やさしい黄色の、やさしい良い香りのユズ。
主役にはなれないけれど、冷奴に、湯豆腐に、鍋もののつゆに、
お漬物に、名脇役です。このごろNHKの朝ドラのテーマソングを聞
く度に、歌っているデュオのゆずから柚子を連想してしまいます。
レモンも今が季節のようです。柑橘類はだいたい秋が旬なんですね。
ご近所から見事なのを戴きました。日本でも立派に実るんですね。
高村光太郎の智恵子抄の一節、智恵子が光太郎の手から一つとっ
たレモンを死の床でガリリとかじると「トパアズ色の香気が立ち」ます。
レモンは柚子よりもっと峻烈でさわやか、目の覚める酸っぱさです。
里芋も秋の味覚です。私、おいも類の中では里芋が一番好きなん
です。そんなに味の強いものではないけれど、あのぬめりの中に
密かな自己主張を感じる食べ物です。
今回は牛肉と煮たちょっと芋煮風。京都の名物料理に里芋の一
種である海老芋と棒鱈を炊いた「いもぼう」というのがあります。
一度食べてみたいと思っているのですが。
里芋に対して山の芋というのは別名自然薯。とろろにする芋です。
これもおいしいですね。芥川龍之介に「芋粥」という短編があります。
「平安時代のある下級役人は、気が小さく覇気のない人物でしたが、
人生のたった一つの望みは芋粥をお腹いっぱい食べることでした。
ある時願いがかなって、大量の芋粥を供されて、、、」さあ一体どう
なったでしょう?この芋粥、山の芋を細かく切って、甘葛の汁で煮
たものだということです。甘いものは贅沢品だった時代のお話です。
どんな味だったのでしょうね?これも一度食べてみたいものです。