杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

オマーンに静岡を売り込め!

2008-11-24 21:02:27 | 国際・政治

Dsc_0001  今日(24日)は後援会会報誌の編集を担当する上川陽子さんの感謝の集いに行ってきました。陽子さんの後援会では年末にグランシップでクリスマス感謝祭を行うのが恒例でしたが、今年は12月中に会場(大ホール)の予約が取れず、また解散総選挙の時期が不透明で準備が整わなかった等の事情で、この時期の、パーティー形式ではなく講演セミナー形式のプログラムとなりました。

 

 第1部は本人挨拶、後援会長挨拶と、地元静岡で結成50余年の歴史を誇る市民楽団コンセールリベルテのミニ演奏会。第2部は前オマーン大使の大森敬治氏と陽子さんの特別対談というコンパクトなプログラムでした。

 

 

 オマーン前大使を招いた理由は、陽子さんが今年5月に内閣府特命担当大臣としてオマーンを訪問したご縁から。

 中東のオマーンといえば、フツウの日本人ならサッカーW杯アジア予選の対戦国として聞く知名ですよね。正直なところ、オマーンもカタールもバーレーンも、地図で区分けしてみろなんて言われても困るんですが(苦笑)、6月のアジア3次予選は、ホーム横浜では3-0で快勝したものの、アウェイでは現地時間17時のキックオフで40℃の灼熱地獄の中、1-1の冷汗ドロー。もっと涼しい時間になってから始めればいいものの、日本のテレビ中継のせいで選手に過酷な試合時間を強いたなんてニュースになったっけ。まぁ、オマーンと聞いてもそれぐらいの情報しか記憶にありませんでした。

 実は今年2月、オマーンのハイサム遺産文化大臣が訪日され、閣僚では唯一の直系王族の方なので、天皇陛下ともお会いになっていたんですね。福田首相との間では公文書管理の重要性について意気投合され、政府間協力がスタート。公文書管理担当大臣の陽子さんが、日本の閣僚としては実に20年ぶりに、オマーンを訪問することになったのです。

 

 

 陽子さんも訪問前は、アラブという枠での“石油外交”の4文字しかイメージが湧かなかったそうですが、「実際に行ってみたのとみないのでは雲泥の差がある」と実感したようで、先日、会報誌の打ち合わせをしたときも、オマーン訪問の話を夢中になってしていました。

 

 

 

 日程は、最初にドバイに入り、とんでもなくハイスピードで都市化するオイルマネー国家の勢いをまざまざと実感し、次いで飛行機で1時間30分程度のオマーン首都マスカット入り。ドバイほどの勢いや華やかさはないものの、どこかホッとしたんだとか。インド洋に面したオマーンは、もちろんドバイのような都市化が進んでいるとはいえ、歴史と伝統と自然がほどよく息づく海洋国家で、アラブの中では独自の国際感覚を持つ国。陽子さんは「ドバイより人間味があって親日家が多い」と感じたそうです。アラブに属しながら、インド洋を介してインド、パキスタンをはじめとしたアジア文化とも融合してきたからなんですね。

 

 

 

 陽子さんが意外だと思ったのは、女性の社会進出。アラブ圏というと女性はショールで顔を覆い、人前では自己主張をせず、男性に庇護されているというイメージがありますが、オマーンでは30人の閣僚のうち女性大臣が4人もいて、ビジネスウーマンも結構活躍しているそうです。日本から女性大臣がやってきたということで、とくにオマーンを代表する女性たちが集まってくれたそうですが、その中には若くしてリラクゼーションマッサージの店舗展開で成功したという、日本にもいそうな女性起業家もいたそうです。

 

 Dsc_0009_2 大森氏は「もちろんアラブ的な男性中心のソサエティは存在しますが、女性には女性ならではのネットワークがあって、国際化の波を受けて次第に存在感を示すようになっている」といい、「日本、とりわけ静岡は、オマーンと同じように長い海岸線をもち、富士山のような素晴らしい自然にも恵まれ、産業の面でも伝統と革新がほどよく融合している。オマーンと実に気質が似ています。東京基準では見えないことが、静岡目線なら気づくということもあるでしょう。石油ではなく生活を通しての対話が出来るのでは?」と提言されました。

 

 

 ドバイやオマーンでは日本のメロンやスイカがVIPフルーツとして大変人気があるそうです。またアラブではサンダル履きが普通で、国王が公式行事で正装姿のときでも基本はサンダル。「静岡がサンダルの産地と知っていれば、大使時代にオマーンに静岡サンダルをどんどん紹介すればよかった」と大森氏。

 陽子さんは「静岡産のみかんやいちごやメロン、サンダル、下駄といった地場産品を積極的にアピールしましょう、サッカーもナショナルチームだけでなく小学生から社会人まで幅広い年齢層での交流をさかんにし、40℃のスタジアムでも動けるような体づくりをしたらいいと思う」とノリノリで応えました。

 

 

 

 静岡とオマーンが、国同士というよりは市民レベルでの生活文化交流を広げていくことで、石油外交一辺倒だった日本と中東の関係が、ひと皮剥けるんじゃないかと、私もワクワクしてきました。私が考える交流といったら、もちろん酒がなければ始まりませんが…!


最新の画像もっと見る