歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

住めば我が家

2010-01-09 00:02:29 | Weblog
家族に呼び寄せられて入居してくる方も、
自分の意思で入居してくる方も、
住み慣れれば「一番ホッとできる我が家」になる。

「帰りたいなあ」といっていた方も、
「ここが一番いいよ!」になっていく。

それでも、事情はいろいろだが退去せざるを得ない方もある。
思いを残して去った方。
なみだ涙で別れた方。
医療的に無理になり入院生活をせざるを得なくなった方。
中には、小規模施設が合わなかったという方も。


自慢してもよいが(笑い)、勤務先の施設は外部評価は高い。
ご家族からも誉め言葉を頂いている。

しかし、私から見る評価はまだまだ低い。

例えば、
これまで排泄の意思がなかった人が、
「トイレへ行きたい!」といった時、
どのような身体状況でも、何とかして連れて行こうと思うのが「その人に必要なケア」だと私は思っている。
その人にとって、専門職の評価が必要なのではない。

例えば、
ベッドの高さを転落リスクから大体の方が一番低くしてある。
体格にあわせることを忘れているのだ。
背の高い人のベッドが低くなっていたら、立ち上がり難い。
Aさんのときベッドを高くしたのに、
同じようなBさんには応用できない。

筋トレするつもりなの?と聞いてしまったことがある。(笑い)


拙いケアをしていると私はまどろっこしい思いをすることが良くあるが、ご家族やご入居者は感謝してくださる。
「ここが一番いい!」
「みんなが優しくしてくれるから嬉しい」
「帰ってくるとホッとする」

しかし、こんな声も聴こえた。

私たちの世代は長生きしちゃいけないわよね。
自分の始末はじぶんでつけなくちゃとおもうの。
若い人たちは割り切ってるから、仕事以上には考えていないでしょ。

団塊の世代の方である。
ご自分の「我が家」にはなり得ないということだろう。

勤務先の誰にも伝えてはいないが・・・。
若いと本音は語ってもらえないこともある。


以前、重度の認知症の方の家族から聞いた言葉。
「家では看られないので、あまりこうしてああしてと言えないのよ。人質みたいなものだと思うの。要望が多いと嫌がられると思って。」
けっこう要望をなさっておられた家族だが、
それでも内心は複雑だったのだと知った。

それ以来、常に頭にその言葉がよぎっている。