2月23日が「富士山の日」になりました。7日、県広報誌の仕事で川勝知事にお会いし、2月下旬は、雪を頂く最も美しい富士山を愛でる“富士見”の季節が終わり、春霞となる時期だからとうかがいました。知事が考える“富士見の季節”とは、冬至前後の12月23日から2月23日の2ヶ月間だそうです。
確かに一年のうちで一番寒くて、動物は冬眠する季節ですが、そういう時期に、最も神々しく美しい姿を見せるのが富士山だ、だからこそ古くは万葉の時代から人々に畏れられ、愛され続けてきたのだと。
「生き物が冬眠する時期に最も美しい」という見方は新鮮でした。…自分は、富士山が雪で覆われる季節といったら、最も美味しい酒が仕込まれる、ぐらいしか思いあたりませんでしたから(苦笑)。
年度替りを前にしたこの時期、フリーランサーにとっては仕事上でさまざまな情報や人脈を新たにインプットしなければならない大切な時期ですが、このところ、自分がささやかながら貯えてきた情報や人脈をアウトプットする一方です。
先週一週間、静岡新聞夕刊一面に連載された『静岡酵母物語』のように、アウトプットしたものが役に立ったと実感できるのは大きな喜びでもありますが、自分自身は、新しくインプットするものがない、いわば、感性の冬眠状態。焦っていろんな本を読んだり展示会に出掛けたりするのですが、昔に比べると純粋に感激したり発見を喜んだりする回数が減っている。新しいものを貪欲にインプットする年齢から、確実に、経験の貯金をアウトプットする年齢になってしまったんですね。・・・これって老いの兆候かなぁ(苦笑)。
富士山は、そんな中でも気高く美しい。この時期、毎朝、富士山の白い頂上が自宅のベランダから見えるけど、いつでも素直に「きれいな山だなぁ」と思える。
“生き物が冬眠状態の季節に最もクリアで美しいヴィジョンとなり、暖かくなり生命が芽吹き始めると、かすんで遠のく”―川勝知事のご指摘通り考えると、富士山ってつくづく不思議な山ですね。四季のない国の、いつ見ても同じ姿でしか見えない山とはあきらかに違う。そこに、古今東西多くの人々が惹きつけられてきたのでしょう。
富士山が霞がかる季節になる頃、私の感性にインプットしてくる新しい出会いがあることを祈って・・・さぁ、これから徹夜で知事の富士山論をまとめなければ。