり、VIC TOKAIケーブルテレビさんが取材に来てくれるなど、思わぬプラスアルファも(ちなみにケーブルテレビは4日火曜日まで、夕方のニュース枠でこのネタを連続放送しているそうです。焼津・藤枝・富士地区で視聴できる方はぜひご覧ください。私は残念ながら観られません・・・)。

  

 そんなこんなで、sizo:kaのほうから書き始めたところ、今朝早く、活き生きネットワークの杉本彰子さんから「今日、喜楽庭で餅つきをやるからいらっしゃいよ!」とお誘いコール。実は昨日29日、事務所へ会報誌の編集の打ち合わせに行った時、山積みになっていた餅米が気になっていたんですね・・・。

  

 北安東(静岡県立総合病院のそば)の我が家から、活き生きネットワークのデイサービス施設『喜楽庭』のある安東(静岡高校のそば)まで、歩くと40分ぐらい。考えてみると、原稿が溜まっているときは、時間節約で近場でも車で移動し、極端な運動不足になるため、たまには歩いてみようと思い立ちました。風が強く、花粉の量も多そうで、なかなか顔を上げて歩けなかったのですが、それでも車で素通りしていたら気づかなかった店の看板や裏道の存在を発見し、たまには散歩もいいもんだ、と思いました。

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 喜楽庭は、古民家を改築した複合デイサービス施設で、赤ちゃんからお年寄りまで、いろんな世代の人たちが過ごしています。段差のあるところにスロープを設置したり、ユニバーサル仕様のトイレなど、要所要所は手を加えてありますが、家の構造は、庭付きの伝統的な木造家屋。鉄筋コンクリート造りの公共施設とは違い、人が確かに暮らした住まいの温かさがあります。昨年は、炭酸泉足湯のコーナーが新設され、テレビや新聞で報道されて大いに賑わいました。以来、ご近所さんが毎日のように通うようになったり、定期的に開かれるフリーマーケットで、利用者の家族や友人・知人が親睦を深めています。

 今日は、年に1度の餅つき兼フリーマーケットの日。利用者、スタッフ、家族、ご近所さんが入り乱れて、広いはずの喜楽庭が、身の置き場もないくらい高密度状態になりました。

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   一昨年、喜楽庭の居間に、彰子さんの友人が手打ちそばの店を1年間、開きました。趣味が高じて本格的なそば打ちにハマッた人だけに、採算を考えず、結局、1年でパンクしてしまったのですが、開店前に、居間を少し賑やかにしたいと、彰子さんから相談を受けた私は、面白半分に、壁にペンキで、京都高山寺に伝わる有名な『鳥獣戯画』をデフォルメして描いてみました。「ペンキの落書きとは思えない」と、彰子さんもそば店主の方も、大いに笑い、喜んでくれました。

 

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  そば店が閉店し、その後、その居間を取り壊すという話を聞いたので、あの落書きがどうなったのか見に行きました。壁はそのままで、部屋でくつ ろぐ人に、彰子さんは相変わらず陽気に、「面白い絵でしょう、この人が描いたのよ~」と私を引き立ててくれます。大した仕事でもないのに、こんなふうに喜んでもらえると、本当に嬉しくなります。

 

 

 

 

 

  そうこうしているうちに、庭で、餅つきが始まり、子どもたちが大喜びで杵を触っています。その後ろの梅の木が、3月の声を待っていたかのように花を咲かせていました。

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  つきたての餅と、スタッフ手づくりのチヂミ、焼きそば、カレー、鶏ご飯などを頬張れるだけ頬張り、身も心も満腹になって、ついでに駿府公園まで散歩しようと、結局、夕方近くまで街歩きをしながら帰りました。今日のような日は、車で移動する時間がもったいない、と思えます。

 


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