お待たせしました!
6月10日の「対話型鑑賞のつどい」での、第1作品目のレポートです。
6月10日(土)浜田市世界こども美術館 山﨑修二と山﨑に学んだ女流画家展にて
作品名:「冬日」(1938年 山﨑修二)
鑑賞者:5名(内みるみるメンバー2名)
ナビゲーター:金谷直美
<はじめに>
この作品を選んだ理由として
・「山﨑修二と山﨑に学んだ女流画家展」のコラボイベントとしての鑑賞会でしたので、まずは山﨑氏の作品から選びたいと思いました。
・題名には冬がついているのに、作品をみたときにあたたかな印象をもったことが不思議でした。また、作品の前側に描かれている野菜から何ともユーモラスな感じを受け楽しい気持ちになりました。対話を通して、この作品のことを皆さんと一緒に楽しく深く味わいたいと思い、この作品を選びました。
<鑑賞会から>
・野菜が植えてあるから、手前は畑。中央は稲が刈り取られた跡があるから、田んぼではないか。
・田んぼに氷が張っていて、そこに空が映り込んでいる。
・土の部分と空をみたら、土の部分が広いが、映り込んでいる空の部分も含めると、空の面積がかなり広くなる。作者は空の美しさも描きたかったのでは。
・空が青くて澄んでいるし、稲が刈り取られているところから、季節は冬では。
・雲が赤くみえるところから、夕方ではないか。
・瓦が赤く輝いているようにみえるところから、赤瓦といえばここ石見の地を描いた作品ではないか。
・右側の山は、茶色くそして線が入っている。自分の経験から段々畑ではないか。冬に草木が枯れて茶色い土の色になっている。左の山はそのままの山で青々としている。
・家並みをよくみると、煙突があって煙が出ている。時代は今よりも古いのでは。人の営みがうかがえる。
<鑑賞会をふりかえって>
・ナビゲーターとしての基本の役割、特に話をよく聴き、鑑賞者の発言の中の一番大切な所をとらえてコンパクトにかえすことを意識しました。
・みる場所や話題が散逸になる、ということが今までの自分のナビゲーターとしての課題の一つでもあったので、「次は上の部分をみていきましょう」とみる場所を焦点化するような言葉掛けを意識的に入れました。
・「冬だけどあたたかい感じ」「動と静」「橙色と青緑」など、感覚的なものや色彩においても、対照的な要素が豊かに詰まった作品でした。
<みるみるの会メンバーから>
・ナビには、多様な見方や意見を引き出すような言葉がけが必要。1つの見方で終わらずに、最低でも2~3の意見が出るように「もっと他の見方はないですか?」等、揺さぶりをかけることも大切。
・複数の可能性が出ることで、鑑賞者はよりよくみる。よりよくみて考え、対話することで、納得しながら意見が集約されていくのではないか。
・作品下部に描かれた野菜などの話の後、「上の部分」へ焦点を移すようナビゲートしたが、それは不必要だったのではないか。もう少し、じっくりと野菜や中央部の田んぼの部分をよくみることができるよう、話題提供をしたらどうか。冬ということは共有できていたが「何月くらいですか?」などときくことで、より豊かな冬のとらえができたのではないか。じっくりその部分をみて話して納得できれば、鑑賞者の側からみる場所を変えていくのでは。
・はじめて参加された方も、ご自身の経験を交えながら楽しそうに話され、最後まで一緒に鑑賞してくださった。鑑賞を楽しんでいただくことはできたのではないか。
<おわりに>
ナビをするたびに、「きくこと(聴・訊・効…)」の難しさと自分の「浅さ」を痛感します。もう少し、具体的にきくことができれば、鑑賞会をもっとリッチで楽しい時間にすることができたのにと、反省しきりです。こころのポケットに小さなシャベルを入れて、鑑賞者の方の意見を、そして作品を深く掘っていけるように、日頃から精進していきます。
鑑賞会に参加してくださったみなさま、ありがとうございました。
7月の鑑賞会は、8日(土)14:00~浜田市世界こども美術館にて
企画展「山﨑修二と山﨑に学んだ女流画家展」の作品を鑑賞しますよ!
本物の作品には、やはり力があります!みるみるメンバーといっしょに、リッチな時間を楽しみましょう!