外苑東通りと東京都道415号高輪麻布線が交差している「新一の橋交差点」を渡っていきます。交差点の上空で合流している首都高速都心環状線と2号目黒線の「一ノ橋ジャンクション」と比較すると、一般道路側が「一の橋」で首都高側が「一ノ橋」と名称に違いがあります。ちなみに、交差点脇で古川(渋谷川)に架かっている橋の名前は「一の橋」となっていました。
新一の橋交差点前から六本木方向を撮影してみました。一ノ橋周辺は古川(渋谷川)に沿った低地となっていますが、ここから六本木方面へ緩やかな上り坂が続いています。現在の港区の旧麻布区周辺は傾らかな丘陵地帯の地形が広がっていて、その斜面や高台の上に市街地が発達しています。
新一の橋交差点上空で合流している首都高速都心環状線と2号目黒線。古川の頭上を通っていた都心環状線の高架橋が交差点の上で右急カーブを描いて飯倉方面へ進み、南側から直進してきた2号目黒線の高架橋が交差点上空で都心環状線と合流しています。上空から見下ろすと高架橋がトライアングルを描いているような形になっています。
新一の橋交差点真下で都営大江戸線と東京地下鉄南北線が交差していて、「麻布十番駅」が設置されています。2000年代初頭に2路線が開通する以前のここ麻布十番地区や東麻布地区は「陸の孤島」と呼ばれていました。それ以前は鉄道を利用するには海側にあるJR浜松町駅か、坂上の地下鉄日比谷線六本木駅まで移動するしかなかったのです。
2000年(平成12年)の9月26日に南北線が溜池山王駅から目黒駅まで全線開通、12月12日に大江戸線が国立球技場駅から都庁前駅まで全線開業したことによって、ようやくこの地域は地下鉄路線が走るようになりました。大江戸線に乗れば新宿や新橋方面へ、南北線に乗れば目黒や飯田橋方面へ出ることができるので一気に利便性が増したのです。
とは言っても地下鉄が開業して約10年ちょっとしか経っていないせいか、まだ麻布十番駅周辺は中層マンションや住宅街、商店街といった街の風景が10年前とあまり変わっていない気がします。そのうち大規模な再開発が行われて、六本木ヒルズのような人が集まりやすくなる街へと変貌するのかもしれないです。
逆に言うとこれまで長い間、鉄道路線が通っていなかった為に大規模な商業施設が出来ず、「閑静な雰囲気の住宅街」というイメージが根強く残っていたのかもしれません。実際に歩いてみても中層マンションが立ち並ぶ中でお洒落な雰囲気のお店が点在している町並みが広がっていました。
外苑東通りの緩やかな上り坂を六本木方面へ向かって散策していきます。散策していると常に目の前に六本木ヒルズの巨大な建物がそびえ立っているのでそれを目指して歩いていきます。以前にも麻布十番駅前から六本木ヒルズを散策したことがありましたが、その時は麻布十番商店街の中を歩いていきました。今回は商店街に並行している大通りである外苑東通りをまっすぐ歩いていきます。
港区の「麻布十番地区」は戦前の東京市の旧・麻布区の中に位置している地域です。「麻布十番」の町名は1962年(昭和37年)に成立したもので、それまでの麻布新綱町、麻布綱代町、麻布坂下町、麻布永坂町、麻布日ヶ窪町、麻布宮下町、麻布宮村町、麻布一本松町、麻布山元町、麻布新広尾町の各一部が統合されて誕生しました。「十番」の名称は、十番組屋敷、十番橋など、江戸時代の町名だった里俗称を復活したものです。
緩やかな上り坂である外苑東通りが右カーブへと移り変わる箇所に差し掛かると「鳥居坂下交差点」が見えてきます。ズームで交差点周辺を撮影していると、大通り沿いの建物が「麻布台地」と呼ばれる丘陵地帯の斜面に建っているのがわかります。鳥居坂下といえばバブルの時代にディスコ「マハラジャ」があったと記憶していますが、もう過去の話です。
麻布十番駅のある周辺は旧麻布区の「麻布新綱町」と呼ばれてた地域です。江戸時代の初期は古川(渋谷川)がそばで流れていた低地であり、誰も住んでいなかったと言われています。
江戸時代中期に武家屋敷が建てられるようになり、同時に周辺を流れている古川(渋谷川)の治水工事が行われます。古川は延宝3年(1675年)に幕府直轄の改修事業が施され、新堀川と呼ばれるようになります。現在一帯を「十番」と呼ぶようになったのは、この改修工事の際に芝の将監橋から一の橋までを十の工区に分け、その十番目の工区にあたったからだという説が有力であると言われています。
一の橋や鳥居坂下から見上げると、まるで高台の上に六本木ヒルズが建っているように見えます。実際に六本木ヒルズの再開発工事の際に元々麻生台地の高台であった敷地の上にさらに土砂を盛ってその上に高層ビルを建てたと言われています。六本木ヒルズのメイン広場である「66プラザ」の標高は約20~30メートルであると言われています。
外苑東通りはこの先で右カーブを描きながら丘陵地帯の斜面を登っていきます。東京都心部の中にこんな過酷な地形があるとは思ってもみなかったです。
「鳥居坂下交差点」に到着しました。遠目で見ても急な上り坂であることがわかります。この急な坂を登ると、フィリピン大使館や東洋英和女学院前へ出ることができます。この先は引き続き外苑東通りをひたすら歩いて六本木ヒルズ・テレビ朝日本社ビル前へ向かいます。
古川(渋谷川)に沿った新一の橋交差点・麻布十番駅前の低地から、丘陵地帯である六本木六丁目方面へ向かって外苑東通りを歩いていきます。