23日(月)夜は、昨年、取材でお世話になったNPO法人はまなこ里海の会にお誘いをいただき、浜名商工会が地域資源∞全国展開支援事業の支援を受けて里海の会と協働実施する浜名湖たきや漁体験に参加しました。
たきや漁を体験するのは15年ぶりぐらい。浅い湖底の魚類を銛で突くシンプルな伝統漁法ゆえ、誰でも挑戦できるけど、そうカンタンには獲れない。それだけに見事ヒットした瞬間は「獲ったど~!」と叫びたくなるんですよね(笑)。
・・・残念ながら、反射神経がまるでない私は15年前も今回も、「獲ったど~!」体験はできませんでしたが、夜の浜名湖の広い湖面を、漁場を探して疾走するときの爽快感は格別!
この日はカニ、サヨリ、セイゴ、クロダイ等が獲れたみたいで、船頭のベテラン漁師さんが「これぞたきや漁!」と唸るパフォーマンスでちゃ~んと獲ってくれて、筏を連結させた湖上テラス「たきや亭」では事前に用意してくれたクルマエビ等と 一緒に、天ぷら&味噌汁にして食べさせてくれました。獲ったばかりのカニの ボイル、カニ味噌の美味しさも格別でした!!
たきや漁遊船組合のホームページによると、たきやの漁業は、浜名湖独特のもので、小さなかぶせ網と突き棒の二つの道具しか使わず、営業で行っているのは浜名湖だけだそうです。また、たきや漁を営む漁師は湖東部の旧雄踏町に限られ、隣接の舞阪・新居にも若干いるようですが、たきや発生の歴史から見れば亜流で戦後始まったもので人数も少ないとか。このように、極めて狭い地域の漁師が伝統的な漁法を守っているのは日本でも稀有です。
ことのはじめは100年以上も前のこと。浜名湖には古来、昼間の見ヅキ(昼間、魚やエビを見て突く)といったものがあり、特に変わったものでもなく、夏など小中学校の生徒でも海浜でやっていたシンプルな突き漁法でした。
それを夜間、光に魚を集めて突く、といったものに変えたのが夜ボリで、浜名湖畔でたき火をしていた故加茂蔦蔵さんが、目の前を横切った大きな魚を青竹で仕留めたことが起源と言われ、その後、船を出して魚を突く方法が定着していったそうです。
当時は光源として松明(タイマツ)を使っていて、松明は主に庄内(今の浜松市白州町和田町)から買い、材料はベタ松といって、松の芯ばかりのものを使ったそうです。年間に一人あたり200束使い、一晩の漁で4束くらいを燃やしたとか。その当時は魚、クルマエビも豊富だったので松明の消費量から割ると年間に50日ほどしか出漁しなかったようです。
今回の体験は、そのような「地域資源」の価値を見直し、後世に残すとともに、浜名湖の自然環境を考える好機にと、漁師、環境NPO、商工業者が協働で企画したもの。参加者は地元の市民やファミリーが中心でしたが、私は里海の会の窪田事務局長の配慮で、アマモ研究の第一人者で国際湿地保全連合顧問 の相生啓子先生(左端)、環境問題に詳しいフリーライター佐久間淳子さん、静岡大 学農学部共生バイオサイエンス学科の富田涼都先生ほか、そうそうたる専門家のみなさんとご一緒することができ、夜中の3時近くまで酒を酌み交わしながらさまざまな情報交換をさせてもらいました。
浜名湖の話の延長で、「朝鮮通信使の浜名湖越えは道中最大の難関で、三河一円から大量の渡船をかき集めたんですって」と切り出したら、みなさん興味を持ってくれて、『朝鮮通信使』のDVDをぜひ観たい!とリップサービスしてくれました。
たきや漁も楽しかったけど、新しい知的刺激を与えてくれるプロ達との出会いは何物にも代え難いですね!
なお、10月9日(土)9時から浜松市舞阪文化センターで、海のゆりかごと言われる海藻アマモの保護を考える勉強会があり、相生先生が講演をしてくださるので、興味のある方はぜひ! 詳しくはNPO法人はまなこ里海の会までどうぞ。