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たこやきを商う心

2019-12-31 07:00:00 | 編集手帳

12月1日 読売新聞「編集手帳」

星の数で知られるグルメガイドに載ったり、
女子のパーティーで主役を務めたり。
随分出世したものだと少々むず
痒がゆい感触を覚えていた。
東京五輪では選手村に登場するそうだ。
B級グルメの元祖、
たこ焼きの話である。

大阪のたこ焼き店の運営会社などが億を超える所得隠しを指摘されたという。
件(くだん)のガイドに掲載されたこともある人気店で、
訪日外国人らが長い列を作っているのだとか。

去年にも大阪城公園内の、
別の売店経営者が所得税法違反で有罪判決を言い渡された。
1日の売り上げが100万円を超えることがあったとの記事に、
むむむ…と
唸うなった記憶がある。

朝から晩まで焼き続け、
真摯(しんし)に営業努力を続ける多くの店にとって迷惑千万な話と言うほかなかろう。
インバウンドの熱気に浮かれ、
急激な売り上げアップに心を惑わせたのか。

粉物コナモン
という言葉が嫌い――。
昔、
関西の食に詳しい編集者が語っていた。
たこ焼きは街の郷土料理、
様式や
秘訣はさまざまで、
そこにこそ味がある。
十把一
絡からげにコナモンなんて横着だと。
<貧しさも楽したこ
焼やきたべる恋 蟻朗>。
商いの心はA級でお願いしたい。





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