クリスマス・キャロル (新潮文庫) | |
Charles Dickens,村岡 花子 | |
新潮社 |
クリスマスの頃になると読みたくなる本や見たくなるDVDがいくつか
あります。強欲爺さんのスクルージが、幽霊に伴われて、貧しいけれ
ど温かい人々の様子や、自分の行く末を見せられて改心するご存
知、ディケンズの『クリスマス・キャロル』もその一つ。道徳的な教
訓譚にならず、ユーモアのある人情話になっているところが、ディ
ケンズのディケンズたる所以でしょう。
3人のゴースト [DVD] | |
ビル・マーレイ,カレン・アレン,ジョン・フォーサイス,ロバート・ミッチャム | |
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン |
だから、こんなふうに時代を移した映画にもできるのでしょう。『3人
のゴースト』の主人公は、ニューヨークの大会社の社長という設定
に変わっていますが、筋立ては『クリスマス・キャロル』とそっくりの
コメディで、楽しめます。原作に忠実なジム・キャリー怪演のディズ
ニーの映画もあります。
でも、ここ最近私がこの時期に一番読みたくなるのは、イギリスの
作家ロバート・ウェストールの短編集"Christmas Spirit"の第一話
"The Christmas cat"です。
二次大戦間近のイギリス。両親が海外にいるキャロラインは、港町
の牧師である叔父のもとでクリスマス休暇を過ごすことになります。
待っていたのは、性悪の家政婦のミス・ブリンドリー。彼女は牧師
館に君臨し、牧師を意のままに操って、町の人々から彼を遠ざけて
います。もちろん彼女はキャロラインが気に入らず、暖房を一切点
けさせないなど、意地悪をするのですが、雄々しいキャロラインは
町の貧しいがけなげな男の子と知り合いになり、厩にいるお腹の
大きい雌猫に餌を運んだりして、ミス・ブリンドリーに抵抗します。
そしてクリスマウ・イブの夜、すてきな奇跡が起こります。ミス・ブ
リンドリーは姿を消し、、、。結末は下の本でどうぞ。厳しい階級
制度や貧困や社会不安などを背景にしていますが、あくまでも平
易な子ども向けの本で、随所にウェストール一流のユーモアの効
いた温かくも洒落たクリスマス・ストーリーです。
クリスマスの猫 | |
ジョン ロレンス,Robert Westall,Jahn Lawrence,坂崎 麻子 | |
徳間書店 |
川崎JR駅前の地下街アゼリアのクリスマスツリー。