銅版画制作の日々

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ジェシー・ジェームズの暗殺、距離を置くことが一番なのかも・・・。

2008-01-27 | 映画:シネコン

 

ブラッド・ピットが主演・製作を熱望した全米マスコミ激賞の話題作。

 

まだまだ鑑賞した作品がたくさん残っていて、記事に出来ていませんが・・・・。最近鑑賞した話題作をまず、書こうと思います。1月18日に「ジェシー・ジェームズの暗殺」、1月22日にジョニー・デップ主演作「スウィーニートッド フリート街の悪魔の理髪師」の2本を鑑賞しました。まず1本目はブラビ主演「ジェシー・ジェームズの暗殺」のレビューです。

 

どちらかと言えば、かなり地味な作品だと思います。映像もゆっくり進みます。だけど闇の怖さをじ~んと感じます。ブラッド・ピットが本気で映画化したいと思った男、アウトロー、ジェシー・ジェームズとはどんな人物だったのか?

その伝説の男“ジェシー・ジェームズ”は今から約150年前に実在した凶悪な犯罪者だった。仲間を従い、25件以上の強盗、17件もの殺人を犯している。そんな彼なのに、民衆から英雄として称されたさらに彼の悲劇的な死が“ジェシー・ジェームズ”を今なお語り継がれる伝説の人物となっている。

 

破格の懸賞金をかけられ、常に追われる身だった彼を仕留めたのは、もっとも信頼すべき一味の仲間だった彼はアメリカ一卑怯な男として人々の記憶に残る暗殺者。そしてその暗殺者は誰よりも臆病で、誰よりもジェシーに憧れていた20歳の若者だった。憧れと殺意ーーーーその間に一体何があったのか?

 

STORY

憧れを殺意と変えた7ケ月ーーーーー。

最大の崇拝者は最も卑劣な暗殺者となった。

最初の強盗から15年あまり、ジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)は犯罪と逃亡を繰り返しながら生きていた。よき父親ではあったが、二人のこどもたちは、父親の職業も、本名さえ知らなかったーーーー。

 

 

1988年9月7日、ジェシーと兄フランク(サム・シェパード)率いるジェームズ一味は、ミズリー州ブルーカットでの列車強盗を企ていた。その夜の決行のために集まった一部に、場違いな印象の若者がひとり・・・・。懸命に自分を売り込もうとする姿があった実は一味のメンバー、チャーリー・フォード(サム・ロックウェル)の弟で、仲間に加わり、ジェームズ兄弟の「右腕」になりたいと訴える。彼の名はロバート・フォード(ケイシー・アフレック)。おどおどしているくせに自惚れだけは人一倍強いそんなロバートの申し出をフランクは避けた。なのにもかかわらず、ジェシーはそんなロバートをためらいもなく受け入れる

ジェームズ兄弟は南北戦争で南軍ゲリラとして戦ったが、結局戦争に敗れた。その後は銀行強盗・列車強盗を繰り返してきた。にもかかわらず、彼らは“義賊”のように書きたて、そのことは“英雄的”に描かれ、「ジェームズ兄弟物語」なる三文小説まで出版されていた。ロバートは幼い頃からそのことごとを読みあさり、ジェームズ兄弟、とりわけ弟のジェシーに強い憧れを抱いていた

今回の列車強盗を最後の仕事にしようと考えていたフランクはその後、ジェシーと距離を置くようになり、仲間の元を離れていく残りの者たちもそれぞれ分散して身を潜めることになったが、ジェシーはロバートには残るようにと命じる。それは単なる世話係としての役割すぎなかったが、他のメンバーを差し置いて、自分が指名されたことに、ロバートは有頂天

ジェシーとともに行動をともにする間、事細かに観察話し方・仕草まで目に焼き付けようとするロバート。しかし一緒に暮らし、伝説の人物の現実の姿をまのあたりにするうちに、彼の中にある憧れとは別の感情が生まれ始める。

 

ジェシーの首にかかった破格の懸賞金を目当てに、仲間の中には裏切りを画策する動きも出てきた。そんな状況に、疑念と焦燥に時に凄まじい怒りを爆発させるジェシー。殺気だっているそんな感情がいつか自分にも向けられるのではと思うロバート。

憧れと恐怖失望と野心内側に恐ろしいまでの葛藤の先にはつねに偉大な“ジェシー・ジェームズ”がいるのだった

 

フォード兄弟はジェシーと行動を共にするはめに・・・・・。

 

裏切ろうとした仲間はジェシーの手に次々と、殺されていきます。その動機は裏切りだけでなく、様々ないきさつもあって。

 

ジェシーの従兄弟にあたるウッドはディックにやられてしまう?ディックは、ウッドの若き義母に手を出したり、フォード兄弟の姉やその娘にも色目を使うことも・・・・。元々ウッドとは反目しあっていた。

 

人間模様の複雑さがこの映画の印象深いところでしょうか?その中でも、ロバートの、ジェシーへの憧れが、距離が近くなるにつれて、憧れというものが憎しみのような感情に変化するところ。それはカリスマ的存在だったジェシーの醜い現実の部分見たことによっての心の変化。

誰しもこんなことある。憧れていた人の別の部分を見て失望ってあるよね。殺意が生まれるか?どうかは別として。ジェシーもひとりの人間だった?

結末は、ジェシーはロバートによって銃殺されてしまいます。そのシーンを見ていると、ジェシーは殺される事を分かっていて、額を直すふりをして、隙を与えたように思います。ロバートそしてチャーリーは偉大なアウトロー“ジェシー・ジェームズ”を仕留めたということで、手柄を立てたヒーロー的存在になったように思えますが・・・・。

 

ジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)

 

ロバート・フォード(ケイシー・アフレック)

 

 フランク・ジェームズ(サム・シェパード)

 

ディック・リディル(ポール・シュナイダー)

 

ウッド・ハイド(ジェレミー・レナー)

 

 

チャーリー・フォード(サム・ロックウェル)

 

エド・ミラー(ギャレット・ディラハント)

 

 ジー・ジェームズ(メアリー=ルイーズ・パーカー)

 

ロバートはジェシー・ジェームズは想像以上に凄い男だと語っている。そんな彼に近づきたいと思っても、やはり手の届く存在ではなかったと・・・・・。憧れと現実の姿への失望、そして彼を超えるためにはジェシーを消す必要があると思ったのでしょうか。懸賞金ももらえるし。

でもジェシーを殺害したロバートは、英雄にはなれなかった。卑劣な暗殺者としか、見られなかった。最後までカリスマ的存在のジェシー・ジェームズには勝つことは出来なかったのだ。

 

灰色の大平原を背景に灰色の登場人物が煮詰められていく

ウォルター・ヒル監督の「ロング・ライダーズ」(80)の最後は、ロバート・フォードがジェシー・ジェームズを撃つ場面だった。フォード弟に扮したニコラス・ゲスト(兄のクリストファーがチャーリー・フォードを演じた)が「アイ・ショット・ジェシー・ジェームズ」と叫びながら引金を絞る場面は、妙な強引さが記憶に残る。

「ジェシー・ジェームズの暗殺」も、この場面を物語のクライマックスに用意している。ただ、ケイシー・アフレックの演じるロバート・フォードは叫ばない。映画全体も、「ロング・ライダーズ」が省略した「ジェシー・ジェームズの翳りを帯びた晩年」を丹念に描き出す。

 

ロバートはジェシー(ブラッド・ピット)の崇拝者だった。「おまえは俺のようになりたいのか。それとも“俺”になりたいのか」と問われてうつむき、憧憬と執着を抱えたまま、失望と憎悪をつのらせていく。1880年代初め。エジソンが蓄音機を発明し、ビリー・ザ・キッドが殺され、ドストエフスキーが「カラマーゾフの兄弟」を発表した時代だ。

監督のアンドリュー・ドミニクは、広大で寂寞とした大平原を背景に、両者の心理ドラマを煮詰めていく。急所はここだ。彼は、英雄と凡人、崇拝と憎悪という概念を対立させず、ジェシーの迷いとロバートの狂いを重層的に描き出す。「天国の日々」を思わせる映像だが、奥には「許されざる者」の灰色が潜む。灰色の大平原で、灰色の登場人物が不思議なパントマイムを演じている。 

 映画評論(芝山幹郎)から・・・・。

 

ジェシー・ジェームズの暗殺 オフィシャルサイト

 

 

 

Comments (6)
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