評価点:49点/2021年/アメリカ/116分
監督:ルーベン・フライシャー
ちぐはぐな映画。
幼少期、施設で過ごしていたネイサン・ドレイク(トム・ホランド)は、兄のサムと生き別れることになった。
それから15年、しがないスリををしながらバーテンだったネイサンの元に、トレジャーハンターのサリー(マーク・ウォールバーグ)が現れ、失われた財宝を手に入れるために手伝わないかと誘われる。
サリーがサムの名前を出したことによって、ネイサンはサムの行方を追うために、手伝うことを決心するが……。
早くもAmazonプライムに出ていたので再生した。
もはやトム・ホランドはピーター・パーカーにしか見えないので、他の映画に出るとその印象を払拭するまでに時間がかかりそうだ。
そのトムの最新作にして、新しい代表作をもくろんでいるだろう、作品が人気ゲームの映画化作品の「アンチャーテッド」である。
私はゲームもどんなものか知らないし、思い入れもない。
「インディ・ジョーンズ」の現代版(ゲーム版?)と考えて良さそうだ。
公開当時はトレーラーがかなり流れていたので興味を持っていた。
映画館ほどの画面を再現できない家では、おそらく面白みは半減以下になるだろう。
ちょっとテレビやタブレットで見るには、不利な映画だろう。
けれども、そんなことよりももっと決定的な瑕疵(かし)があるけれど、それは下の批評で触れることにしよう。
▼以下はネタバレあり▼
飛行中の輸送機から落とされて、そこから這い上がって再び飛行機に戻る、という一連の流れがトレーラーで流されて、期待せずにはいられない、と思わせる。
けれども、まさかこの映画の見せ場がこれだけでありこれ以上でもこれ以下でもないことを見せられると、もっとカード(手札)を用意しておけよ、と思ってしまうわけだ。
マゼランの隠された秘宝を探す、という設定はよくある話である。
トレジャーハンターは、「インディ・ジョーンズ」やダン・ブラウン、ニコラス・ケイジなど様々な人が挑戦してきた、アメリカ映画の一種のジャンルでもある。
これは大航海時代から続く、帝国主義の名残であることは言うまでもない。
だから必死に世界各地の様子を見せるために、黒人、有色人種、白人をまんべんなく配置させられることになる。
そのあたりの公平感に加えて、それでもなお違和感なく、流れるようにシナリオを構成するのは、現代の脚本家の技術として必須なのだ。
だが、あらゆる点でこの映画はちぐはぐな印象を受けてしまう。
トレジャーを狙っているというわくわく感も、一発逆転、世界を一転させたい、という野望もない。
なんとなく始まった話がなんとなく終わっていく。
アクションの見せ方も驚きに欠けて、そもそもキャラクターに厚みがないので、見せ場に工夫もない。
まず、サムとネイサン(ネイト)の関係がよくわからない。
兄弟なのだが、いきなり「俺たちはドレイクの息子だ」と言い始めるし、そもそもなぜ養護施設にいるのかという説明もない。
ゲームにある設定なのかそれすらわからないが、あまりに唐突でそこに縛られるネイサンに感情移入できない。
いきなり15年が飛ばされて、その間にどんな人間に育ったかという話もない。
そしてサムが残した手がかりを元に、サリーとともに謎を解くことになるが、サムの絵はがきにそれがあった。
しかし、ということはあの大がかりななぞをサムはすべて解いた上で失踪し、その手がかりを絵はがきに残していたことになる。
わけがわからないのは、壺に残された地図だ。
あの地図に二つの十字架を合わせるというなぞをサムはあらかじめ解いていたことになる。
それをまたわざわざ十字架とともに隠して、それをネイサンに解かせたわけだ。
なんで?
サムはその後サリーとともにもう一度財宝を奪おうとして撃たれたわけだ。
なんで?
すでに解かれている謎をもう一度解くことほどわくわくに欠けることはない。
そのあとさらに大きな謎が隠されていたのなら、ああ、兄を超えたのだ、となるのだが。
もうサムに見つかってたやん!
というツッコミから逃れられない。
さらにいえば、あんなばればれな場所に何百年も完全な状態のまま保管されているのは不自然極まりない。
せめて台詞で「ここは海流がきついから誰もたどり着けなかったんだ!」とか無理に話をさせればよかった。
もう、スタッフが一生懸命用意しました、という印象が拭えない。
まるで安いテレビ番組をみているかのようなチープさだ。
もちろん、そのほかのキャラクター造形も甘すぎる。
スペインのクロエ・フレイザーも、ブラドックにしてもキャラクターが薄いので怖くない。
さらにはサンティアゴ・モンカーダは良いところまでいってすぐに殺されてしまう。
きちんとした「敵」がいないのだ。
謎も曖昧、敵も曖昧、何が面白いのか。
さらにトレーラーで散々流されたところから映画がスタートして、「これ以上の見せ場は存在しない」という宣言を冒頭に持ってきてしまった。
これで面白くなるはずがない。
アクションにしてもキャラクターの設定がよくわからないからかっこいいのかどうかわからない。
全体として何がしたいのかわからない、「企画があるからとにかくそれなりの映画を作ってみた」という印象が全体を包んでいる。
まあ、いきなりウェッブ(蜘蛛の糸)を出したりしなかったので、一定の貞節は保っていたのか。
監督:ルーベン・フライシャー
ちぐはぐな映画。
幼少期、施設で過ごしていたネイサン・ドレイク(トム・ホランド)は、兄のサムと生き別れることになった。
それから15年、しがないスリををしながらバーテンだったネイサンの元に、トレジャーハンターのサリー(マーク・ウォールバーグ)が現れ、失われた財宝を手に入れるために手伝わないかと誘われる。
サリーがサムの名前を出したことによって、ネイサンはサムの行方を追うために、手伝うことを決心するが……。
早くもAmazonプライムに出ていたので再生した。
もはやトム・ホランドはピーター・パーカーにしか見えないので、他の映画に出るとその印象を払拭するまでに時間がかかりそうだ。
そのトムの最新作にして、新しい代表作をもくろんでいるだろう、作品が人気ゲームの映画化作品の「アンチャーテッド」である。
私はゲームもどんなものか知らないし、思い入れもない。
「インディ・ジョーンズ」の現代版(ゲーム版?)と考えて良さそうだ。
公開当時はトレーラーがかなり流れていたので興味を持っていた。
映画館ほどの画面を再現できない家では、おそらく面白みは半減以下になるだろう。
ちょっとテレビやタブレットで見るには、不利な映画だろう。
けれども、そんなことよりももっと決定的な瑕疵(かし)があるけれど、それは下の批評で触れることにしよう。
▼以下はネタバレあり▼
飛行中の輸送機から落とされて、そこから這い上がって再び飛行機に戻る、という一連の流れがトレーラーで流されて、期待せずにはいられない、と思わせる。
けれども、まさかこの映画の見せ場がこれだけでありこれ以上でもこれ以下でもないことを見せられると、もっとカード(手札)を用意しておけよ、と思ってしまうわけだ。
マゼランの隠された秘宝を探す、という設定はよくある話である。
トレジャーハンターは、「インディ・ジョーンズ」やダン・ブラウン、ニコラス・ケイジなど様々な人が挑戦してきた、アメリカ映画の一種のジャンルでもある。
これは大航海時代から続く、帝国主義の名残であることは言うまでもない。
だから必死に世界各地の様子を見せるために、黒人、有色人種、白人をまんべんなく配置させられることになる。
そのあたりの公平感に加えて、それでもなお違和感なく、流れるようにシナリオを構成するのは、現代の脚本家の技術として必須なのだ。
だが、あらゆる点でこの映画はちぐはぐな印象を受けてしまう。
トレジャーを狙っているというわくわく感も、一発逆転、世界を一転させたい、という野望もない。
なんとなく始まった話がなんとなく終わっていく。
アクションの見せ方も驚きに欠けて、そもそもキャラクターに厚みがないので、見せ場に工夫もない。
まず、サムとネイサン(ネイト)の関係がよくわからない。
兄弟なのだが、いきなり「俺たちはドレイクの息子だ」と言い始めるし、そもそもなぜ養護施設にいるのかという説明もない。
ゲームにある設定なのかそれすらわからないが、あまりに唐突でそこに縛られるネイサンに感情移入できない。
いきなり15年が飛ばされて、その間にどんな人間に育ったかという話もない。
そしてサムが残した手がかりを元に、サリーとともに謎を解くことになるが、サムの絵はがきにそれがあった。
しかし、ということはあの大がかりななぞをサムはすべて解いた上で失踪し、その手がかりを絵はがきに残していたことになる。
わけがわからないのは、壺に残された地図だ。
あの地図に二つの十字架を合わせるというなぞをサムはあらかじめ解いていたことになる。
それをまたわざわざ十字架とともに隠して、それをネイサンに解かせたわけだ。
なんで?
サムはその後サリーとともにもう一度財宝を奪おうとして撃たれたわけだ。
なんで?
すでに解かれている謎をもう一度解くことほどわくわくに欠けることはない。
そのあとさらに大きな謎が隠されていたのなら、ああ、兄を超えたのだ、となるのだが。
もうサムに見つかってたやん!
というツッコミから逃れられない。
さらにいえば、あんなばればれな場所に何百年も完全な状態のまま保管されているのは不自然極まりない。
せめて台詞で「ここは海流がきついから誰もたどり着けなかったんだ!」とか無理に話をさせればよかった。
もう、スタッフが一生懸命用意しました、という印象が拭えない。
まるで安いテレビ番組をみているかのようなチープさだ。
もちろん、そのほかのキャラクター造形も甘すぎる。
スペインのクロエ・フレイザーも、ブラドックにしてもキャラクターが薄いので怖くない。
さらにはサンティアゴ・モンカーダは良いところまでいってすぐに殺されてしまう。
きちんとした「敵」がいないのだ。
謎も曖昧、敵も曖昧、何が面白いのか。
さらにトレーラーで散々流されたところから映画がスタートして、「これ以上の見せ場は存在しない」という宣言を冒頭に持ってきてしまった。
これで面白くなるはずがない。
アクションにしてもキャラクターの設定がよくわからないからかっこいいのかどうかわからない。
全体として何がしたいのかわからない、「企画があるからとにかくそれなりの映画を作ってみた」という印象が全体を包んでいる。
まあ、いきなりウェッブ(蜘蛛の糸)を出したりしなかったので、一定の貞節は保っていたのか。
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