酒と葉巻とラーメンの日々 つれづれ日記 

無欲恬淡 酒と葉巻とラーメンを好む出張男の別荘・投資生活の実態をさらけ出します

アルケミスト

2008-05-18 13:19:39 | 日記
 さて、「アルケミスト」を読みとおして(全て通勤電車中)、再初に感じたのはサンテグジュペリに似ているということかな。箴言の多い平易な文体は読者に与える印象が強い。飛行機乗り、登山家の文章に近い。後書をみて思った。やっぱりこの作者、旅人であったか。

 話中でてくるいくつかの言葉 “前兆” ・ “マクトゥーブ”が効果的に働いて、読者は神秘にめまいする。また、イチジクの木やスカラベ(スカラベ・サクレ)は説明の要らぬ、本読に好みの言葉だ。いや、少なくとも僕には。途中詩を作る子供の親と天使の話が出てくるが、これは冗長にすぎて舌ったるい。他にも縮めて全体を早くすることの出来る部分が多々あるが、これは作者の意図か。

 サンテグジュペリの「星の王子様」は、その文章の速さ陶酔感をもってそれを愉しんで読んだ記憶があるけど、アルケミストにはそれが足りない。全体としてとても素敵な話だが、一枝をみるとそんな未完成な部分が目立つから、なおさら残念に思うのだ。

 僕の旅はじつは始まったばかりだ。これからもこういった素晴らしい本が僕を通りすぎてゆくだろう。しかしながら、20年来待っているのは、そういった本ではなく、風。遠くから、もしかしたら直近くから吹いてくるはずの、キスの感触を運んでくるであろう風であった。

 白虹さん、ありがとう。

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