8月27日 おはよう日本
地熱発電は
地中から取り出した蒸気でタービンを回して発電。
蒸気は水になって再び地中に戻るため
繰り返し利用が可能である。
そのメリットは
・太陽光や風力などと違って天候・季節に左右されず安定して発電できる
・日本国内の地熱の資源量は世界3位
すべて開発できれば一般的な原発20基分の電力が得られる
その一方でコストなど課題も多く
これまで10年以上
国内で新たな発電所は建設されてこなかった。
いま再生可能エネルギーに注目が集まる中で
地熱発電への取り組みが全国で活発になっている。
7月20日 秋田県湯沢市で地熱発電所の建設計画が話し合われた。
湯沢市ではいま大手企業5社が参入し
3つの地熱発電所の計画が同時に進んでいる。
この日は本格的な調査の開始が決まった。
湯沢市には多くの温泉があり
豊富な地熱資源を抱えている。
これまでも地元経済の活性化に役立てられないか
独自にボーリング調査を行うなどしてきた。
しかし18年前に地熱発電所が1か所建設されたものの
それ以降 新たな取り組みはなかった。
状況を変えたのは今年3月の規制緩和である。
環境省はこれまで
国立公園や国定公園での地熱利用を規制してきたが
自然環境の保全など条件を満たせば認める方針を打ち出した。
湯沢市では地熱資源のほとんどが国定公園の中にある。
規制緩和で開発の可能性が大きく広がった。
さらに後押ししたのが先月スタートした
再生可能エネルギー固定価格買い取り制度である。
これまで地熱発電の課題はコストだった。
11~27円/kwh かかるため
火力発電(LNG)6~7円/kwhと比べると
割高だった。
しかし新制度によって
27,3円/kwhで必ず買い取られることが決まった。
こうした追い風に企業も動き出した。
湯沢市に進出した石油元売り会社は
40年近く地熱発電の研究を続けてきたが
いまこそ千載一遇のチャンスだと意気込んでいる。
出光興産 後藤弘樹地熱課長
「国を挙げて応援してもらっているので
期待に応えられるよう頑張っていく。」
湯沢市のように順調に計画が進む地域がある一方で
新たな課題に直面している場所もある。
福島県の磐梯地域では
事前調査に巨額の費用がかかることが懸念されている。
地熱資源が眠る地域は東京ドーム6,000個分の広さで
最適な場所を探すためにボーリング調査を細かく行わなければならず
費用は300億円以上と見込まれている。
負担を分散するため9つの企業が共同出資する予定だが
調査そのものが失敗する可能性もある。
出光興産 後藤氏
「地熱開発はハイリスク・ローリターンなので
いかにローリスクにするかが地熱に取り組む技術陣の課題。」
もう一つの課題が地元の理解。
計画地域で温泉旅館を営む遠藤淳一さんは
地熱発電に不満を感じている。
温泉の湯量が減ったり枯渇したりしないかという心配。
「不安の部分をしっかりと説明する責任が企業はあるのではないか。
温泉はひとつの宝ですから。」
7月31日に福島で開かれた計画の説明会では
地元住民から不安の声が相次いだ。
企業側は
・温泉に変化がないかモニタリングを実施する
・万が一変化があれば賠償を検討すること
を申し入れたが理解を得るには至らなかった。
経済産業省によると
現在18か所で地熱発電所の建設計画が持ち上がっている。
そのほとんどが近くに温泉地を抱えていて
5か所は国立公園や国定公園の中での計画である。
動き始めた地熱発電ビジネス。
期待が広がる一方で様々な課題も浮かび上がっている。