キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

かたかごの花

2013-02-26 10:42:20 | 地球
          

          もののふのやそ乙女らが汲みまがふ 寺井の上のかたかご花  大伴家持

        「おおぜいの少女たちが入り乱れて水を汲む、寺の井戸の側のカタクリの花よ」

        少女たちの賑やかな笑い声が響いてくるような、明るい歌です。今も昔も、若

        い娘さんたちが、賑やかに笑いさざめいているのって、見ていて嬉しいもので

        す。家持はこういう絵画的な情景を切り取るのがうまいですね。早春に咲くか

        たかご(カタクリ)の花って、残念ながら、この頃はどこででも見られるという

        ものではありません。これは箱根の湿生花園で見たカタクリの花です。恥じら

        うように咲く紫がかった薄いピンクの可憐な花です。

          

          春の苑くれないにほふ桃の花 下照る道にいでたつ乙女    大伴家持

        これもまぶしばかりに輝く、桃の花と少女の歌です。うららかな春の喜びの情

        景が伝わってきます。家持さん、萬葉集の先の時代の歌人に比べると、軟弱

        だの、技巧的過ぎるだのと言われますが。私はファンです。
コメント
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