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イギリスEU離脱 “研究開発”現場の嘆き

2016-12-16 07:15:00 | 報道/ニュース

11月24日 国際報道2016


大学世界ランキング第1位 オックスフォード大学
卒業生のノーベル賞受賞者が世界最多 ケンブリッジ大学。
この2つの大学を筆頭に世界の研究 開発をリードしてきたイギリス。
しかしいま大きな岐路に立たされている。
きっかけは国民投票によるEU離脱。
研究者からは
離脱によってEUからの助成金が打ち切られるのではないか
と危惧する声が上がっている。

自然科学の分野で最先端の研究を行っているシェフィールド大学。
研究現場はいま深刻な事態に直面している。
EU離脱決定後に
物理天文学部のチームが他のEUの国のグループとの共同開発から外されたのである。
共同研究するはずだったグループから送られてきたメールに書かれていたのは
あなた方には共同研究から抜けてもらうことが決まった
主な理由はEU離脱だ
(シェフィールド大学 ポール・クラウザー教授)
「とても悲しい結果だ。
 イギリスとの共同研究はリスクが高すぎると考えたのだろう。」
研究現場での異例ともいえる“イギリス外し”。
理由の1つは
共同研究にイギリスのメンバーが含まれると
離脱によってEUの助成金がもらえなくなるかもしれないと警戒されたことだった。
イギリスには国際的に競争力のある大学が多く
これまで世界とりわけEUから優秀な人材や資金が集まってきていた。
科学分野の研究水準は世界でも最高峰と言われるケンブリッジ大学。
産学連携が盛んで
大学周辺にはベンチャー企業や金融機関が集積し
学園都市を形成している。
それを支えていたのがEUからの資金だった。
ケンブリッジ大学での研究を生かし
3年前 航空機に与える気象の影響を分析するベンチャー企業を起ち上げた
アダム・デュランさん(37)。
設立にあたりEUが中心になっている機関から約6,000万円の助成金を受けていた。
しかしEU離脱で追加の支援が受けられる保証がなくなり
デュランさんは会社を他のEUの国に移転することも考えているという。
(ベンチャー企業 CEO アダム・デュランさん)
「長期的にはEU域内への移転などあらゆる選択肢が必要です。
 私たちのような小さな会社はイギリス以外での活動を完投するのが自然です。」
EUからの助成金はイギリスの大学の研究費用の26%を占め
先端研究には欠かせなくなっている。
研究現場の懸念を受けイギリスのメイ首相は
研究開発に毎年2,800億円を投資する方針を明らかにした。
(イギリス メイ首相)
「われわえは研究開発に対する投資の増額を約束する。
 新たな資金は化学研究と多くの優先順位の高い技術に直接投資する。」
しかし研究者たちの懸念は助成金問題にとどまらない。
離脱によって移動の自由が制限されることになれば
他のEUの国からの人材を確保しづらくなるというのである。
これまでEU域内の人たちはビザがなくても
イギリスで住む場所や働く場所を自由に選ぶことができた。
しかし離脱後には
ビザの発給や出入国の際の審査など
さまざまな制限を受ける可能性がある。
北部グラスゴーにあるがん研究施設。
「彼はドイツ
 彼はイタリアから来たんですよ。」
ここで働く約3分の1が他のEU加盟国からの研究者。
これまで移動の自由を背景にEU各国から優秀な人材が集まってきた。
しかしいまイギリスに排他的な空気が生まれることで
研究に影響が出るのではという不安が広がっている。
(イタリア人研究者)
「ここは研究に恵まれた環境です。
 去りたくないです。」
(キャンサーリサーチUK 研究責任者 カレン・バウスデン氏)
「EUからの研究員は極めて重要な存在です。
 移動の自由を失わないよう強く訴えます。」
専門家は
対応を誤ればイギリスの研究分野の競争力の低下は避けられないと指摘する。
(科学コンサルタント マーティン・ショムショー氏)
「もし移動の自由がより厳しくなれば
 明らかに学生や研究員などの確保に影響するでしょう。
 政府は
 EUからの資金アクセスと他の国の研究者との連携維持に全力を注ぐべきです。」




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