11月29日 国際報道2018
中国ではいま 定年後の元気な女性たちが増えている。
女性の場合 定年が50歳と比較的若いためである。
そんな女性たちがいま夢中になっているのが
公園などで音楽に合わせてみんなで踊る「広場踊り」である。
この10年で人気が急上昇し
愛好家は1億人にのぼるとも言われている。
「汗をかいてとてもスッキリよ。
友だちもたくさんできたわ。」
「踊れば踊るほどきれいになるの。
18歳に若返ったみたい。」
人気の広がりでコンテストまで開かれるようになり
踊りに欠かせない派手なドレスなど関連グッズの売り上げも好調。
地元のメディアによると
市場規模は1兆7,000億円に達するという。
新たなビジネスチャンスに企業の参入が相次いでいる。
3年前に創業したベンチャー企業が開発したのは踊りの動画を投稿できるアプリ。
すでに600万人が登録している。
ほかの人の踊りの動画を見るだけでなく
衣裳なども購入できる。
「踊っている時きれいに見えます。」
関連グッズの売り上げはこの1年で7億円に達した。
(ベンチャー企業社長)
「中高年の人たちは経済的にも余裕ができ
若いころにできなかった楽しみが今できるようになっています。」
広場踊りで盛り上がる市場の中で
特に活発なのが高齢化で増え続けるシニア層である。
ここに目をつける大手企業も出てきている。
中国のネット通販最大手アリババである。
シニア世代にネット通販を普及させようと
アドバイザーを公募。
応募条件の1つが60歳以上の広場踊りのリーダー経験者だった。
約3,000人の応募者の中からただ1人選ばれた劉さん(64)。
大学などで英語を教え
定年を迎えたあと広場踊りに出会った。
劉さんは週に1回会社に出勤する。
若者が多いIT企業でシニア向けのアプリ開発の助言役を任されている。
「中高年は注文のタッチをしてくれない。」
「だまさえたりしないかこわいのよ。
だから1つ1つ丁寧に説明してあげないとね。」
(劉さん)
「中高年だって若者の役に立てます。
彼らが思いつかないアイデアを伝えることができます。」
さらに劉さんに期待される役割は
シニア世代にネット通販に馴染んでもらうこと。
中国ではいま
子どもと同居するために農村から都会に移る中高年が増えている。
劉さんは都会になれない彼らがネット通販を使えるようになれば
生活のの手助けになると考えている。
(劉さん)
「私が教室を開いたり広場踊りをするのは
みんなに家の中から社会に出てきてほしいからなんです。
シニア世代の生活の幅が広がり
交流も多くなるといいです。」
時間と経済的な余裕があるシニア世代が増え続ける中国。
「広場踊り」の人気拡大とともにシニア向けの市場も膨らみ続けている。