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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

福岡伸一「世界は分けてもわからない」

2010-06-27 09:29:50 | 読書のススメ
★ネタバレなし★
前著「生物と無生物とのあいだ」の実質的な続編となる。
前作は話題になったので、おそらく知っている人も多いだろう。
なぜ話題になり、そして僕はこの「世界は分けてもわからない」を読んだのか。
それは単純に文章が巧いからだ。

理系の文章は僕はほとんど理解できない。
理系ではなく思いっきり文系人間なので、数学はおろか理科なんてもっての他だ。
だが、この人は文章が巧い。
それこそ、下手な小説家よりも数段うまい。
生物の詳しい説明になるとちょっとついていけない部分もあるが、それを耐えうるほど、引き込まれる書き方をしている。
今回の作品は、それにさらに拍車がかかり、ドラマティックだ。
生物学に興味がない人こそ、引き込まれるような作りになっている。

タイトル「世界は分けてもわからない」というのは、ポストモダンニズム的なありきたりな内容を予感させる。
だが、文系の人間がいくら外側から科学の限界性を語っても、それは空虚でしかない。
それを理系の、それも最前線の人間が語ると、急におもしろくなる。

僕はこの話が「真実」かどうか知らない。
それを調べる気にはとてもならない。
だが、読み物として、非常におもしろいと思う。
是非どうぞ。

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