シェイクスピアのハムレット、狂気に陥り水死したオフィーリアを描いた
ジョン・エヴァレット・ミレイの有名な絵です。ラファエル前派らしい濃密
で美しい表現によって見る者はロマンチックな世界に引き込まれます。
この絵を思い出したのは、先日の新聞に、朝日広告賞の最高賞を受
賞したこの絵のパロディーが掲載されていたからです。
「死ぬ時くらい好きにさせてよ」というコピーの下で、オフィーリアに扮
した樹木希林さんが幸せそうな顔をして水に浮かんでいる写真です。
「高齢化社会が進む日本社会に「いかに死ぬか」を問いかけるもの
だそうです。スタジオで温水に浮かぶ樹木希林さんを撮影したのだ
そうで、周りの木や草花なども本物の絵そっくりです。生きることば
かり考えず、美しく、自分らしく死ぬことも考えてみてはと問いかけて
いるのでしょう。それはわかるし、パロディーと言うものの性質も分っ
ているつもりなんですが、原画のロマンチックな美しさが多少冒涜さ
れているのような気がして、あまり気持ちよく見れなかったのですが。
だけどね、こんなふうに印象の強い、よく知られている絵は様々に
パロディー化されていることを知って、ああなるほど良い所に目を
つけたなと思った次第です。
だって、この絵などオフォーリアは人間でさえないのですから。