2月10日、ヨーロッパ宇宙機関の太陽探査機“ソーラーオービター”が打ち上げられました。
“ソーラーオービター”は太陽を斜めに周回する軌道に投入され、これまで見ることができなかった太陽の両極域を観測するんですねー
太陽の両極域は、太陽活動を理解する上でカギになると考えられている部分。
なので、見たことのない画像や新しい発見が期待できますよ。
初めて太陽両極を観測する探査機
日本時間の2月10日13時3分、ヨーロッパ宇宙機関の太陽探査機“ソーラーオービター”が打ち上げられました。
“アトラスVロケット”に搭載された“ソーラーオービター”は、アメリカ・フロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地を離床。
ロケットは順調に飛行し、14時24分には太陽電池パネルが正常に展開されたことを示す信号をドイツの運用センターが受信、打ち上げの成功が確認されます。
打ち上げ後の最初の2日間で“ソーラーオービター”が行うのは、観測装置の準備とアンテナの展開。
アンテナは地球と通信するとともに、観測データを集めるためのものです。
“ソーラーオービター”には10種類の観測装置が搭載されていて、太陽の大気や太陽風、磁場などを調査します。
観測手法は探査機の周囲の電場・磁場などの測定と、太陽とそこから噴き出してくる物質の計測とリモート・センシングの2つ。
2021年11月末まで“ソーラーオービター”は周囲の情報を測定しつつ、リモート・センシングに関する機器のチェックを行いながら太陽に近づくことになります。
その間に行われるのが3度の軌道変更“フライバイ”です。2020年12月と2021年8月に金星の重力、2021年11月には地球の重力を利用することになります。
2年以内に初期運用軌道である太陽を周回する長楕円軌道に投入されることになる。
その後、特に重要となる金星へのフライバイを行います。
このフライバイによって、探査機は地球やその他の惑星が太陽の周りを回る公転面から離れ、太陽を斜めに周回することになるんですねー
惑星の近傍を通過するとき、その惑星の重力や公転運動量などを利用して、探査機の速度や方向を変えることができる。燃料を消費せずに軌道変更と加速ができる。このような飛行方式をフライバイあるいはスイングバイという。
これまで地球や人工衛星、探査機からは見ることができなかった太陽の両極域は、太陽活動を理解する上でカギになると考えられている部分です。
この領域が観測し易くなるので、今まで見たことのない画像、新しい発見が期待されます。
2つの太陽探査機による相互補完的な観測
“ソーラーオービター”には摂氏500度に耐えられる熱シールドが備わっています。
これは、太陽から約4200万キロ(太陽~地球の約1/4の距離)の距離を保って周回するからです。
太陽に最も近い水星の公転軌道のすぐ内側、この過酷な環境で“ソーラーオービター”は摂氏500度の温度と、太陽から放出される高エネルギーの粒子に晒されることになります。
太陽両極の観測などで期待されるヨーロッパ宇宙機関の“ソーラーオービター”ですが、実はNASAも大きく協力しています。
2018年に打ち上げられたNASAの太陽探査機“パーカー・ソーラー・プローブ”との相互補完的な観測では、異なる2つの太陽探査機が協力してデータを集めることになります。
これにより、単独のミッションよりも多くの成果を得られることが期待できます。
“ソーラーオービター”には太陽を直接撮影できる6つの機器が搭載され、“パーカー・ソーラー・プローブ”の膨大なデータを補完することになる。太陽の非常に近くまで接近する“パーカー・ソーラー・プローブ”では、カメラのセンサーがその高熱に耐えることができない。太陽を撮影できない“パーカー・ソーラー・プローブ”にとって、“ソーラーオービター”の観測機器は極めて重要な助けになる。
太陽で高速プラズマ雲の放出“コロナ質量放出”が起こると、数日後に地球に到達して、地磁気が一時的に弱まる現象“磁気嵐”が発生することがあります。
“磁気嵐”は規模が大きくなると、極域で見られるオーロラが活発になるだけでなく、低緯度の地域でもオーロラが見れることも…
さらに、大規模な“磁気嵐”は、私たちの生活とも密接に関連していて、地上の送電設備や人工衛星へ障害を与えることもあります。
変化する太陽のふるまいを司る隠された力や、太陽が地球に及ぼす影響などなど……
多くの事柄がこれまで以上に明らかになり、いまだに謎の多い現象の解明に近づければいいですね。
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なので、見たことのない画像や新しい発見が期待できますよ。
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日本時間の2月10日13時3分、ヨーロッパ宇宙機関の太陽探査機“ソーラーオービター”が打ち上げられました。
“アトラスVロケット”に搭載された“ソーラーオービター”は、アメリカ・フロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地を離床。
ロケットは順調に飛行し、14時24分には太陽電池パネルが正常に展開されたことを示す信号をドイツの運用センターが受信、打ち上げの成功が確認されます。
打ち上げ後の最初の2日間で“ソーラーオービター”が行うのは、観測装置の準備とアンテナの展開。
アンテナは地球と通信するとともに、観測データを集めるためのものです。
“ソーラーオービター”には10種類の観測装置が搭載されていて、太陽の大気や太陽風、磁場などを調査します。
観測手法は探査機の周囲の電場・磁場などの測定と、太陽とそこから噴き出してくる物質の計測とリモート・センシングの2つ。
2021年11月末まで“ソーラーオービター”は周囲の情報を測定しつつ、リモート・センシングに関する機器のチェックを行いながら太陽に近づくことになります。
その間に行われるのが3度の軌道変更“フライバイ”です。2020年12月と2021年8月に金星の重力、2021年11月には地球の重力を利用することになります。
2年以内に初期運用軌道である太陽を周回する長楕円軌道に投入されることになる。
その後、特に重要となる金星へのフライバイを行います。
このフライバイによって、探査機は地球やその他の惑星が太陽の周りを回る公転面から離れ、太陽を斜めに周回することになるんですねー
惑星の近傍を通過するとき、その惑星の重力や公転運動量などを利用して、探査機の速度や方向を変えることができる。燃料を消費せずに軌道変更と加速ができる。このような飛行方式をフライバイあるいはスイングバイという。
これまで地球や人工衛星、探査機からは見ることができなかった太陽の両極域は、太陽活動を理解する上でカギになると考えられている部分です。
この領域が観測し易くなるので、今まで見たことのない画像、新しい発見が期待されます。
太陽探査機“ソーラーオービター”の打ち上げ~太陽への旅 |
2つの太陽探査機による相互補完的な観測
“ソーラーオービター”には摂氏500度に耐えられる熱シールドが備わっています。
これは、太陽から約4200万キロ(太陽~地球の約1/4の距離)の距離を保って周回するからです。
太陽に最も近い水星の公転軌道のすぐ内側、この過酷な環境で“ソーラーオービター”は摂氏500度の温度と、太陽から放出される高エネルギーの粒子に晒されることになります。
太陽両極の観測などで期待されるヨーロッパ宇宙機関の“ソーラーオービター”ですが、実はNASAも大きく協力しています。
2018年に打ち上げられたNASAの太陽探査機“パーカー・ソーラー・プローブ”との相互補完的な観測では、異なる2つの太陽探査機が協力してデータを集めることになります。
これにより、単独のミッションよりも多くの成果を得られることが期待できます。
“ソーラーオービター”には太陽を直接撮影できる6つの機器が搭載され、“パーカー・ソーラー・プローブ”の膨大なデータを補完することになる。太陽の非常に近くまで接近する“パーカー・ソーラー・プローブ”では、カメラのセンサーがその高熱に耐えることができない。太陽を撮影できない“パーカー・ソーラー・プローブ”にとって、“ソーラーオービター”の観測機器は極めて重要な助けになる。
太陽で高速プラズマ雲の放出“コロナ質量放出”が起こると、数日後に地球に到達して、地磁気が一時的に弱まる現象“磁気嵐”が発生することがあります。
“磁気嵐”は規模が大きくなると、極域で見られるオーロラが活発になるだけでなく、低緯度の地域でもオーロラが見れることも…
さらに、大規模な“磁気嵐”は、私たちの生活とも密接に関連していて、地上の送電設備や人工衛星へ障害を与えることもあります。
変化する太陽のふるまいを司る隠された力や、太陽が地球に及ぼす影響などなど……
多くの事柄がこれまで以上に明らかになり、いまだに謎の多い現象の解明に近づければいいですね。
2つの太陽探査機のイメージ図。(左)ヨーロッパ宇宙機関の太陽探査機“ソーラーオービター”、(右)NASAの太陽探査機“パーカー・ソーラー・プローブ” |
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