★ベルの徒然なるままに★

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『妖奇庵夜話 その探偵、人にあらず』榎田ユウリ

2016年04月25日 | 小説・漫画・書籍
先日から読んでいました、角川ホラー文庫の『妖奇庵夜話 その探偵、人にあらず』、読み終わりました~。



あっ。
妖奇の奇の漢字は、本当は「」(「埼」って言う字の左側が「王」になっている漢字)なのですが、これ、PCで打ち出すと、環境依存文字・・・なのかな?

iPhoneとかでは表示されないっぽいので、Amazonでの表記と同じ「奇」と表記しておきました。


元々、角川ホラー文庫は、『バチカン奇跡調査官』シリーズなどで大好きでして。
結構、本屋さんでもよくチェックをしています。

で。

今回、この本を手に取ったきっかけは、というと。

中村明日美子さんのカバーイラストだったのです(*^^*)

で、あらすじを読んでみると、なにやら、妖怪絡みのホラーテイストでありつつ、殺人事件、警察も出て来るミステリでもあり。

探偵も、どうやら人間ではなく、妖怪の遺伝子を持つ「妖人」っぽいですし。

色々と私のツボだったので、お買い上げ♪♪

そして、読み始めると、とても面白くて!

一気に読んでしまいました。



この物語の世界では、人間の亜種である、「妖人」という存在が居るのですよ。

昨今の遺伝子研究の発展により、人間ではなく、妖怪の遺伝子を持つ人間の存在が明るみになった・・・という世界。
そんな「妖人」と呼ばれる存在ですが、特殊な能力を持っているというだけで、見た目は、普通の人間と変わらない。
なので、黙っていれば、人間か妖人かは区別がつかないのですが。
それでも、遺伝子検査などで分かってしまうこともあり。
「妖人」は、妖人登録みたいなのをされて、普通の人間とは差別されているのですよね。

そして何か、犯罪が起こると、世間はまず、妖人を疑うような風潮にある・・・。

そういう世情から、警視庁にも、妖人絡みの犯罪を取り扱う「妖人対策本部」。通称Y対というのが創設されるのですよね。

そして、そのY対がいつも頼っている探偵が、お茶室「妖庵(ようきあん)」の主。
洗足伊織。
美青年なんだけど、なぜか、その左目はいつも髪の毛に隠されています。
とても口が悪く、ひねくれた性格。
けれども、人間と妖人を見分ける能力を持ち、優れた洞察力や推理力で事件を解決する優秀な頭脳の持ち主で、警視庁からも頼られています。

そんな伊織の元に、Y対の新人刑事・脇坂が、妖人「アブラトリ」が絡むと思われる女子大生誘拐監禁殺人事件の捜査について相談を持ち込み・・・。



というのが、この巻のお話。

もう、シリーズで5作も出ているのですね。

これは、1巻にあたるお話です。

なので、妖怪の遺伝子を持つという妖人の探偵で、隻眼の美青年・洗足伊織についても、いろいろと謎な部分が多いです。

ラストで少し明かされてきた彼の謎ですが、これから、巻が進むごとに少しずつ明らかになっていくのでしょうかね?
楽しみです。

作品のイメージ的には、和製X-MENって感じです。

私、こういうお話、大好き!!

基本的には人間と同じなのに、ちょっとだけ特殊な能力がある・・・というだけで、「亜種」とされ、人間と区別され差別される、妖人。
やはり、X-MENのミュータント達を思い出しますね。

この物語でも、理不尽な区別や差別を受ける妖人達は、とても気の毒でした・・・。

確かに、邪悪な妖人も居るには居るけれども。
でも、純真で心優しい妖人だって、たくさん居るのですよね。

そんな彼らが、とても生き難い世の中になっているのです。

そして、妖人でありながら、Y対の捜査に協力している、探偵の洗足伊織。
茶道の家元なのですが、とても気難し屋で人嫌いなのも、きっと、彼自身の何か複雑なものを抱えているから故のように感じました。

っていうか、伊織は、凄い美青年なんだけど、いつも左目を髪の毛で隠しているのです。

その隠された左目というのが。

外科手術とかではなく、ひどく雑な感じで縫い塞がれてて・・・。

それは、彼のお母さんが、彼の妖人の能力を封印する為に縫い付けたものらしいのです。

そして、その封印されている左目を解放すれば、とんでもない力になる・・・とも。

そんな訳で、ダークサイドな妖人からも、「自分の側につけ」とお誘いを受けたりするところも・・・なんとなく、X-MENのプロフェッサーXとマグニートーみたいな雰囲気で。

こういう設定好きとしては、とても気になる展開でした。


ホラーテイストでありつつ、犯人当てのミステリ要素もありです。
監禁され、決して死なないように健康を管理されつつ、それでも極限まで痩せさせられた女子大生の死体などは、実に猟奇的で怖かった!!

そんなホラーに事件に挑む、妖人の隻眼美青年探偵と、ちょっとお間抜けだけど天然でピュアな新人刑事など、それぞれのキャラクターにも味があって、とても楽しめました。


だけど、思ったのが・・・。
これだけ、世間から差別され恐れられてる妖人だけど。
皮肉にも、一番怖いのは、人間の側なのですよね。

今回の女子大生殺人事件もね。
女子大生同士のドロドロというか。
一見、仲の良い良い女友達同士に見えて、実は、それぞれ皆、その心の内は怖かったしな・・・。

また、犯人の歪んだ欲望とかも。

なんか、人間の心の醜い部分を浮き彫りにされた感じで怖くもありました。

きっと、伊織が人を嫌うのも・・・そういう人間の本質を知っている(知ってしまった?)からなのかもしれないなぁと。


色々とツボってハマった作品なので、引き続き2巻も読んでいきたいです~。

2巻も楽しみです(*^^*)←実は、もう買ってある☆