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奈良の春日山の麓にある新薬師寺は、新という字がついているものの、それ
は飛鳥時代に創建の薬師寺に比べてのことで、747年天平19年、今から1300
年ほど前、光明皇后が聖武天皇の病気回復を祈願して建てられた古刹です。
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奈良のお寺によくあるように、創建当時はもっと規模が大きかったようで
すが、今もなかなかに凛としたたたずまいを残し、訪れる人を魅了する静
かな雰囲気のお寺です。より有名な大寺より、なぜか心ひかれます。
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奈良時代に建てられた国宝のすっきりした形の本堂の中には、本尊の薬師如
来さまがいらっしゃいます。これも奈良時代造の国宝ですが、新薬師寺で有名
なのはなんといっても、薬師如来を守って立つ十二神将像です。一体補作され
た像を除き、すべて国宝で、その迫力に圧倒されます。今はほとんど残りませ
んが、往時は金、赤、緑青、黄色などで、すべての像がきらびやかに着色され
ていたそうです。どれほど壮麗だったことでしょう!
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桜の花も盛り、緑も萌出ではじめる良い季節に訪れることができました。
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庭の苔むした石の割れ目から、葉をつけた細い枝が伸びていました。
時の移ろいの中に、自然の生命力を見る気がしました。
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庭の片隅にある会津八一の歌碑です。
「ちかづきてあふぎみれどもみほとけのみそなはすともあらぬさびしさ」
(近づいて仰ぎ見ても仏さまは自分を見ておられないようでさびしい)
これは白鳳時代に造られた70センチほどの香薬師像を詠んだ歌だそうで
すが、とても美しい仏様だったそうで、そのためでしょうか、明治時代2度の
盗難に会い、その都度戻ってきたのですが、70年前にまた盗まれ、その後
行方知れずなのだとか。ところがその仏様の右手だけが近頃鎌倉のお寺
から見つかったそうです。写真で見るときれいな、ふくよかな御手です。
香薬師さま、今いったいどこにいらっしゃるのでしょうね。