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2016年夏休みマレーシア・タイ旅行記 10:線路の上の市場 タイ国鉄マハーチャイ線・メークロン線の旅

2016-10-16 | 旅行記:2016 マレーシア・タイ
Photo:タイ国鉄マハーチャイ線の日本製気動車


9:バンコク・メトロMRTパープルラインに乗ってみたからの続き

タイの首都バンコクにはタイ国鉄のターミナル駅が3つあるが、その中で唯一他の路線との接続が無く孤立した路線の始発駅となっているのがマハーチャイ線・メークロン線ウォンウィエンヤイ駅である。





バンコク市街地の下町の横丁のような場所に、市場に隠れるように存在するウォンウィエンヤイ駅からタイ国鉄の日本製ディーゼル列車に乗って出発。




バンコクの街並みを抜けると、車窓には一面の緑が広がる。

ウォンウィエンヤイ駅を出てから50分程でマハーチャイ駅に到着。
ここまでの運賃はエアコン無し車両ならわずか10バーツ(約30円)。








マハーチャイ駅はマハーチャイ線の終点であり、駅構内にはマハーチャイ線の列車で使用される車両のメンテナンスを行う整備工場も併設されている。


マハーチャイ駅の構内の片隅にあった、鉄道車両の車輪を用いてつくられた不思議なオブジェ。マハーチャイ線のシンボルだろうか。

さて、マハーチャイ駅で線路は途切れているが、実はこの先にも線路は続いている。
マハーチャイの町を二分して流れるターチーン川の向こう岸に、メークロン線の起点となるバーンレーム駅があるのだ。





マハーチャイ駅周辺に広がる市場を抜けた川岸にターチーン川の渡し船の発着場があり、ここから小さな船に乗って川を渡る。
ターチーン川の川幅は結構広く、また河口部に近いために大型船も行き交うため、橋を架けられなかったらしい。






バーンレーム駅から再びタイ国鉄の日本製ディーゼル列車に乗車。改めて、メークロン線の終点メークロン駅を目指す。






メークロン線の車窓には、エビを養殖していると思われる池や、バンコク湾に程近い海沿いの地域という特色を活かした塩田が広がる。







順調に走っていたメークロン線のディーゼル列車だが、突然、駅でもない場所で停車…
一体何ごとか、まさか故障!?




建屋も無いが行き合い設備だけが設けられた信号所のような場所で停車したメークロン線のディーゼル列車は、逆向きに進み出して側線に最後尾の車両を押し込むと連結を切り離し、そのまま最後尾の車両を置いて再び何ごとも無かったかのように走り始めた…

どうやら、ここはメークロン線の「露天車両整備工場」らしくて、最後尾に連結していた回送車をここで切り離したらしい。
…つまり乗客の乗っている営業列車をそのまま使って、本線を運行中に構内入れ替えを行ったということのようだ。日本では考えられないやり方だが、なんともタイらしくて鉄道好きならずとも思わず笑ってしまいそうな長閑すぎる光景だ。
これぞまさしく“微笑みの国”の鉄道風景、といったところか。



バーンレーム駅からおよそ1時間。車窓の風景が一面の塩田から開けた街並みに変わると、終点のメークロン駅に到着する。
…そして、ここメークロン駅こそが世界的に有名な“市場の中を走る鉄道”の駅なのだ!











本当に「線路の上に市場が立っていて、列車が通る時だけ市場がよける」状態なので、車窓のすぐ真下のレールとの隙間には市場の商品が並べられたままの状態だ!
…列車が通る直前に一斉に屋台を片付けて日除けを畳む様子から、メークロン駅周辺の線路上市場は“傘たたみ市場”と呼ばれ親しまれているらしい。
果たして親しんでていいのかどうか、余りにもスリリングで危なっかしい市場通過に列車上の僕までヒヤヒヤしっ放しだが、今まで重大な事故が起きたという話も聞かないのでどうやら「何とかなっている」ようだ。






列車は無事に駅構内を通過して線路の上に市場が戻り、メークロン駅に到着した。
バーンレーム駅からここまでの運賃はエアコン無し車両で10バーツ(約30円)。








メークロン駅でも線路はマハーチャイ駅同様に川で途切れている。だが、この川の向こう岸にはもう線路は続いていない。
ここが正真正銘のマハーチャイ線・メークロン線の終着駅だ。


そして、メークロン線の線路を遮るかのように流れるこの川こそ路線名ともなっているメークロン川。
…大ヒットした戦争映画「戦場にかける橋」の舞台として有名なクワイ川の下流域に当たる。
映画ではこの川の上流部に泰緬鉄道の橋がかけられるが、メークロン線では今後もこの川に橋をかけて延伸する事は無いだろう。僕もそろそろ、旅を終えてバンコクに戻ることにする。


帰りの列車も、“傘たたみ市場”をかき分けるようにして出発!
何とか無事に市場をすり抜けて、一路バーンレーム駅、そしてバンコクを目指す。



バンコクのウォンウィエンヤイ駅から“傘たたみ市場”のメークロン駅まで、乗車時間は合計約2時間と途中のターチーン川の渡し船に小一時間。
きっぷ代はエアコン無しならたったの10バーツずつ。
タイ国鉄マハーチャイ線・メークロン線の旅は、特にあても無くふらりとどこかに出かけたくなったときにうってつけの、日常を忘れる不思議な小旅行だ。
もしあなたがタイ王国を訪れて大都会バンコクの喧騒に少々疲れたなら、旅の一日を“傘たたみ市場”を見に行く列車に乗って過ごしてみるのも、きっと悪くない筈。


11:バンコク街歩き食べ歩きに続く

今日もマヤ34形高速軌道試験車(マヤ検)が鹿児島本線を走りました

2016-10-16 | 鉄道

昨日(平成28年10月15日)は八代花火大会臨時列車が行き交い、賑やかだった熊本駅以南の鹿児島本線。
(→八代花火大会臨時列車2016
一夜明けて今日も、ちょっと珍しい列車が走りました。
「ななつ星」カラーをまとったディーゼル機関車DE10が牽くマヤ34形高速軌道試験車(通称:マヤ検)です!

…って、実はマヤ検も3週間ほど前の夜にやって来たばっかりなんですけどね(笑)
(→八代駅と有佐駅にマヤ34形高速軌道試験車(マヤ検)がやって来た!











せっかくの花火大会の日なのに小雨がそぼ降り、生憎の天候だった昨日とはうって変わっての秋晴れの空の下を走り去った、真昼のマヤ検でした。

※撮影地:鹿児島本線有佐駅付近

おまけ画像


九州横断特急の区間廃止後、鹿児島本線の数少ない俊足列車となっている熊本―人吉間直通の快速列車。
何の変哲もないただのキハ47ですが…国鉄型ということもあってか、鉄道愛好家には地味に人気があるらしい(笑)

2016年夏休みマレーシア・タイ旅行記 9:バンコク・メトロMRTパープルラインに乗ってみた

2016-10-16 | 旅行記:2016 マレーシア・タイ
Photo:バンコク・メトロMRTパープルラインの日本製電車


8:バンコク科学博物館(SCIENCE MUSEUM)からの続き

タイ王国の首都バンコク市内を縦横に結ぶ都市交通網として、高架鉄道のスカイトレインBTSと地下鉄のメトロMRTがある。
スカイトレインBTSとメトロMRTは現在、それぞれ既存路線の延伸と新路線の整備事業が進行中で、このうちメトロMRTはちょうど今年の夏(2016年8月6日)に新路線のパープルラインが正式に開業を果たした。

バンコク・メトロMRTパープルラインはバンコク市内とバンコク都市圏として急速に発展が進む北部のノンタブリー県とを結ぶ路線で、パープルラインの開業によりバンコク市街地と直結されるノンタブリー県の沿線はバンコク郊外の新興住宅地として更なる人口増加と発展が期待されている。

そして、パープルラインが注目されるもう一つのポイントは…
パープルラインで使用される車両をはじめとする鉄道運行システムのインフラ一式の製造建設から運行管理やメンテナンスまでを全て、日本のJR東日本をはじめ東芝や丸紅が参加して合弁で設立した共同事業体が担うという事である。さらにこれらは全て、日本による政府開発援助(ODA)の円借款で賄われる。

まさに“日本がタイに作った日本の鉄道”であるバンコク・メトロMRTパープルラインに、早速僕も乗ってきました!



…だがしかし。
バンコク・メトロMRTパープルラインに乗るのは、今はまだなかなか大変なのだ。
パープルラインのバンコク市街地側始発駅となるタオプーン(Tao Poon)駅は、既存のメトロMRTやスカイトレインBTSの路線とは一切接続していない「孤立駅」状態。
本来なら新路線パープルラインの開業に合わせて既存のバンコク・メトロMRTブルーラインも延伸開業して、タオプーン駅でパープルラインとブルーラインがめでたく接続される事になっていたのだが、そこは万事のんびりとしたお国柄のタイのこと。
大方の予想通り(笑)ブルーラインの延伸工事が大幅に遅延しており、やむを得ずパープルラインのみが先に開業する事態となったのである。
…まぁ、タイではよくあることなんだけど。ちなみにブルーラインの延伸工事は今年中には完了する予定だそうです。焦らず待とう!

という訳で、今のところはバンコク側からパープルラインに乗る為には、ブルーラインの終点バーンスー駅から無料のシャトルバスに乗ってタオプーン駅に向かうことになるが、このシャトルバスの案内表示は全て難解なタイ語のみ!
バーンスー駅前のどこからシャトルバスに乗ればいいのか、どのバスがタオプーン駅行きシャトルバスなのか、タイ語を読み書きできない外国人にはさっぱり解らない。

だが、そこは“微笑みの国”タイ。
駅前にいる人をつかまえて、片言英語と身振り手振りとスマホの画面入力文字を駆使した超絶コミュニケーションで、どうにかシャトルバスに乗ることができた。
わざわざおまわりさんを探して一緒にシャトルバス乗り場を探してくれたおねえさんと、僕がバスに乗るまで見送ってくれたおまわりさん、どうもありがとう!


パープルラインの駅コンコースには、この鉄道が日本のODAでつくられた事を示す看板が掲げられている。
タイ国旗と並んだ日の丸を見ると、タイの人たちの暮らしの役に立つものをつくることができたということが、日本人として何とも嬉しくて誇らしい気分になってくる…

そしてこれが、日本でつくられたバンコク・メトロMRTパープルラインの電車だ!



始発駅で折り返すパープルラインの電車。
前照灯が点灯して、出発準備完了!




車内はこの通り。
パープルラインの名の通り紫色のロングシートの座面が硬いプラスチック製なのが特徴だが、インテリアデザインは日本の「JR東日本の電車」そのものの雰囲気だ。


車端のデッキ部に貼り付けられたメーカーズプレートのステッカー。
J-TREC(総合車両製作所)が開発したステンレス製電車「sustina」のブランドロゴも描かれている。


乗降ドア上には外国人にも分かりやすい英文併記の路線案内表示モニタが設置されている。
…だが、このモニタは故障していて正常な電車の位置を表示していなかったぞ。タイのお客さんが困らないように早くメンテナンスを頼むぞ、我らが日本企業!


パープルラインの沿線風景は、まだ開発の進んでいないのどかな田園や農村風景の中を高架橋で突っ走っていくイメージである。
だが、やがてパープルラインの開業効果でこの風景もビルやマンション、ショッピングモールが立ち並ぶ都市近郊のものに変化していくことだろう。
そしてパープルラインの電車の乗り心地は、まさに日本のJR東日本の東京近郊の電車そのもの!ただ、座席はプラスチック製なのでちょっとお尻が痛くなるけどね(笑)


チャオプラヤ川を渡ると、バンコク都市圏を離れてノンタブリー県に入っていく。




タオプーン(Tao Poon)駅を出てから20km余りの距離を走って、終点のバンパイ運河(Khlong Bang Phai)駅に到着。
パープルラインの終点の周辺には整備工場を併設した巨大な車両基地と、今後バンコクと直結した新興住宅地として変貌を遂げそうな郊外の風景が広がっていた。






バンパイ運河駅に到着したパープルラインの電車は、一旦駅構内から引き揚げ線に出た後、島式ホームの反対側に再入線して折り返しのタオプーン駅行きとなる。

…かくして、まだ完全な態勢が整ったとは言えないものの何とか走り始めたバンコク・メトロMRTパープルライン。
開業直後で、しかも他路線と接続できていないということもあってか乗客数はそれ程多くなく、沿線の開発もまだまだこれからで静かな走り出しとなったイメージではあるが、今後タオプーン駅でのブルーラインとの接続が完了すれば利便性が飛躍的に向上するので、乗客数は大幅に伸びる事が期待できる。
さらに、バンコク・メトロは今後パープルラインのバンコク南部への延伸も計画しているとのことなので、これからバンコク都市圏のエネルギッシュな発展の牽引役となっていきそうなパープルラインの今後に大いに期待したい。

若い力を秘めたこれからの国タイの首都バンコクの経済発展とタイの人々の暮らしの更なる向上に役立つために、
頑張って走れ“日本がタイに作った日本の鉄道”バンコク・メトロMRTパープルライン!


10:線路の上の市場 タイ国鉄マハーチャイ線・メークロン線の旅に続く