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開発進む北方領土 択捉島の“いま”

2015-02-22 18:30:00 | 報道/ニュース

2月10日 キャッチ!


北方四島(歯舞島、色丹島、択捉島、国後島)は1855年日本固有の領土として定められたが
第二次世界大戦の末期 旧ソビエトが日ソ中立条約を破って対日参戦。
1945年 ソビエトが北方四島を不法占拠。
このことが原因で現在も日本とロシアとの間には平和条約が締結されていない。
四島の中で最も大きい択捉島は面積3184㎢で鳥取県の広さに匹敵する。

択捉島に去年9月に開港した新空港。
極東サハリンとを結ぶ定期便が運航している。
滑走路は2,300m。
より大型の航空機が離着陸できるようになり島への往来が大きく改善された。
(利用者)
「今まで空港は遠く時間がかかりましたが近くなってとても便利です。」
去年9月から4か月間で約5,000人が利用。
ロシア極東の他の都市とを結ぶ路線の開設も検討されている。
ロシア政府は北方領土の整備を加速させている。
千島列島北部を含む開発に2015年末までの9年間で214億ルーブル(約380億円)を投入。
択捉島の平均賃金は一昨年までの5年間で1,5倍に増加した。
(クリリスク地区 ベロウソワ地区長)
「開発によって島の生活はずいぶんよくなりました。
 働き口も増えていますし可能性に満ちています。」
島の発展を担っているのが北方領土最大の企業 ギドロストロイ。
この会社は択捉島に8つのサケ・マスの養殖場を持ち年間2,500トンの水揚げを誇る。
今後 加工製品の生産を増やす計画である。
(ギドロストロイ スヴェトリコフ社長)
「人口の水路を使い養殖場を作り山麓のきれいな水を利用しています。」
住民も生活の改善を実感している。
5人家族のダブピートシン一家。
(オリガさん)
「スノーボードは安くはありませんでしたが
 娘がずっと欲しがっていたので去年買ってあげました。
 このエレキギターも数年前はとても手が出ませんでしたが
 今は買ってあげることが出来ます。」
生活に余裕が出てきたと実感している。
(ユーリさん)
「最近 生活は変わってきました。
 ロシア政府が島の発展のために巨額の投資をしているので良くなっているのだと思います。
 今後も島を離れずここで生活していきます。」
島で40年近く取材してきた新聞記者は島の発展が住民の意識に変化をもたらしていると言う。
(地元紙“赤い灯台” クンチェンコ編集長)
「かつて島民はロシア政府に見捨てられていると感じ
 島を日本に帰すべきだと言う意見すらありました。
 しかし島民の感情は変わった。
 生活はよくなると思います。」
ロシアによるインフラ整備が加速する北方領土。
領土問題の解決が見えないなか
ロシア政府は自国の領土であることを誇示する動きを強めている。

北方領土の開発の中でも最大の案件が択捉島の新空港の開設だった。
択捉島にはこれまでも古い空港はあったが滑走路が短いため小型機の運航に限られ
悪天候による欠航が相次いでいた。
新空港の開業は島の住民が強く待ち望んでいたもので
今後 人の行き来や物流が大きく改善するものとみられる。
さらに軍事面においてもより大型の軍用機が離着陸できるようになることから
北方領土の軍事拠点化が進む可能性を指摘する意見もある。
空港名についても当初はアイヌ語で「イトゥルップ」=岬のあるところという名前だったが
現地を訪問したプーチン大統領の側近のイワノフ大統領府長官が
「ロシア固有の名前を付けるべきだ」と提案したことから
先月 ロシア語で明るいを意味する「ヤースヌイ」に変更された。
名前をロシア語に変えることで北方領土を自国の領土として誇示する狙いがあるものとみられる。
ロシア経済は当面は厳しい状態が続くとプーチン大統領も見ているが
北方領土の開発を継続する方針に変わりはないとみられる。
ロシア政府が北方領土を含む地域の発展計画で2014年は約120億円を投入した。
2007年に計画が始まって以来の最大規模で開発の手を緩めていない。
さらにロシア政府は発展計画の期間を10年延長して2025年までとする基本方針を決めた。
これに伴う追加の投資額については約1,220億円余になるとみられる。
しかしサハリン州のホロシャビン知事は
「今後数年間はロシア経済の厳しい状況が予想される」として
国からの予算に不足が生じる可能性に初めて言及した。
サハリン州はその場合でも州独自の予算で対応できるとしているが
経済の悪化が長期化すれば影響が出ることも予想される。
北方領土問題で日本の岸田外務大臣は1月に訪問先のベルギーで次のように発言した。
「ウクライナにおいて起こっていることも“力による現状変更”ですが
 北方領土の問題も“力による現状変更”です。」
これに対してロシア側はすぐさま反発している。
ロシア モルグロフ外務次官は
北方領土はロシアに帰属するとあらためで主張したうえで歴史を学ぶべきだと強く批判した。
日露の立場の違いが改めで浮き彫りになった形だが
日本の元島民は一向に前進しない領土問題にいらだちを募らせている。
(水晶島 元島民)
「北方領土問題解決を何としても引き継いでもらいたい。」
2月12日にはモスクワで日ロ次官級協議が開かれ
両政府の間で準備を始めることが一致しているプーチン大統領の日本訪問について協議。
ロシア側はモスクワで開かれるナチスドイツに対する戦勝70年の式典に安倍総理を招待しているが
これが実現するかどうかも注目される。



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