11月22日 キャッチ!
アラブ首長国連邦の首都アブダビ沖合の海上油田の
1日の産出量はUAE全体の半分にあたる140万バレルだが
このうち70万バレル分の権益期間が来年3月に切れ更新される。
現在60%をUAE国営石油会社が保有し
残りの40%を保有しているのがイギリスとフランスの大手石油会社。
そして日本の資源大手INPEX国際石油開発帝石である。
一度権利を保有するとその権利は40年近くと言われていて
各国がその権利獲得を目指して熾烈なアピール合戦を続けている。
11月 アブダビ郊外の島に誕生した美術館「ルーブル・アブダビ」。
フランスが誇るルーブル美術館の初の海外分館とあって多くの注目を集めた。
オープニングにはマクロン大統領も駆け付け
二国間の関係強化を宣言。
(フランス マクロン大統領)
「美術館の分間がアブダビにできたことは
フランスにとって重要な意味がある。」
ヤシの木をモチーフにした巨大ドームで覆われた美術館。
内部のギャラリーは
ルーブル美術館保有の
レオナルドダビンチ作「ミラノの貴婦人の肖像」に加え
ゴッホ作「自画像」
ジャック=ルイ・ダヴィッド作「サン=ベルナール山からアルプスを超えるボナパルト」など
フランスの主要な美術館から貸し出された作品300点も展示されている。
UAE政府は観光客増加の起爆剤になるフランスの貢献を評価した。
(アブダビ文化・観光局 セイフサイド・ゴーバシュ事務局長)
「私たちは経済を多角化し
観光分野にも力を入れています。
この美術館は文化戦略の核となるものです。」
今回フランスが門外不出のルーブルブランドの使用を許可した背景には
UAEが産出する石油の存在があるとも指摘されている。
主要な海上油田の権益が来年3月に更新の時期を迎え
フランス企業は長年保持した権利の確保を狙っている。
この権益は外国企業では開発に関わってきた英・仏・日の企業が40年以上にわたり分け合ってきた。
しかし石油の権益に詳しい企業コンサルタントは
次の契約では長期的な需要が見込める中国などの新規参入もあるという見方も示している。
(石油権益コンサルタント ロビン・ミルズさん)
「UAEが求めるのは
長期に経済に良い影響をもたらすパートナーです。
一方 世界の石油需要は欧米から成長著しいアジアへとシフトしており
その状況を受けた大手の顧客との関係が深まっています。」
11月13日 アブダビで開かれた世界最大規模の石油やガス関連の展示会。
アブダビ国営石油会社のブースの近くで存在感を示していたのは
新規参入を狙う中国の石油企業グループである。
ブースでは巨大な需要を抱える中国市場に直結できるメリットなどを強調していた。
会場を訪れた日本の西銘経済産業副大臣も
中国勢の攻勢に対し
官民を挙げて日本の強みを生かしたUAEへの貢献がより必要だと話した。
(西銘経済産業副大臣)
「UAEとの意見交換の中で
具体的に中国がアグレッシブに来ているという表現が出ていた。
供給先と消費という関係ではなく
日本と戦略的なパートナーシップを築いていきたいという思いを感じる。」
日中両国がそれぞれの強みを生かした貢献を進める現場がある。
アブダビ郊外にあるハリファ港。
UAEが今後の成長の柱と位置づけている地区である。
拡張中の埠頭の利用権を獲得したのは中国最大手の海運会社。
中国から大量のコンテナを呼び込み
物流のハブへの成長を後押しする計画である。
今年7月には
港に隣接する工業地帯への300億円以上の投資を発表。
中国は習近平執行部が提唱している「一帯一路」構想の重要拠点になるとしている。
一方 日本は得意とする製造業で対抗しようとしている。
日本の鉄鋼メーカーが中心となり港湾近くで建設を進める石油パイプラインの製造工場。
完成すれば年間長さ約430km分の大型パイプを製造。
UAEだけでなくサウジアラビアなど近隣の産油国にも輸出する計画である。
出資する日本の鉄鋼メーカーは
現地生産へ切り替えた方が競争力が高まると建設を判断したと言う。
ビジネスの側面に加えて
UAEが日本に求める産業の多角化への貢献にもなると感じている。
(パイプライン製造工場 柿崎満社長)
「私どもの技術を持ってくることがアブダビの多角化にもつながり
結果として私どもがアブダビ側と日本側にうまくはまっている。
そういう意味で日本のいろいろなノウハウを持ち込むのは意味があると思う。」