ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

マシン・ヘッド (Machin Head)

2007年05月08日 | 名盤


 今日はとても良い天気でした。もう半袖でもいいくらい暖かかったですね。こんな日にはハード・ロック系のアルバムでも聴いて、自分で自分を高揚させようと思い、ディープ・パープルの「マシン・ヘッド」をCDのトレイに載っけてみました。





 このアルバムは、スイスのモントルーにあるホテルの廊下で録音されたということは有名な話ですね。ディープ・パープルの面々が放つ爆音に近所の人たちからの苦情が殺到、警察まで出動するという慌しい雰囲気の中で録音が行われたといいます。


 もともとはモントルーにあるカジノでレコーディングする予定だったのですが、パープルのメンバーたちが、ちょうどスイスに来ていたフランク・ザッパ&マザーズ・オブ・インヴェンションのライヴを見に行っている間に、何者かがカジノの天井にフレイヤー・ガン(火炎放射器)を打ち込んだことから大火事になる、というアクシデントに見舞われます。
 不運にもメンバーたちは楽器などを失いましたが、代わりにこの事件を題材にした曲を作ります。それが「スモーク・オン・ザ・ウォーター」なんですね。





 「スモーク・オン・ザ・ウォーター」は、ギターを手にしたロック少年なら誰でもが一度は弾いてみたことがある、というくらい有名なリフを持っています。当初はシングル・カットされる予定はなかったのですが、アメリカのあるラジオ局のDJがこの曲を気に入り、ひんぱんにラジオで流したことから火がつき、ヒットに繋がった、ということです。


 このアルバム、1曲目の「ハイウェイ・スター」のイントロを聴くだけでテンションが一気に上がります。この曲のギター・ソロもたいへん有名ですが、この部分はJ・S・バッハの曲のコード進行を引用しているというのもよく知られた話です。
 そのほか「レイジー」や「スペース・トラッキン」など、ライヴにおけるディープ・パープルの重要なレパートリーとなる名曲が収められています。これらの曲の真価は、やはりライヴで発揮される、と言えるかもしれません。



 

 リッチー・ブラックモアは、ハード・ロックの名ギタリストとしてリスペクトされていますが、その評価が高まったのは『イン・ロック』や、この『マシン・ヘッド』などの作品によるものでしょう。リッチーの絶妙なテクニックは、プロ、アマ問わず、多くのロック・ギタリストに影響を与えました。
 また、見逃せないのが、ドラムスのイアン・ペイスの安定したプレイです。技術的にも申し分ないですし、ドラムをとてもよく歌わせています。曲にきちんとメリハリが付いているのは、イアンのドラムによるところも大きいのではないでしょうか。


 全体としては、ライヴ盤に比べると余分なギラつきがない、というか、スピード感を保ちながらも落ち着いた重厚な雰囲気を出しています。曲順の流れも理想的。とめどない疾走感は聴く者を引きずりこんで離さず、最後まで一気に聴かせてしまうエネルギーがあります。
 クラシックやブルーズから受けている影響を消化、ハードなサウンドの中に作り上げた様式美がディープ・パープルの特徴だと言っていいでしょう。





 「マシン・ヘッド」はハード・ロック系にカテゴライズされるアルバムですが、決してハード・ロック・ファン専用のアルバムではありません。ロック・ファンの全てが一度は手に取ってみるロック・クラシックスの名作だと思います。



◆マシン・ヘッド/Machine Head
  ■歌・演奏
    ディープ・パープル/Deep Purple
  ■リリース
    1972年3月25日
  ■プロデュース
    ディープ・パープル/Deep Purple
  ■収録曲
   [side A]
    ① ハイウェイ・スター/Highway Star  ☆フランス30位
    ② メイビー・アイム・ア・レオ/Maybe I'm a Leo
    ③ ピクチャーズ・オブ・ホーム/Pictures of Home
    ④ ネヴァー・ビフォア/Never Before  ☆イギリス35位
   [side B]
    ⑤ スモーク・オン・ザ・ウォーター/Smoke on the Water  ☆アメリカ4位
    ⑥ レイジー/Lazy
    ⑦ スペース・トラッキン/Space Truckin'
    ※All tracks are written by Blackmore, Gillan, Glover, Lord & Paice
    ☆シングル・カット
  ■録音メンバー
    イアン・ギラン/Ian Gillan (vocals, harmonica)
    リッチー・ブラックモア/Ritchie Blackmore (guitar)
    ジョン・ロード/Jon Lord (keyboards)
    ロジャー・グローヴァー/Roger Glover (bass)
    イアン・ペイス/Ian Paice (drums, percussion)
  ■チャート最高位
    1972年週間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)7位、イギリス1位、日本(オリコン)6位
    1972年年間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)86位





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8 コメント

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そうです! (Nob)
2007-05-08 22:32:36
周りにギター少年が多かったので、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」は散々聞かされました。
それも、イントロばっかし(笑)
ディープ・パープルのせいじゃないのに、かなりウンザリです。
流石に、「ハイウェイ・スター」を弾く子はあまりいなかったですね。
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これはですね・・・ (カルロス)
2007-05-08 23:00:22
ウクレレで弾くと妙にマヌケで和みますよ~(^^)
しかし、何度聴いたかわからないほど、レコードが擦り切れましたね(^^)
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Nobさん (MINAGI)
2007-05-09 08:29:42
>イントロばっかし
 そうなんですよね~。かくいうワタクシもその中のひとりでした。(^^)
 ディープ・パープルの曲って、ギターで弾いてみたいリフを持つものが多かったですからねぇ。「紫の炎」とか「スピード・キング」とか。。。

「ハイウェイ・スター」は、マジメに練習に励む子(笑)でないと弾けない曲ですね。
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カルロスさん (MINAGI)
2007-05-09 08:33:18
「ブラック・ナイト」を沖縄音階で、ウクレレで弾いてみてください。さらに脱力するはずです、わはは。(^^)
このアルバムは当時のロック少年必聴の一枚でしたよね~。ハード・ロックというとパープルとツェッペリンでキマリ、でしたもんね。
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湖上の煙~♪ (オンデン1970)
2007-05-09 15:07:23
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を日本語で歌ってた「王様」って言う人、いましたよね。今どうしてるのかなあ。
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オンデン1970さん (MINAGI)
2007-05-09 15:28:08
>王様
 直訳ロック(^^)の王様ですね。
 全然噂を聞かないんですが。。。
 何ヶ月か前に、ある番組にレポーターで出てたのを見たことはあります。
 その代わり「You Tube」で王様の「ディープ・パープル・メドレー」、見つけましたよ。
↓ ↓ ↓
http://www.youtube.com/watch?v=7nSzY7WcibA
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Unknown (ジェイ)
2007-05-09 23:29:27
私もこのアルバムは良く聴きました。これと「IN ROCK」ね。そんな時代だったのよね~。
ロック聴き始めた時は今では余り聴かないハードロックを良く聴いていました。もうギター小僧の憧れの的でしたね。三大ギタリストの一角、ジェフ・ベックを弾く人は余りいなかったけど、そのかわり(?)リッチーさんを弾く人はたんといましたね。
以前MINAGIさんの記事にあった「○○禁止」を思い出してしまいます。
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ジェイさん (MINAGI)
2007-05-10 08:23:19
そうですそうです、「イン・ロック」。いわゆる第2期パープルといえば「イン・ロック」と「マシン・ヘッド」でキマリ、でしたよね。
リッチーのコピーに励むギター小僧、ぼくの周りにもかなりいました。やっぱりまずは「ハイウェイ・スター」のソロに憧れてたみたいです。

>○○禁止
 ほんとにね~。「天国への階段」を禁止にするくらいなら「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のイントロも禁止!しなきゃ不公平ってもんですよね。(^^)
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