一昨日(26日)は自伝を書いてほしいという三島の某社社長さんと打ち合わせの後、三島駅前の居酒屋で磯自慢本醸造と花の舞つうを燗でしこたま飲み、昨日(27日)は金谷お茶の郷での展覧会がひと段落した松井妙子先生の慰労会を焼津の日本料理安藤で開いて、喜久醉純米大吟醸松下米40をしこたま飲みました。いささか胃疲れしたものの、今朝は気分爽快!。静岡の酒はレギュラークラスから最上級まで、ホント、どれを取っても料理に合って、杯が進み、箸が進むなぁとしみじみ感激しました。20年付き合っていても、いまだに毎年新しい感動を与えてくれる愛しい愛しい酒たちです。
昨日は、『男の隠れ家』という男性向けのライフスタイル情報誌の最新号(09年1月号)が発売になりました。特集は「幻の酒と出会う」。日本酒編では松崎晴雄さんがセレクトした11銘柄と、地の米にこだわった銘醸4蔵(秋鹿、田酒、喜久醉、渡舟)が紹介されています。
今月初め、青島酒造の青島孝さんから、「うちに取材に見えた雑誌の編集者が、松下米稲刈りの写真を借りたいと言っているんだけど」と連絡をもらい、編集担当者と直接コンタクトを取ったところ、副編集長の奥紀栄さんから、「鈴木さんのブログをよく読んでますよ!」と嬉しいお返事。稲刈りの写真は、映画撮影の記録としておさえた程度の写真で、プロのカメラマンが作品として撮ったものとはレベルが違いすぎるので、モデルになってる青島さんや松下さんに申し訳ない気もしましたが、とにかく青島さん本人に念入りに選んでもらった何枚かを提供しました。
彼から「うちを含めて何蔵か取り上げるみたいで、たぶん扱いは小さいと思うよ」と聞いていたのですが、フタを開けてみたら、堂々のカラー3ページ掲載! dancyu11月号の松下さん紹介7ページには負けましたが(苦笑)、特集ページを開くと、フロントコーナーの松崎さんの記事に2人が手刈りしているショットがイメージ写真として使われていました。この写真が、ここに掲載されるまでの経緯を振り返ると、感慨深いものがあります。
まず、松崎さんが20年以上も前から静岡の酒に格別の思いを寄せてくださって、その中でも喜久醉を静岡代表選手に選んでくれて、選ばれた青島酒造が、時代が求める(=時代を映す流行雑誌を編集する人たちが特集で組みたくなる)“ホンモノの地の酒”を、10数年前から地に足をつけて醸し続けていて、その経緯を見続けてきた自分が、今年たまたま始めた映画制作の過程で撮り貯めておいた写真の1枚…なわけです。
鈴木真弓の写真ではなく、多くの人の手とたくさんの時間が醸し出した一瞬を切り取った写真だと考えれば、洗練されたプロの写真と並んでも気遅れしないかな、と自分を慰めています。
今回の青島酒造紹介ページには、喜久醉を味わう“隠れ家”的名店として、日本料理安藤も紹介されています。
店主安藤通利さんはつきじ田村で板前修業をした本格派で、青島さんとは高校の同級生。卒業後はともに故郷を離れ、違う道に進んだ2人が、今こうして故郷に根を張り、料理と酒という、かけがえのない絆でつながって、お互いを高め合う存在になったというのも、たくさんの時間が醸し出した成果だと思います。
そんな店で味わった喜久醉純米大吟醸松下米40は、いつにも増して円熟味のある大人の味がしました。実に“料理映え”する酒でした。
酒だけが主張するのではなく、料理を引き立て、料理によってさらに味わいが増す。土と稲、稲と農家、農家と蔵元、蔵元と料理人…いろんな人が引き立て合って生まれた酒、だからなんですね。