キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

手ぶくろ

2012-12-29 15:26:01 | 絵本
手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)
黒井 健
偕成社

       新美南吉の童話はどれも、言葉が美しく、可愛く、底にそこはか

       とない悲しみが流れていて、いつ読んでもじんと来ます。特に

       知られている『ごんぎつね』は、子どもの教科書に載っているの

       を読んだ時涙が出ました。『手ぶくろを買いに』は『ごんぎつね』

       ほど、辛く悲しい気持ちにならず、ほんわか優しい気持ちになれ

       るお話です。「おかあちゃん、おててが冷たい、おててがちんちん

       する、、、」と子ぎつねが、母ぎつねに訴えるとところなんか、あ

       まりの可愛らしさに、思わずそばにいるきつね色の柴犬なっちゃ

       んを胸に抱きしめたくなったほどです。色々なバージョンが出てい

       ますが、『ごんぎつね』も『手ぶくろを買いに』も黒井健さんの絵の

       版が秀逸です。きつねの手を出したのに、赤いかわいい手袋を

       売ってくれたと聞いた母ぎつねがつぶやきます。「ほんとうに人

       間はいいものかしら、ほんとうに人間はいいものかしら」ここには、

       作者新美南吉自身の人間に対する不信感、でも信じたくてたま

       らない気持ちが投影されているのだとか、こんな美しいお話を書

       くことのできる純真な人だからこそ、人を信じられなことが人一

       倍辛かったのでしょうね。

てぶくろ―ウクライナ民話 (世界傑作絵本シリーズ―ロシアの絵本)
エウゲーニー・M・ラチョフ,うちだ りさこ
福音館書店

       手袋を題材にした『てぶくろ』というウクライナ民話があります。

       おじいさんが落とした手ぶくろに、ネズミ、カエル、キツネ、クマ、

       どんどん入ってぎゅうぎゅう詰め。ありえないんですけどね。暖か

       そう!これも絵がいいんです。それぞれの動物がとても個性的。

        

       絵本の手袋に負けない、きれいな赤いチェックの手袋を友人

       からクリスマス・プレゼントにいただきました。病気のお見舞い

       の意味も込めてくださったのでしょう。手も心も暖かくなりました。
コメント
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