日本中あまたある道の中で、私がいま一番気に入っているのが、奈良
県の御所市から五條市に至る、葛城山金剛山沿いの街道です。葛城古道
と呼ばれる太古の道です。ノスタルジック街道なんて呼ばれてい
ます。葛城山金剛山を片方に、もう一方に開けた田園地帯を望む
ほんの数キロの道ですが、山が迫るでもなく遠くもなく、すっき
りした道で、ちょっとイギリスの田舎を思わせます。たっぷりの
試食で有名なおいしい豆腐屋さん、自家製ハム・ソーセージのお
いしいレストラン、しゃれたパン屋さんなど、田舎にしては(失
礼な言い方ですが)すてきな食に出会えます。
けれどなんといっても見どころは、古い歴史の土地ならではの古さびた
神社やお寺の数々です。これは高天彦神社。ここが天孫降臨神話で神々
がいらっしゃたとされる高天原の地であったとの伝承がある古い古い神
社です。小さな神社ですが、霊気が満ち満ちているような気がしました。
その他、前に紹介した京都の上賀茂神社、下鴨神社の本宮、高鴨神社や
鴨山口神社、そしてこの鴨都波神社など、この地の豪族であった鴨氏の
氏神社が点在しています。いずれも歴史の香り豊かな荘厳な神社です。
その一角に、これまたすてきなお寺があります。お寺に「すてき」
なんていうのは不敬かもしれませんが。船宿寺です。ツツジの名所、
花のお寺です。行基さまが創建したというから、これも古い!
真夏ゆえ、ツツジは見られませんでしたが、白、赤のアオイが青空
に映えてきれいでした。