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AIIB・英国の思惑 人民元の取引拠点を狙う

2015-07-23 07:15:00 | 報道/ニュース

7月14日 キャッチ!


世界有数の金融センター ロンドンのシティーで開かれた金融セミナー。
テーマは「中国の経済成長をいかに取り組むか」。
近い将来 中国がアメリカを抜いて世界最大の経済大国になることも予想されるなか
シティーではこうしたセミナーが連日開かれている。
(セミナー参加者)
「中国からの投資はイギリスにとっても重要です。
 金融機関や企業にかかわらずシティー地区への投資は歓迎したい。」
最近特に注目されているのが中国が設立することになった
AIIB(アジアインフラ投資銀行)である。
日本とアメリカが参加に慎重な姿勢を示すなか
G7のメンバーとして初めて名乗りを上げたのがイギリスだった。
これを受けてドイツやフランス、イタリアも相次いで参加を表明。
最終的に57か国が創設メンバーとなり
イギリスの参加表明が流れを変えたと言われている。
なぜイギリスは同盟国であるアメリカや日本の意向に反する形でAIIBへの参加を決めたのか。
最大の狙いは
貿易などで存在感を増している中国の通貨
人民元の海外取引拠点
としての地位の獲得である。
今この拠点をめぐってヨーロッパでは
ロンドンとルクセンブルグ、フランクフルトが激しく競争している。
この競争に敗れれば将来主要通貨の1つにもなり得る人民元を失い
金融センターとしての地位が脅かされるのではないか
シティーでこうした危機感が広がるなか
AIIBにいち早く参加を表明することでライバルに差をつける狙いがあった。
(スタンダードチャータード銀行 リチャード・ホームズ氏)
「人民元の海外取引の拠点としてロンドンの存在感を確立し
 香港に次ぐ重要な拠点になるよう努力を続けていきます。」
AIIBへの中国の関係強化を通じて豊富なチャイナマネーを呼び込む狙いがある。
ロンドンではいま新たな金融街の建設構想が進んでいる。
投資額3,000億円を超えるビッグプロジェクトを主導するのは中国のディベロッパーである。
独自のコネクションを使い中国やアジアの金融機関を誘致して
シティー、カナリー・ワーフに次ぐロンドン第3の金融街を建設するとしている。
イギリス政府としてはチャイナマネーを活用して国内のインフラを整備するとともに
ロンドンの新しい金融街に中国の金融機関を誘致して
人民元の囲い込みにもつなげたい考えである。
(中国系ディベロッパー ニール・ロビンソン氏)
「イギリス政府と中国政府は関係強化と貿易拡大に努めてきました。
 この金融街がロンドンに誕生すれば両政府の目標が実現できると思います。」
中国企業の投資はイギリスの象徴的な企業にも及んでいる。
ロンドンの名物にもなっている「ブラックキャブ」の製造工場。
この工場にはイギリスと中国の国旗が掲げられている。
この企業は3年前に経営破たんし
中国の自動車メーカーに約20億円で買収された。
市民に親しまれてきたブラックキャブが中国メーカーの手にわたるjことに
当初 反発もあった。
しかし部品の調達先を中国に切り替えるなどしてコスト削減し
経営の立て直しに成功したのである。
さらに豊富な資金を背景に最新鋭のエンジンを開発し
競争力を高めた結果 
業績はV字回復。
今では海外に輸出するなど事業を拡大している。
(自動車メーカー ジョハンセン社長)
「ことしか来年には国内の販売数よりも多くの車両を輸出したいと考えています。」
今年3月には親会社の中国メーカーが約500億円の資金を投じ
本社近くに新たな工場を建設することを発表。
巨額の投資に加え雇用の創出。
発表当日にはキャメロン首相が直接工場を訪問し
イギリス政府の期待感の大きさを示した。
(イギリス キャメロン首相)
「中国メーカーの約500億円の投資で
 会社には1,000人
 部品メーカーには500人の雇用が創出されます
 この地域と急成長する自動車業界
 さらに我が国にとっても有益なことです。」
ヨーロッパの経済と金融の中心であり続けてきたイギリス。
あくまでも実利を重視した現実路線で中国の成長を取り込もうとしている。

 


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