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孤独な国家

2014-06-07 07:15:00 | 編集手帳
5月27日 編集手帳


知人と友人はどう違うのだろう。
『悪魔の辞典』で名高いアンブローズ・ビアスに警句があるという。
〈知人とは、
 金を借りるほどには親しいが、
 金を貸すほどには親しくない人のこと〉だと。

晴山陽一さんの『すごい言葉』(文春新書)から引いた。
借りもすれば貸しもする双方向の間柄が築かれて、
初めて友人と呼べるらしい。
話を安全保障に置き換えれば、
助けを借りることはあっても貸すことはない日本に、
友人はいないことになる。

東シナ海の公海上空を飛行する自衛隊機に中国軍の戦闘機が約30メートルまで異常接近したという。

往来で肩をいからせ、
触れたら因縁をつける算段か。
堅気の衆とは呼びがたい国と隣り合って日本人は生きている。
友人を増やし、
不心得者に手出しをためらわせる。
集団的自衛権とはつまるところ、
戦火をあらかじめ避ける仕組みをいうのだろう。

劇作家の宇野信夫に青春期の歌がある。
〈真実の友を持たねば青草にひとり寝るのを楽しみとする〉。
孤独が甘美であるのは、人に限っての話である。
国家の場合は、
ひとり寝ていて身の安全が図れるほど世界は甘くできていない。

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