ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

三葉虫のワークショップを報告します

2013-08-04 12:50:58 | 対話型鑑賞
三葉虫のワークショップを報告します


28日に行った三葉虫のワークショップのレポートを会員の金谷さんが届けてくれましたので、UPします。大人も子供も時間を忘れて三葉虫の謎に迫りました。

みるみる会員のかねたにです。先日7月28日に行われた京大博物館長の大野先生による「三葉虫を調べよう!」のワークショップの様子をお伝えします。最後まで読んでいただけたら、きっとあなたも三葉虫のとりこになるかも!?

○食べたことある人!?
 まず、大野先生の「三葉虫を見たことある人?」のことばに、数名の手が挙がりました。「じゃあ、食べたことある人?」といわれると、子どもたちは思わず「えぇー!?」と顔を見合せました。そう、三葉虫は5億年~2億5千万年前の生き物で、現在は生息していません。そんな三葉虫に焦点をあてた、ワークショップがドキドキやワクワクな気持ちととともにはじまりました。

○いじわるおじさん?
 「グループで協力して、三葉虫がどんなふうにして生きていたか考えよう!」という、大野先生のことばにうなずく参加者のみなさん。でも次のことばに、またまた「えぇー!?」の声があがりました。「おじさん、ヘンなこと聞くよ。いじわるな質問もするよ。」と。「でも、ヒントになるものも貸してあげるからね」と、参加者一人ひとりに三葉虫の小さな化石が配られました。

○うまく描く必要はない。みて・さわって・きづく。
 プラスチックの箱に入った三葉虫の化石に、会場のテンションがちょっとアップしました。そのうえ、「箱を、開けていいよ。触ってもOK!」とのことばに、子どもたちはもちろん大人も、またまたテンションアップです!「三葉虫の化石をよくみて、大きく絵を描こう。気づいたことやふしぎだなと思ったことは、メモしておこう。」「図工じゃないから、うまく描く必要はない。三葉虫をよーく観察して、気がついたことをていねいに描こう!」。大野先生の「うまく描く必要はない」ということばに、ほっとした空気が流れました。
 約20分間のスケッチタイム、参加者自身が『みて』『さわって』『気づく』ことができるように、大野先生は各グループをまわって、「顔はどこかな?」「この線、どうなってる?」などなど問いかけておられました。学びの主体は、いつだっていくつだって、その人自身なのだということを感じました。

お題① 何に似ているかな?
 一人ひとりが描いたスケッチをもとに、三葉虫とはどんな生き物なのか特徴を発表し、それを大野先生が描いていきます。ここで、いじわる(?)おじさんの登場です。小学生の男子3人が、三葉虫の特徴について話すのですが、おじさんにはこれがなかなか伝わらない!「骨みたいなのがある」といえば、いかにもホネ!というような絵(イラスト)を描くおじさん。「いやいや、骨じゃなくて線がある」といえば、たてじまを描くおじさん。「ちがう、よこよこ!」と少年たち。もう、自分たちで描きたくなってうずうずしています。いつも、なにげなく使っていることばが伝わらない!というもどかしさを感じたり、伝えるためにはどうしたらいいんだろうということを考えたりしたのではないでしょうか。
 その後、無事に三葉虫の絵は完成し、その特徴をもとにどんな生き物に似ているかグループで話し合い、各グループからフナムシやダンゴムシ、深海魚等、たくさんの生き物の名前が挙がりました。何の仲間であるか発表された時には、「やったー」や「おぉー」、「ほぉ」という声が聞かれました。「○○の仲間なんだ」と思うと、2億5千万年の時を超えて三葉虫が一気に身近な生き物に思えました。

② 目にはどんな特徴がある?
 三葉虫と似ている生き物をもとに、三葉虫の目の特徴についてグループで話し合いました。大野先生によると、一人に一つずつ配られた化石は、特に目の小さいものをよりすぐられたそうです。またまたここでも「えぇー!?」でしたが、すぐにそれぞれのグループで話し合いが始まりました。
いくつかの案が出た後、目の特徴について話し合う中で2つの案に関心が集まりました。挙手をしてもらうとほとんどの人がA案で、B案は二人だけでした。肩を落とすB案支持者に大野先生は、「数が多いのが、正解とは限らない」と。果たして、三葉虫の目の実態は!?という時に、大野先生はスクリーンの後ろから何やら持ってこられました。それをみると、まさに一目瞭然!大人の手のひら大の三葉虫の化石には、目の特徴がばっちりあらわれていました。そして、その特徴はずばりB案のものでした。思わず、会場から感嘆の声と拍手が沸き起こりました。少数でも、自分の考えを大切にした二人へのあたたかい拍手でした。

③ 三葉虫の身の守り方は?
 続いてのお題は、三葉虫の身の守り方についてです。三葉虫には天敵がいたことや、その捕食場面のイメージ映像をみせてもらいました。その後住んでいるところや、体の構造をもとにグループで話し合いを進めていきました。話し合いの後、「岩にへばりつく」「たくさん集まる」等、たくさんのアイデアが各グループから出されました。その中から、化石からわかるものにしぼって、考えを深めていきました。
 その後、自分の考えをもとに、実際に身を守る三葉虫になってみました。大人も子どもも外敵から身を守る三葉虫になってみます。体を使って考えたり、表現したりしていると、またまた、大野先生がスクリーンの裏から何か持ってこられました。参加者の「まさか!?」「もしかして!?」は、すぐに「やっぱり!」や「すごい!!」にかわりました。さあ、大野先生はどんな形の三葉虫の化石を出してこられたのでしょうか。写真の参加者のポーズから、想像してみてくださいね。

④ 脱皮の仕方は?
 最後のお題は、三葉虫はどうやって脱皮をするかについてです。スケッチの時にみつけた特徴をもとに、脱皮の仕方を考えます。「最初に、ここがパッカーンとわれて…」といいながら、体で表現しはじめる子どもたちもいます。「では、前に出てやってみよう」と、大野先生といっしょに脱皮ダンス?がはじまりました。スケッチのときにみつけた特徴が、ここでも大切な意味を持っていることがわかりました。三葉虫をデザインされた方に、ぜひともグッドデザイン賞を贈りたい!そんなことを思ってしまうほど三葉虫は素敵です!

○みる・さわる・きづく・かんがえる・ひょうげんする
 最後に、三葉虫のワークショップの修了証が贈呈されました。はじめは緊張もあり、会場の空気は少しかたく、ドキドキしている感じが伝わってきました。ですが、三葉虫についていっしょに話をしたり、意見を聞いたり、喜んだり、発見したりするうちに、会場の空気はやわらかくなり、頭を寄せ合って考えたり、身体を使って表現したりする姿がたくさんみられるようになりました。ふりかえると、あっという間の2時間でした。
 はじまりは、小さな一つの化石でした。小さな化石をよくみて、触って、気づき、スケッチする、またよくみて…そのなかで事実を見つけ出す。そしてその事実に、自分の生活経験や知識などをもとにして、創造的な解釈をしていく。またそこに、新たな事実(化石等の資料)が提示され、その解釈を裏付けたり、違いを明らかにしたり、新たな視点を提供したりする。「みる」「さわる」「きづく」「かんがえる」「ひょうげんする」がお互いに関わり、つながり合いながら、学びが深まっていく。そして、対話をすることで、新たな視点や気づき、考えをわかちあい、学びをより深めていくことができる。このようなわくわくしながら、楽しく学びを深めていく仕掛けが、今回のワークショップの中にたくさんちりばめられていました。
 グループで協力して、三葉虫がどんなふうにして生きていたかを考えることをとおして、学ぶことの楽しさや面白さを、あらためて感じることができたように思います。いまさらですが、考えること、発見すること、創造することって楽しい!また、2億5千年前に絶滅した三葉虫ですが、とても身近な生き物に思え、今もどこかの海底に身を潜めているような気がしてなりません。もう少し、三葉虫のことを自分でも調べてみたくなりました。子どものころに読んでいて、今はほこりをかぶっている「大むかしの動物」図鑑を、久しぶりに開いてみようかなと思っています。1枚ずつページをめくって・・・一葉、二葉、三葉ちゅう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
かねたに
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三葉虫のワークショップを報告します

2013-08-04 12:47:56 | 対話型鑑賞
三葉虫のワークショップを報告します


三葉虫のワークショップの報告を会員の金谷さんにお願いしました。レポートが届きましたので、UPしたいと思います。

みるみる会員のかねたにです。先日7月28日に行われた京大博物館長の大野先生による「三葉虫を調べよう!」のワークショップの様子をお伝えします。最後まで読んでいただけたら、きっとあなたも三葉虫のとりこになるかも!?

○食べたことある人!?
 まず、大野先生の「三葉虫を見たことある人?」のことばに、数名の手が挙がりました。「じゃあ、食べたことある人?」といわれると、子どもたちは思わず「えぇー!?」と顔を見合せました。そう、三葉虫は5億年~2億5千万年前の生き物で、現在は生息していません。そんな三葉虫に焦点をあてた、ワークショップがドキドキやワクワクな気持ちととともにはじまりました。

○いじわるおじさん?
 「グループで協力して、三葉虫がどんなふうにして生きていたか考えよう!」という、大野先生のことばにうなずく参加者のみなさん。でも次のことばに、またまた「えぇー!?」の声があがりました。「おじさん、ヘンなこと聞くよ。いじわるな質問もするよ。」と。「でも、ヒントになるものも貸してあげるからね」と、参加者一人ひとりに三葉虫の小さな化石が配られました。

○うまく描く必要はない。みて・さわって・きづく。
 プラスチックの箱に入った三葉虫の化石に、会場のテンションがちょっとアップしました。そのうえ、「箱を、開けていいよ。触ってもOK!」とのことばに、子どもたちはもちろん大人も、またまたテンションアップです!「三葉虫の化石をよくみて、大きく絵を描こう。気づいたことやふしぎだなと思ったことは、メモしておこう。」「図工じゃないから、うまく描く必要はない。三葉虫をよーく観察して、気がついたことをていねいに描こう!」。大野先生の「うまく描く必要はない」ということばに、ほっとした空気が流れました。
 約20分間のスケッチタイム、参加者自身が『みて』『さわって』『気づく』ことができるように、大野先生は各グループをまわって、「顔はどこかな?」「この線、どうなってる?」などなど問いかけておられました。学びの主体は、いつだっていくつだって、その人自身なのだということを感じました。

お題① 何に似ているかな?
 一人ひとりが描いたスケッチをもとに、三葉虫とはどんな生き物なのか特徴を発表し、それを大野先生が描いていきます。ここで、いじわる(?)おじさんの登場です。小学生の男子3人が、三葉虫の特徴について話すのですが、おじさんにはこれがなかなか伝わらない!「骨みたいなのがある」といえば、いかにもホネ!というような絵(イラスト)を描くおじさん。「いやいや、骨じゃなくて線がある」といえば、たてじまを描くおじさん。「ちがう、よこよこ!」と少年たち。もう、自分たちで描きたくなってうずうずしています。いつも、なにげなく使っていることばが伝わらない!というもどかしさを感じたり、伝えるためにはどうしたらいいんだろうということを考えたりしたのではないでしょうか。
 その後、無事に三葉虫の絵は完成し、その特徴をもとにどんな生き物に似ているかグループで話し合い、各グループからフナムシやダンゴムシ、深海魚等、たくさんの生き物の名前が挙がりました。何の仲間であるか発表された時には、「やったー」や「おぉー」、「ほぉ」という声が聞かれました。「○○の仲間なんだ」と思うと、2億5千万年の時を超えて三葉虫が一気に身近な生き物に思えました。

② 目にはどんな特徴がある?
 三葉虫と似ている生き物をもとに、三葉虫の目の特徴についてグループで話し合いました。大野先生によると、一人に一つずつ配られた化石は、特に目の小さいものをよりすぐられたそうです。またまたここでも「えぇー!?」でしたが、すぐにそれぞれのグループで話し合いが始まりました。
いくつかの案が出た後、目の特徴について話し合う中で2つの案に関心が集まりました。挙手をしてもらうとほとんどの人がA案で、B案は二人だけでした。肩を落とすB案支持者に大野先生は、「数が多いのが、正解とは限らない」と。果たして、三葉虫の目の実態は!?という時に、大野先生はスクリーンの後ろから何やら持ってこられました。それをみると、まさに一目瞭然!大人の手のひら大の三葉虫の化石には、目の特徴がばっちりあらわれていました。そして、その特徴はずばりB案のものでした。思わず、会場から感嘆の声と拍手が沸き起こりました。少数でも、自分の考えを大切にした二人へのあたたかい拍手でした。

③ 三葉虫の身の守り方は?
 続いてのお題は、三葉虫の身の守り方についてです。三葉虫には天敵がいたことや、その捕食場面のイメージ映像をみせてもらいました。その後住んでいるところや、体の構造をもとにグループで話し合いを進めていきました。話し合いの後、「岩にへばりつく」「たくさん集まる」等、たくさんのアイデアが各グループから出されました。その中から、化石からわかるものにしぼって、考えを深めていきました。
 その後、自分の考えをもとに、実際に身を守る三葉虫になってみました。大人も子どもも外敵から身を守る三葉虫になってみます。体を使って考えたり、表現したりしていると、またまた、大野先生がスクリーンの裏から何か持ってこられました。参加者の「まさか!?」「もしかして!?」は、すぐに「やっぱり!」や「すごい!!」にかわりました。さあ、大野先生はどんな形の三葉虫の化石を出してこられたのでしょうか。写真の参加者のポーズから、想像してみてくださいね。

④ 脱皮の仕方は?
 最後のお題は、三葉虫はどうやって脱皮をするかについてです。スケッチの時にみつけた特徴をもとに、脱皮の仕方を考えます。「最初に、ここがパッカーンとわれて…」といいながら、体で表現しはじめる子どもたちもいます。「では、前に出てやってみよう」と、大野先生といっしょに脱皮ダンス?がはじまりました。スケッチのときにみつけた特徴が、ここでも大切な意味を持っていることがわかりました。三葉虫をデザインされた方に、ぜひともグッドデザイン賞を贈りたい!そんなことを思ってしまうほど三葉虫は素敵です!

○みる・さわる・きづく・かんがえる・ひょうげんする
 最後に、三葉虫のワークショップの修了証が贈呈されました。はじめは緊張もあり、会場の空気は少しかたく、ドキドキしている感じが伝わってきました。ですが、三葉虫についていっしょに話をしたり、意見を聞いたり、喜んだり、発見したりするうちに、会場の空気はやわらかくなり、頭を寄せ合って考えたり、身体を使って表現したりする姿がたくさんみられるようになりました。ふりかえると、あっという間の2時間でした。
 はじまりは、小さな一つの化石でした。小さな化石をよくみて、触って、気づき、スケッチする、またよくみて…そのなかで事実を見つけ出す。そしてその事実に、自分の生活経験や知識などをもとにして、創造的な解釈をしていく。またそこに、新たな事実(化石等の資料)が提示され、その解釈を裏付けたり、違いを明らかにしたり、新たな視点を提供したりする。「みる」「さわる」「きづく」「かんがえる」「ひょうげんする」がお互いに関わり、つながり合いながら、学びが深まっていく。そして、対話をすることで、新たな視点や気づき、考えをわかちあい、学びをより深めていくことができる。このようなわくわくしながら、楽しく学びを深めていく仕掛けが、今回のワークショップの中にたくさんちりばめられていました。
 グループで協力して、三葉虫がどんなふうにして生きていたかを考えることをとおして、学ぶことの楽しさや面白さを、あらためて感じることができたように思います。いまさらですが、考えること、発見すること、創造することって楽しい!また、2億5千年前に絶滅した三葉虫ですが、とても身近な生き物に思え、今もどこかの海底に身を潜めているような気がしてなりません。もう少し、三葉虫のことを自分でも調べてみたくなりました。子どものころに読んでいて、今はほこりをかぶっている「大むかしの動物」図鑑を、久しぶりに開いてみようかなと思っています。1枚ずつページをめくって・・・一葉、二葉、三葉ちゅう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
かねたに

子どもだけでなく大人も時間を忘れて三葉虫の謎に迫る時間となったようです。実践後のアンケート結果やコメントは次回の報告とします。

なお、みるみるの会は8月18日に浜田市世界こども美術館で行います。14時開始です。興味のある方はお越しください。連絡は不要です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする