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梅雨明けのころが待ち遠しい

2021-07-10 23:26:49 | 編集手帳

2021年6月15日 読売新聞「編集手帳」


じめじめと雨の降る日に思い出す本紙俳壇の入選作がある。
<全身が精神力のなめくじり>(栃木・あらゐひとし)

選者の矢島渚男さんが生物学の視点を交えて絶賛していた。
<ナメクジはカタツムリが進化して殻を無くした。
 目も触角も肺もある。
 無防備だから、
 全身に神経が張りつめているのだろう。
 それを「全身が精神力」と表現した。
 面白い>

疲れたりしないのだろうかと、
その生き物に妙な共感を抱いてしまう。
エレベーターのボタンに触れるかどうか迷ったり、
人混みを注意深く避けて歩いたり…
手足の指先まで神経を使う日々はけっこうな精神力がいる。

バーベキューのグリルのそばで「密」になって談笑する人たちをテレビで見た。
英コーンウォールで開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)である。
ワクチンの効果を背景に、
ウイルスに打ち勝った後の世界を見せる演出が所々にあった。

国内では医療従事者、
高齢者に続き、
職場接種が緒についた。
効果の出る日が待ち遠しい。
梅雨明けの頃には、
と期待するのはせっかちだろうか。
ナメクジを見かけなくなる季節がふさわしいような。

 

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