5月28日 NHKおはよう日本
大学を卒業後、定職に就かず実家に戻るブーメラン族。
アメリカでは経済の低迷で就職が難しくなるなか
こうした若者が急増している。
最新の調査では
25歳~34歳の成人のうち
実家で暮らした経験があるを答えたのは3人に1人。
10年前のほぼ2倍である。
独立することを何よりも重んじるアメリカは
大学を卒業すれば親元を離れて自分で生計を立てていくのがあたりまえとされてきた。
しかしいまブーメラン族に対する社会の認識が変わり始めている。
ブーメラン族を題材にした本
『フォールバック・プラン(撤退計画)』。
実家の戻った女性が悩みながら成長していく姿が描かれている。
各地で開かれるこの本の読書会には毎回多くの若者たちや親が参加する。
著者のリー・スタインさん(27)はもともと女優志望。
これまで4回ブーメランを繰り返した。
実家に戻ると 自分の部屋は
親がくつろぐホームシアターになっていた
自らの経験に基づいて綴られた主人公の姿は
ブーメラン族の若者やそうした子どもを抱える親たちが共感している。
リー・スタインさん
「ある父親から
この本のおかげで息子の気持ちがわかるようになったと言われました。」
ブーメラン族であることを前向きにとらえ
実家で自ら事業を始める人も出てきている。
リンジー・ハントさん(29)は
大学卒業後満足した仕事に就けず両親の元に戻ってきた。
「最初に1ヶ月は本当に辛かったです。」
そんなハントさんを両親は温かく受け止めてくれた。
親に生活費をみてもらうことで将来のことを考える余裕が生まれた。
自分の部屋を事務所として
企業からネット上での宣伝を引き受ける仕事を始めた。
いまでは10社近くの顧客を抱え
売り上げはひと月24万円を超えるまでになった。
リンジー・ハントさん
「両親とクラスことで私は自由を得た気がします。
実家に戻るのは“悪いこと”ではなく
“いい機会”だと思います。」
母親
「私たちの時代は実家に戻ることは失敗を意味しました。
でも世の中は変化しており
私たちも考えを変えるときがきています。」
独立を急がず
家族に見守られながら次のステップを探る。
そんなブーメラン族の若者たちが
アメリカ社会に新たな活力を与え始めている。