Státní opera Praha
→11:Prazsky orloj プラハの天文時計“オルロイ”からの続き
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プラハのオペラハウス、プラハ国立歌劇場は中央駅のすぐ隣に建っています。
駅前大通りのオペラ座です。
威風堂々としたファサード、ギリシア建築の神殿のような列柱が印象的な、美しい白亜の劇場ですね。
開演まではまだ小一時間ほどありますが、既に観客の紳士淑女の皆さんがエントランスホールに集まっているようです。
僕もオペラハウスの中に入りましょう!
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シャンデリアの煌めくエントランスホールは、天井も壁も一面が白いインテリアで、とても清潔感があります。
その表面を覆う精微な金細工が、これまた優雅ですね。
さて、今夜の演目は…
世界中の誰もが知っている、
ほとばしるように情熱的で激しく熱く、そして救いようのない悲惨な結末を迎える、男と女の愛と破滅の物語。
ビゼー作曲のオペラ「カルメン」です!
名作中の名作、世界で一番有名なオペラ作品の一つですね。
今夜のチケットも、プラハ国立歌劇場の公式Webサイト経由で購入手続きを済ませてプリントアウトしてきたEチケットです。
バルコニー席の最前列ですが、舞台に向かって右手の席になりました。
正面席ではないせいか価格も随分と安くて、たったの200チェココルナ。購入時のレートで何と約900円!
…ほとんど、天井桟敷の立見席感覚の、破格の安値です。
あまりにチケット代が安すぎて少し不安ですが(笑)、早速観客席に向かいましょう。
プラハ国立歌劇場では安い席の観客でも裏口に回されると言う事はなく、
モギリのスタッフにEチケットを確認してもらってから堂々と、大階段を登ってバルコニー席を目指します。
最上階のバルコニー席フロアまで息を切らして登って、クロークに外套を預けたら、
さあ僕も紳士のようにネクタイを締め直し、背広の胸ポケットにハンカチを挿して、オペラの夢の世界へ行きましょう!
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「おお~!プラハのオペラハウスも素敵だなぁ…!」
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バルコニー席の舞台正面側に立って劇場内を見渡すと、このように見えました。
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そして、見上げると天井画とシャンデリアが。
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客席の間を歩き回ってみると、夢の世界を産み出す創作の現場も目にします。
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天井桟敷の一画、照明スタッフの戦場です。
華やかなオペラの夢は、
自分たちは決してスポットライトを浴びることのない多くの裏方スタッフたちによって支えられているのですね。
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こちらは、文字通りの“天井桟敷の立見席”。
バルコニー席の一番奥、劇場で一番高い位置にあります。確かこのエリアのチケット代は日本円で500円以下だったような…
でも、実は舞台の上の出演者が最も恐れるのは「天井桟敷の人々」。
本当に毎日毎日オペラ座に通い詰め、遂には天井桟敷に棲み着いてしまった、恐るべき鑑賞眼を持つ通人たち、
“オペラ座の怪人たち”がここで舞台を睨みつけるのです…ああ恐い!(笑)
昨夜オペラの魅力を知ったばかりの僕も、死ぬまでには、ここに立つ資格を得る事が出来るでしょうか…?
…さあ、そろそろ開演時間です。僕も右手側最前列の自分の席へ向いましょう。
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バルコニー席フロアの階段の段差はこんなに急傾斜。転んだら大変!
遥か下の平土間までそのまま転がり落ちそう!!
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僕の席からは、舞台がこんな感じで見えます。
チケット代は格安だったのに、かなり見やすい良い席でした。
…さて、今夜のオペラ「カルメン」は…
ストーリーは最早、説明不要でしょう。
軽快な序曲が、これから始まる愛憎劇の悲劇の闇をいっそう濃くして、そして舞台の幕が開くのです…
「ああ、全く何で女って奴は…」 「そして、どうして男って生き物は…」
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…ストーリーは結末まで全て知っているのに、それでも心千々に乱されるのは何故でしょう。
耳にすっかり馴染んだ、聴き慣れた音楽とアリアのせいか、
それとも知らず知らずに自らも熱愛の果ての破滅に焦がれているとでもいうのか。
…なんてね。
それにしても、今夜のカルメンを歌った人はジプシー女の妖艶な雰囲気がよく出ていたし、ミカエラは可憐で好対照だったし、
闘牛士もキザったらしさがいい感じで格好良かった。
素晴らしいカルメンでした。
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そして、ありがとう。星の都のオペラハウス、プラハ国立歌劇場。
今夜も、素晴らしい夢を見させて貰いました。
→13:Vltava/Moldau ヴルタヴァ ~プラハ散歩~に続く