心明かすな
夏よ去れ
目は閉ぢて
目蓋はかろし
蜘蛛の糸
雨には切れず
切れぎれに
思うわれかな
小林秀雄は詩を書く作家ではありませんが、中原中也が亡くなってすぐに「夏よ去れ」「死んだ中原」の2本だけ書いています。中也の死と中也に恋していた小林から別れのはなむけとして書かれたと僕はみています。そもそも小林が詩を書いたことあるかとか、地獄の季節訳にしてもあまりにも淡白で言葉選びが悪いとかいろいろ言われてはいますが、僕は「死んだ中原」だけは滋味深いと思っています。
さて標題の夏ですが暑さは既にピークを過ぎており、台風後は次第に秋の気配が漂うようになるでしょう。そう久世さん流に書けば「晩夏の匂い」する頃なのでしょう。
湯沢町の目抜き通り、商店街の端っこに質素なガーデニングがしてあったのが眼にとまりました。ゼラニウムが眩しくて夏の終わりを感じさせますが、それにも増して青バケツの色使いが抜群で、このガーデニングした方は天才だななんて思いました。
町中は丁度30℃ですから決して涼しくはない。ないけど街道や町道に工事が入るということは間違いなく季節は変わっていて、道路なんて毎年傷んでゆくものだから、何度も何度もアスファルトを塗り直してはおしろい直しを繰り返します。夏場にこれやってもアスファルトがうまく固まらないので秋になると工事は始まります。ここには「田舎の秋の匂い」するものです。
何しろここ数年夏場の日照がすごくって、また同時に渇水が続いたものだから魚沼の米が白っぱくれてしまい、随分評価が下がってしまいました。今年は水は相変わらず少ないけど、渇水ではないから大丈夫なんだそうです。新潟は米が基本にあって住人は米を育み収穫し、秋のお祭りと相成ります。
米不足だなんて心配しなくてよくて、そのうち新米の出荷が始まります。早生種はすでに出荷されてますよね。ただし米については計画農業だから農水省思うところあって、米価上げたいのではないかな。現在お米の価格が急騰してますが、新米が市場に入ってきても国民がまた米を食わなくなっても価格は高いまま推移すると思います。
夏の終わりはいつでも寂しい。寂しくて人肌が恋しくなりますが、生憎僕はあの「人間の生きた匂い」が大嫌いでして、こうして心穏やかに「雨の匂い」に包まれてうっとりしています。
2024/09/03 12:37 亀戸 Pad6
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