銅版画制作の日々

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サルバドールの朝:SALVADOR

2008-01-02 | 映画:ミニシアター

サルバドール・プッチ・アンティックの魂の真実を伝えたい!

 

新年早々、ちょっと辛い内容の映画紹介から始まっちゃいました。昨年11月16日、京都シネマにて鑑賞した「サルバドールの朝」です。

 

歴史に、うとい私は、スペインという国の政治が長きにわたってフランコ独裁政権だったことを知りませんでした。それもほんの30年前までそんな状況だったとは、驚きです。何でもフランコ国家首長は1947年から1975年という28年の間、ず~と国民を押さえて自分の地位を保持してきたというのですから。もちろん内戦、暴動はこの間繰り返されているわけです。

 

映画の主人公、サルバドール・プッチ・アンティックは実在した人物です。彼はフランコ独裁政権をなくし、自由な世の中にしたいと純粋に願い、立ち上がった青年なのです。しかしそのサルバドールは25歳という若さで、不当な死の判決を受ける事になります。

 

 この人が実在のサルバドール・プッチ・アンティックです。
(1948年~1974年3月2日没)

 

今回の映画のメッセージは、今も同じ過ちを繰り返している全世界に、サルバドールの魂の真実を伝えたいということから製作された作品です

 

簡単にお話を・・・・。

 

明るくユーモアに溢れ、正義感が強く、反逆精神からくる勇敢さと文学を愛する繊細さを持つ青年がいた。彼の名はサルバドール・プッチ・アンティック。その名は25歳の若さで処刑された青年として歴史に刻まれている。家族や友人はもちろん、誰もが愛さずにはいられなかった魅力的な青年が、何故そんな運命を辿ったのか?

 

 

1970年代初頭、フランコ独裁政権末期のスペインでは、自由を求める人々が、権力に反発する様々な活動を起こしていたサルバドールも世の中を変えたいと願う、多くの若者のひとりに過ぎなかった。しかし、活動資金を得るために仲間たちと銀行強盗を繰り返し、反体制の犯罪者としてマークされていたサルバドール。ある日、彼は仲間との密会場所に張り込んだ警官に逮捕され、やがて死刑を求刑されることに・・・・・。何故死刑に?捕われる際もみ合いとなった中、サルバドールの放った銃弾が若い警官の命を奪ってしまったのだしかし死んだ警官の身体には別の警官が撃った弾丸も残っており、警察は不当にもその検死結果をもみ消そうとしていた

その日から、家族と友人たちの魂を削るような日々が始まった。サルバドールの4人の姉妹は哀しみを胸に秘め、微笑みを絶やさず励ますまた自らの立場を危険に晒しながらも断固として死刑を阻止しようとする弁護士彼の無事を祈る元恋人

 

 

サルバドールの元恋人タカ役 レオノール・ワトリング スペイン、マドリッド生まれ。「トーク・トゥ・ハー」(02)で眠れるバレリーナ役を演じた。この映画での彼女は本当に美しいと思った。「パリ・ジュテーム」にも出演していた。

 

最初は激しい敵意を露にしていた看守さえ、いつしかサルバドールと固い友情で結ばれる

 

 

しかし、再審も恩赦も退けられ、その“瞬間”は刻一刻と近づいていった

 

 

最後の時、姉妹たちは?そしてサルバドールの気持ちは?

 

今から30年余り前、青年サルバドールは実在した。平和な時代なら、青春を謳歌し、生きることを愛したごく普通の若者の“青春の反逆”に下された無残な判決最期の瞬間まで闘った家族と友人たちの姿は観る者に希望を失わないでと伝えているのだろう。そんなサルバドールの魂を伝えるべく、この作品が誕生した。サルバドールの残された家族は現在も尚、彼の無実を主張して、続けて闘っているそうだ。

 

降る日、サルバドールの葬儀が行われる。残された姉妹、弁護士はさぞかし無念だったはずだ。

 

 

サルバドール役 ダニエル・ブリュール 1978年スペイン、バルセロナ生まれ ドイツ人で映画監督の父とカタルーニャ人の母を持つ。生後ドイツに移り住む。役者デビューはTV映画(94)2003年「グッバイ、レーニン!」に主演し、ヨーロッパ映画賞、ドイツ映画賞を受賞。ハリウッド映画「ボーン・アルティメイタム」にも出演。ドイツ語、スペイン語、英語、フランス語が話せるという超バイリンガルだ

 

そうなんですよね。「ボーン・アルティメイタム」にも出ておられましたね。出番は少しでしたが・・・・。もっと出て欲しいですね。

 

ヨーロッパの国々も結構、政治的背景が難しいところがあるのだと、今回この作品を観て、改めて実感しました。イメージ的にはもっと民主的な感じがしていたのですが。ドイツもそうですよね。「善き人のためのソナタ」を観た方はご存知だと思いますが。何故にこんな腐敗した政治が多いのでしょうか?自由で生きやすい国作りが実現するにはこのような悲劇が起こらないと、動かないのでしょうかね。アイルランドもそうでしたね。ここ2年~3年、様々な国の実情を知る映画が日本で公開され、こんなことがあるんだと知ることができて、良かったと思います。

 

発信したことで、世界が動く可能性もあるわけですから、少しでも多くの人に観てもらうことが大事でしょう

 

 監督:マヌエル・ウエルガ
1957年スペイン、バルセロナ生まれ。1980-1983年にジョアン・ミロ財団法人の番組ディレクター、プロデューサーとしてキャリアをスタート。1990-1992、第25回オリンピック大会の開会式と閉会式を監督。1995年、”Antrártida”を初監督。本作『サルバドールの朝』は監督2作目。

 

 サルバドールの朝 公式サイト

 

2006/スペイン/135分/カラー/ドルビーSRD/シネマスコープ
配給:CKエンタテインメント[Kinétique]
後援:スペイン大使館

 

追記:死刑執行の寸前までの映像が映し出されます。こんなやり方でなんだとこの場面は非常にゾッ~と震えがきました。サルバドールの心情を考えると、本当に憤りさえ感じました。

 

 

Comments (3)
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