ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

1月の「オンラインみるみる」は、話の尽きないルソーの作品でした!

2022-01-30 18:06:25 | 対話型鑑賞

2022.1.15 オンラインみるみるの会 1月月例会

参加者 みるみるメンバー2名、みかんはなき2名、メンバーの紹介者3名 計7名

ファシリテーター 春日:鑑賞作品 「自画像」アンリ・ルソー

 

鑑賞のながれ(鑑賞時間約30分)※動画を文字起こし後、流れを要約 *はファシリ

・最初自由に発言してもらう。

・3者を指名したが、3者とも中央の人物について話す。

①(フォーカシング:中央の人物についての話題が多いので中央の人物からみていきましょう。)

・パレットが使われていない。そこに文字が書かれている。

・表情があまりうれしそうではなく、固い感じ。

・にぎやかな世間に背を向けて、画家になる決意をした。

・画家になる決意をした記念碑的な絵

・リアリティが無い。ここに彼はいないのでは?

・ここにいる彼本人がこの作品を描いたとは決められないのでは?滑稽に描くことで芸術家に対する揶揄かも知れない。

*ここで、「滑稽」を拾ったが、「揶揄」を拾うべきだったと反省。

・背景に万国旗のついた船があって明るくて賑やかそうだが、中央の人物はそんなに幸せそうにはみえない。船に乗って遠くに行きたい(空を海に見立てる)が、でも、行けない。そんな悲しさがあるのか。自画像だと思う。

(ここまでのサマライズ:画家自身の肖像画という捉えもあるが、そうとは限らないという意見も出てきている。)

 

②(ここから背景にフォーカシング:背景とも結びつけて考えた話題が出てきているので、背景をみていきましょう。)

・船について:船出、新たな世界へ行く、行きたいが行けない願望。

・空について:船と結び付けて空を海に見立てる、雲は島々。

・あるがままの様子を描いたのではなく、現実の世界を合成している。

・画家の心象風景なのでは?

・船が大きく、橋がその後ろにあり、船はどうやって出ていくのだろうと思っていたが、心象風景なら納得。万国旗は新たな第一歩を彩っている。がんばれ自分!!みたいな。

・橋、船、気球は違う世界をつなぐもの、違う世界に行きたいという希望や欲望的なものがゴチャッと描かれている。背景と人物には関係がある。心象風景が凝縮されている。

・船、気球、乗りたいな、行きたいな、という願望の現れ。

・気球が暗い色、それも上の方はやや暗い、明るいばかりじゃなくて、不安もあるのでは?

 

③まとめ

*画面の中央に大きく描かれている人物、彼がメインビジュアルなのかなと思うのですけど、彼について、まわりの様子も詳細にみていただきながら、何か決意をもって、おそらく画家になるのかなあ、って決意をもってここに立っているのではないかな、と皆さん感じておられると思うのですけど、その前途は明るいものばかりではなく、若干の不安を伴うものであることを皆さんでこの作品をみていけたのかなと思います。

 

振り返り(参加者から)*はファシリの見解

①複数の可能性について

・こうも考えられる、ああも考えられる、という複数の可能性を話したときに、「あなた自身はどう思う?」と訊かれることによって、自分の考えが明確になっていくのが今日の収穫。

・複数の可能性を話したときに、その場で決めないといけないのか?考えがまとまらないこともある。決め切らないと話してはいけないのかと思うと、話せなくなるのでは?

*「あなたはどうですか?」と尋ねるが、鑑賞者が決め切らない、考えがまとまらないことも考えられるので、その時は、その場で話してしまわず、考える時間は担保する。

*可能性の話をしているときは、鑑賞者は批評家のような立場にいると思う。鑑賞を自分ごとに、鑑賞の主体になっていただくために、やはり、自分はどうなんだろうと、よりどっちなんだろうと考えていただくことで、鑑賞主体になってほしいと考えている。

・根拠に基づく解釈なので、「どこからそう思うのか」なのでは。あるところについては「こう思う。」でも、他の場所をみると「こう思う。」この考えに矛盾があっても、それはまた別の問題。言い切って、ディスクリプションをしていくことが大切だと思う。

②ファシリについて

・今日話題に出なかった塔や建物のことも出てくると、また違った見方が出来たのでは?

・抽象的な分かりにくい言葉についても「どこからですか?」とか、「あなた自身はどうですか?」と、丁寧なパラフレーズ、可能性の話が出たときに、可能性の話のなると何でもありになってしまうので、可能性はあるけれども「あなたの見方は?」と絵と鑑賞者をきちんとつなげて、分けていくというのが今回は印象的。

・抽象度が高い。発言も長い。のに、的確にナビしていた。自分だったらどうナビするのかなって思いながら参加していた。

・どっちの意見か悩んだときに、ファシリの促しで自分の考えが明確になった。

・最初に中央の人物にフォーカスしたことで、鑑賞者達が早い段階で作品に入り込んでいけていると感じた。

・船、空、雲(島)たちを上手くコネクトされていた。

・人物が作者自身なのかそうでないのかという問いはフレーミングだったのではないかと思っている。

・「あなた自身はどう思う?」って問いは仕事にも役立つなと思ってきいていた。

③ファシリの振り返り

*「人物→サマライズ→背景→人物と背景の関係」で鑑賞を進めたが、指摘にもあるようにフレーミングを要所で行うと思考のまとまりを生ずることができた。

*人物が画家本人なのか、他者に描いてもらったものであるのか?という「問い」があったが、そこに着目して鑑賞を進めるとより深い鑑賞につなげることができたはず。残念(涙)

コメント
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