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Muses Europa Eisenbahn 2012-2013中欧鉄道音楽紀行 30:Finale Ferrara号Kansai行き

2013-02-23 | 旅行
blue moment


29:OPERA NIGHT ウィーン国立歌劇場からの続き

夜明け前にウィーン・シュヴェヒャート国際空港を飛び立ったKLM1838便のボーイングB737は、
宇宙とつながっているような中央ヨーロッパの青い空のただ中を飛んでいきます。
アムステルダムのスキポール国際空港までは2時間足らずの余りにも速い空の旅です。
一昨日までのように地上を国際列車で走って行けば、きっと丸々1日がかりの長旅なのでしょうが…



2013年1月4日

日本への帰りの飛行機の乗り継ぎ行程もKLMオランダ航空の欧州域内大幅減便のあおりで、
早朝便でウィーンを出て、アムステルダムでは日本行き便への乗り継ぎ待ちが5時間以上も空くという
ひどく不便なものになってしまいました。


スキポール国際空港に到着した時点で、まだ朝9時です。
さて、午後の日本行きの飛行機の出発時間まで、オランダで何をして過ごしましょうか…

とりあえず到着ゲートから外に出て、
そのまま空港ターミナルビルの地下にあるスキポール空港駅へ行ってみましょう。
スキポール国際空港に直結しているオランダ鉄道のスキポール空港駅から電車に乗れば、
20分足らずでアムステルダム市内まで行くことが出来ます。


「この黄色い電車に乗っちゃおうかな?
でも、旅の疲れも出ているし、あんまり無理して動き回らない方がいいかもなぁ…」


プラットホームで優柔不断に思いを巡らせているうちに、電車はさっさと発車して行ってしまいました。
そのまま何となくプラットホームに佇んでいると、次から次にいろんな列車がやって来ます。
スキポール空港駅はアムステルダムとベルギー方面とを結ぶ幹線上にあるので、
アムステルダムの近郊電車だけでなく長距離線の高速列車も姿を見せるという、利便性が高くて賑やかな駅です。


ロッテルダム経由でオランダ南部のブレダという街に向かう、国内線の高速列車Fyraがやってきました。
オーストリア連邦鉄道のRailJet(レイルジェット)と似た、一般形の電気機関車が客車を牽引するスタイルの高速列車ですね。


パリとアムステルダムを結ぶ国際線のTGV、THALYS(タリス)もやって来ました!
真っ赤な車体がスポーツカーのようで、実に格好良いですねぇ。
思わず見とれてしまってシャッターチャンスを見事に逃してしまいましたが(笑)

結局、暫くスキポール空港駅で列車を眺めてからターミナルビルに戻り、
スーパーマーケットで買い物をしたり食事をしたりして過ごしているうちにお昼になってしまい、
そのまま出国審査を済ませて日本行き便の搭乗ゲートへ向かいました。

数年前までの僕なら、間違いなくあの黄色い電車に乗ってアムステルダムの街に向かっていたでしょう。
大急ぎでトラムに乗り換えて、オランダ国立美術館やゴッホ美術館を駆け足で観て回ったかも知れません。
でも、今の僕にはもうそんな無理の効く体力も気力もありませんでした。もう若くはないのですね…
…やっぱり、旅でも何でも若くて元気いっぱいのうちに思う存分やっておかないと駄目ですね。後で後悔することになります。
僕はこれから先、どんどん老いてくことでしょう。だから今のうちに、やれることはやっておかないと!
これ以上、もう後悔はしたくないですからね。



僕を日本に連れ帰ってくれるKLM867便は関西空港行きの便なのですが、
飛行機はジャンボジェットではなく中型機のボーイングB777-200でした。台湾への乗り入れに対応したKLM asia仕様の機材です。
この機体には「Ferrara City」 という愛称が付けられているようです。
Ferraraとはルネッサンス期からの歴史地区があり世界遺産にも登録されているイタリアの都市のようですが、
アムステルダムとも大阪とも、そして台湾とも全く関係のない都市名が機体の愛称となっているのはやっぱり何か妙な感じ…



2013年1月5日


朝9時半。
ユーラシア大陸を飛び越えたKLM867便は、関西空港に無事到着。
日本に帰って来ました!

関西空港に着いたら、すぐにリムジンバスに乗って伊丹空港へ。
本当は南海電鉄の超絶デザインの空港特急「ラピート」に乗りたいのですが、
ちょうど今、関西空港と伊丹空港とで飛行機を乗り継ぐ航空券を提示すると
両空港を連絡するリムジンバスの乗車料金が無料になるキャンペーンをやっていたので、
タダで伊丹空港まで乗せて行って貰う事にしました。
…それにしても、数年前まではわざわざ伊丹空港まで行かなくても関西空港で直接、国内線の飛行機に乗り移れて便利だったのに、
どんどん利便性が悪くなっていくのはどうしたものか。
大阪府知事から大阪市長になった例のあの人は一時期、伊丹空港を廃港して関西空港に一本化する意向を表明していたけど、
実際すぐにでもそうしてくれないと、このままじゃ不便でどうしようもないよ!





伊丹空港から乗り込む福岡空港行きの国内線は、ビジネスジェットのような小型機でした。
ANAとのコードシェア便ですが、
IBEXエアラインズという会計ソフトを開発販売しているIT企業の傘下にある航空会社が運行している飛行機です。





瀬戸内海沿いの空を飛んで、1時間足らずで福岡空港に到着。
ここからは九州新幹線つばめ号に乗り継ぎです。


すっかり日が暮れた頃、熊本駅に到着しました。
「ああー、やっと着いた!日本に着いてからが大変だった…(笑)」

かくして音楽を鉄道でつなぐヨーロッパの旅は幕を閉じたのですが、実は既に次の旅の計画が着々と進行中なのです。
次は…終着駅のその先の、さらに先を目指します。


Sestokai駅で見送った、リトアニア鉄道の列車。
あの列車の行く先のさらに先、国境を越えてリトアニアの隣国ラトビアのさらに先へ!
2013年の初夏にエストニアと、そしてフィンランドへ行ってきます。





Muses Europa Eisenbahn 2012-2013中欧鉄道音楽紀行 終章
…そして次の旅へと続く

Muses Europa Eisenbahn 2012-2013中欧鉄道音楽紀行 29:OPERA NIGHT ウィーン国立歌劇場

2013-02-23 | 映画・演劇・コンサートを観る
Wiener Staatsoper


28:kunst historisches museum 美術史美術館からの続き

すっかり日の暮れた午後5時半頃、今朝歩いた場所に戻って来ました。




夜の帳の降りたウィーンの街で、一層輝きを増したウィーン国立歌劇場
いよいよ今回の旅で最後のオペラ鑑賞です。


ウィーン国立歌劇場は一流の音楽通が集う世界最高峰のオペラハウスであると同時に、
ウィーンを代表する観光名所でもあります。
その為、観客層も音楽好きな人々ばかりでなく世界中から訪れた観光客も入り混じり、
開演前のエントランスホールは大変に賑やか。
周囲からは久しぶりに耳にする日本語の会話も聞こえてきます。




今夜の演目は、旅を華やかに締め括るのに相応しい古典的名作、
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの生涯最後のオペラ「魔笛」です!
余りにも有名な作品なので、あらすじは殆ど諳んじているし序曲やアリアはすっかり耳に馴染んでいますが、
さて世界最高峰のウィーン国立歌劇場ではどんなに素晴らしい「魔笛」を見せて聴かせてくれるのでしょう。

今夜も期待に胸を膨らませながら、昼間に国立チケットハウスでピックアップしたチケットを片手に
紳士淑女たちと共に大理石の階段を登って最上階のバルコニー席へと向かいましょう。

それにしても、ウィーン国立歌劇場は建物の規模が大きい!
ビュッフェもホワイエの一画にあるのではなく、専用のフロアを持つカフェバーコーナーになっています。



ここは立ち見客の天井桟敷の人々のための休憩スペースでしょうか。
この場所で室内楽のミニコンサートが開けそうな広さです。

そして、ここが最上階。


今夜もバルコニー席の最前列、舞台に向かって右手側の席です。
ちなみにウィーン国立歌劇場の公式Webサイト経由でオンライン予約したチケット代は44ユーロ也。
購入時のレートだと日本円で4500円程なのですが、
ハンガリー国立歌劇場の約2倍、プラハ国立歌劇場の約5倍の価格になります。
さてこの価格、高いと考えるか安いと感じるか…




バルコニー席の舞台正面からは、この眺め。

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ウィーン国立歌劇場は第2次世界大戦末期に連合軍の爆撃で破壊され、戦後に元通りに復元されたそうです。
そのせいか、客席の装飾もシンプルで、シャンデリアもとてもすっきりとしています。
重厚かつ豪華絢爛で歴史を感じさせるブダペストやプラハのオペラハウスと比べたら随分と近代的なのが意外でした。

そして、今夜見る最後のオペラの夢の世界…
聴き慣れた軽快な序曲と共に「魔笛」の幕が上がるのです。





…幾度目かのカーテンコールの後で、
パパゲーノやパパゲーナ、タミーノとパミーナ、ザラストロと夜の女王が舞台の幕の向こうに消えた時、
旅の終わる時が来たことを実感しました。
今回の旅もうたかたの夢の世界の彼方に去り、想い出になろうとしています。

「さぁ、僕も旅の舞台の幕を下ろそう。そしてまた暫し日常に戻ろう。日本に帰らなくちゃ…」



30:Finale Ferrara号Kansai行きに続く