宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

火星に深さ1.6キロの海があったかも、約40億年前に…

2015年03月21日 | 火星の探査
高性能望遠鏡を使った観測によると、
40億年前の火星には深さ1.6キロ以上の海があって、
火星の表面のかなりの部分を覆っていたようです。
NASAの火星探査車“キュリオシティ”が撮影した、
火星のゲールクレーターの
“グレネグル”地点に見られる沈殿物。

川底にあった小石、
古代の海岸線や河口の三角州、そして水中で形成された鉱物など…
火星の表面に水が存在していたことを示す痕跡は、
これまでに多数見つかっています。

今回の研究でも、火星にかつて大量の水があったとする推測を、強く裏付けるものになっているんですねー


今回の証拠は、火星の大気中に残っている水蒸気の分析から得られました。

NASAのゴダード宇宙センターの研究チームは、
火星の表面で反射して、大気中を通り抜けてくる太陽光を測定。
そして、大気中の水蒸気の化学組成を明らかにしています。

水は水素と酸素からできていますが、
火星でも地球でも、水素の安定同位体は2種類あります。

1つは、原子核が陽子1個からできているふつうの水素(軽水素)で、
もう1つは、陽子1個と中性子1個からできている重水素です。
NASAの火星探査機“バイキング1号オービター”が撮影した画像では、
火星の薄い大気が確認できる。

火星が形成された当初は、
火星の水に含まれる水素と重水素の比率は、地球の水と同じでした。

でも、重力が小さい火星では、
大気中の軽い水素が、徐々に宇宙空間に逃げ出していってしまいます。

なので、いまの火星の水に含まれる重水素の割合は、
地球の水の7倍にもなっているんですねー

そして研究チームは、
この差が生じる原因となった、水素の逃げ出し速度を見積もることで、
かつて火星に存在していた水の量を計算できることに気付くことに…

計算の結果、水の量はひじょうに多く、
一様な深さで火星表面を覆っていたとしたら、
その深さは約137メートルになると推定されました。

でも実際には、標高がかなり低い北半球に海ができていて、
場所によっては水深が1.6キロ以上もあったそうです。


ただ、火星の水はもっと多かったと考える科学者もいるんですねー
今回の結果は、火星の表面にたまっていた水の最小値でしかないと指摘しています。

火星の初期の大気は重水素の比率が異常に高く、
その大半が、ふつうの水素とともに宇宙空間に逃げ出したと推測しています。

もし、そうだとすると、
今回の水素と重水素の比率に基づく計算は、不正確だということに…

いずれにせよ、かつて火星に大量の水が存在していて、
その水のほとんどが、極冠にある氷ではなく、液体の形で存在していたこと。

すなわち、当時の火星が、いまよりはるかに温暖だったことを示す証拠が、
どんどん蓄積してきています。

古代の火星が、
生物の生存に適した化学的環境であったことも分かってきたので、
火星に生命が存在していた可能性が、いっそう強くなったと言えますね。