街はクリスマス一色。東南アジア料理のモンスーンにもクリスマス
ツリーが。バリ島風のインテリアと照明に、妙にマッチしています。
クリスマスの思い出 | |
山本 容子,村上 春樹 | |
文藝春秋 |
あるクリスマス | |
村上 春樹 | |
文藝春秋 |
この時期になると毎年読みたくなる本が何冊かあります。
トルーマン・カポーティの「クリスマスの思い出」と「あるクリスマス」
「誕生日の子どもたち」という6つのお話からなる短編集のうちの2編
です。トルーマン・カポーティは「ティファニーで朝食を」で有名ですが、
この2編はそれに勝るとも劣らない感動作です。特異な幼少期を過し
たカポーティの、ほとんど自伝のような作品ですが、泣けます。
7歳のボクは、両親が離婚して、アラバマの親戚の家にあづけられてい
ます。いとこ(といっても60歳を過ぎたちょっと知恵遅れのおばさん)と
仲良しのボクは、毎年おばさんとなけなしの金をはたいてクリスマスのケ
ーキをたくさん作ります。でもそんな幸せな年がいつまでも続く訳はなく、、。
これぞストーリーテラーの面目躍如といった筋運びと文体で、しかも訳
者が村上春樹。しみじみとした読後感が爽やかです。トルーマン・カポ
ーティは破滅的な人生を送った人で、「冷血」なんていうホラーに近い
いような長編もありますが、風変わりながらも幸せな子供時代を描いた
このような作品は、ノスタルジックで、優しい気分を誘います。