歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

そのドアを開ければ

2010-01-18 01:05:03 | Weblog
排気ガスだらけの空気でも、新鮮に感じる。
閉じ込められてるわけではないが、
自由気ままに出かけられない不自由さ。
後を追いかけられないで、少しでよいからあの道を歩きたい。
転んでもいいの、私の責任だもの。
どうか、放っておいてほしい、自分で自分の責任は取るから。
自分の足で歩ける時間は長くない。
1年後はわからない。
だから、
できるときに出来ることをしておきたい。
そう思うのは我儘なのかしら?
お日様の光を肌で感じてみたい。
1日1回とは言わないから、お願いよ。
そのドアから、出かけてる人がいるじゃない。
どうして私はいけないの?
すぐそこなのよ、私のうちは。
どうなっているか見に行きたいだけ、すぐ戻ってくるわよ。
え?遠いって?そんなことない。
すぐそこよ、そのドアを出れば見えるの。
もう暗くなる?
だってまだ大丈夫、すぐ戻ってくる。
あ、ほら、あの人と一緒に出られるわ。
ドアを開けてくれた!
どうしても気になるから見に行ってみよう!


施設から出してはいけない方が一人で出かけてしまうことを「離設」という。
勤務先のまわりはメインの通りが交差しているので危険がいっぱい。
認知症で見当識障害(場所の)がある方は迷子に。
そこまででない方は、家族の了承を得て自由行動をする範囲を決める。
中には、自宅を覚えていても、出さないでほしいと要望される場合も。

入居者の平均年齢は高く、80半ばまでは若い方。
外出は危険が伴うのでスタッフが付き添えるときに限定されていくのが段階になる。

1年ごとに施設内だけの生活が増えていく。
ご本人たちも諦めが入る。
理解できない方の何人かが離設の危険がある。

万が一、離設されると平謝りに謝るしかない。