11月29日 編集手帳
<ユダヤ人の名前は美しい>。
言語学者の田中克彦さんが著書『名前と人間』(岩波新書)に書いている。
<まるで絵に描いたようだ>と。
ローゼンタール(ばらの谷)、
アプフェルバウム(りんごの木)、
ビルンバウム(梨の木)、
ブルーメンガルテン(花園)…。
これらは姓であって下の名ではないけれど、
昔に比べてずっと美的になったのが日本の子供たちの名前だろう。
明治安田生命が平成に入ってからの人気名前ランキングを発表した。
男の子は上から翔太、翔、健太、蓮、大輝。
女の子は美咲、葵、陽菜、さくら、愛。
とりわけ美咲さんは8回も1位の年があった。
そう聞くと昭和生まれの小欄は対抗心からか、
「ひろし」を浮かべてしまう。
別の生保会社の調査でトップを41回記録している。
そういえば、
寅さんの妹の夫もひろしだし、
ちびまる子ちゃんのお父さんも、
ひろしである。
もちろん翔太くんや美咲さんのお父さん、
おじいさんにもおられよう。
俳優の高倉健さんは会う人会う人、
名前をほめた。
実際にほめられた人を知っている。
「名前は人生に同じ、
大事にしよう」と聞こえたそうである。