△本田竹曠(pf)△
昨年の年末あたりに、「音楽回顧録」のNobさんが取り上げていたのが、本田竹曠・井野信義・森山威男のトリオによるアルバム「イン・ア・センチメンタル・ムード」でした。
このメンバーの組み合わせに興味を抱いたので、早速Amazonで注文してみたんです。タイトルからしてバラード集かと思ったんですが、テンポの速い4ビートあり、バラードあり、ミディアムの4ビートあり、アフロ・ビートあり、ボサノヴァあり。リズム隊のふたり(井野氏、森山氏)のメンツからしてフリーっぽい演奏になるのかな、と思ってたんですが、基本的にテーマに忠実で、ソロもテーマをモチーフにした分かりやすいもの。
曲目も「ミスティ」「ボディ・アンド・ソウル」「枯葉」「イン・ア・センチメンタル・ムード」「チュニジアの夜」「エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー」などと、割とオーソドックスな選曲のスタンダード集といった風情のアルバムでした。
『イン・ア・センチメンタル・ムード』
アグレッシヴな本田氏のピアノですが、同時にリラックスして弾いているようにも聴こえます。そのピアノに反応して曲に力強くカラーをつけているのが森山氏の豪快なドラムです。時には本田氏を煽り立てているようにも聴こえます。井野氏のベースは実にオーソドックス。丁々発止のやりとりを続ける本田氏と森山氏の会話を落ち着いたベース・ランニングでまとめているような感じがします。

井野信義(b)

森山威男(drs)
このアルバムは1985年4月3~4日にかけて録音されたもので、同時に「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」と題したこれもスタンダード集を録音しています。この2日間で録音した16曲を2枚のアルバムに分散して収録した、ということなんですね。それを本田氏が急逝されてから一周忌に再発売したわけで、ジャケットも一新されています。85年当時はグランド・ピアノをモチーフにしたジャケットでしたが、今回はアメリカの街角を写したスナップ写真をジャケットに起用しています。

『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』
「イン・ア・センチメンタル・ムード」がとても気に入ったので、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」の方も注文してみました。これも「グリーン・ドルフィン・ストリート」「星影のステラ」「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」「いそしぎ」「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ」「ラウンド・ミッドナイト」など、ジャズの名曲がぎっしり詰まっていて、「イン・ア~」と同じ空気が漂っています。
もともとぼくは本田氏に対しては「孤高のピアニスト」というイメージを持っていたんですが、この2枚に関しては「媚びる」という意味ではなくリスナー寄りに演奏されていると思います。そして熱さと叙情性を兼ね備えていて、あの名盤「ジス・イズ・ホンダ」の延長線上にあるような気がします。
時折り聴こえる本田氏の唸り声も彼の音楽の一部なのでしょう。それを聴いてもいかに本田氏が曲の中に入り込んでいるか分かりますよね。

本田竹曠(pf)
この2枚のアルバムは、フュージョン・バンド「ネイティヴ・サン」で成功を収めたのちに録音されたものです。しかしどちらかというと、本田氏はこういうメイン・ストリーム路線もやりたかったことだったのではないでしょうか。
スタンダード集だからといって、惰性で演奏しているわけではありません。むしろ3人が楽しみつつも拮抗した迫力ある演奏を繰り広げているのだと思います。
心地良いスウィング感に身を委ねる曲、しみじみ泣ける曲、ノリノリでエキサイティングな曲、各種取り揃えられておりますよ。
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昨年の年末あたりに、「音楽回顧録」のNobさんが取り上げていたのが、本田竹曠・井野信義・森山威男のトリオによるアルバム「イン・ア・センチメンタル・ムード」でした。
このメンバーの組み合わせに興味を抱いたので、早速Amazonで注文してみたんです。タイトルからしてバラード集かと思ったんですが、テンポの速い4ビートあり、バラードあり、ミディアムの4ビートあり、アフロ・ビートあり、ボサノヴァあり。リズム隊のふたり(井野氏、森山氏)のメンツからしてフリーっぽい演奏になるのかな、と思ってたんですが、基本的にテーマに忠実で、ソロもテーマをモチーフにした分かりやすいもの。
曲目も「ミスティ」「ボディ・アンド・ソウル」「枯葉」「イン・ア・センチメンタル・ムード」「チュニジアの夜」「エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー」などと、割とオーソドックスな選曲のスタンダード集といった風情のアルバムでした。

『イン・ア・センチメンタル・ムード』
アグレッシヴな本田氏のピアノですが、同時にリラックスして弾いているようにも聴こえます。そのピアノに反応して曲に力強くカラーをつけているのが森山氏の豪快なドラムです。時には本田氏を煽り立てているようにも聴こえます。井野氏のベースは実にオーソドックス。丁々発止のやりとりを続ける本田氏と森山氏の会話を落ち着いたベース・ランニングでまとめているような感じがします。

井野信義(b)

森山威男(drs)
このアルバムは1985年4月3~4日にかけて録音されたもので、同時に「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」と題したこれもスタンダード集を録音しています。この2日間で録音した16曲を2枚のアルバムに分散して収録した、ということなんですね。それを本田氏が急逝されてから一周忌に再発売したわけで、ジャケットも一新されています。85年当時はグランド・ピアノをモチーフにしたジャケットでしたが、今回はアメリカの街角を写したスナップ写真をジャケットに起用しています。

『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』
「イン・ア・センチメンタル・ムード」がとても気に入ったので、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」の方も注文してみました。これも「グリーン・ドルフィン・ストリート」「星影のステラ」「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」「いそしぎ」「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ」「ラウンド・ミッドナイト」など、ジャズの名曲がぎっしり詰まっていて、「イン・ア~」と同じ空気が漂っています。
もともとぼくは本田氏に対しては「孤高のピアニスト」というイメージを持っていたんですが、この2枚に関しては「媚びる」という意味ではなくリスナー寄りに演奏されていると思います。そして熱さと叙情性を兼ね備えていて、あの名盤「ジス・イズ・ホンダ」の延長線上にあるような気がします。
時折り聴こえる本田氏の唸り声も彼の音楽の一部なのでしょう。それを聴いてもいかに本田氏が曲の中に入り込んでいるか分かりますよね。

本田竹曠(pf)
この2枚のアルバムは、フュージョン・バンド「ネイティヴ・サン」で成功を収めたのちに録音されたものです。しかしどちらかというと、本田氏はこういうメイン・ストリーム路線もやりたかったことだったのではないでしょうか。
スタンダード集だからといって、惰性で演奏しているわけではありません。むしろ3人が楽しみつつも拮抗した迫力ある演奏を繰り広げているのだと思います。
心地良いスウィング感に身を委ねる曲、しみじみ泣ける曲、ノリノリでエキサイティングな曲、各種取り揃えられておりますよ。
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