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土星の衛星タイタンで液体メタンに浸かった渓谷を発見

2016年08月19日 | 土星の探査
窒素とメタンで覆われた衛星タイタンは、
地球以外で唯一、地表に安定した液体が存在する天体です。

今回、NASAの土星探査機“カッシーニ”が、メタンに浸かった渓谷の証拠を発見しました。

発見があったのは、土星最大の衛星タイタンの北に位置するリゲイア海。

“カッシーニ”のレーダー装置により、
タイタンには炭化水素(メタン)に浸かった荒々しい渓谷が確認されました。
“カッシーニ”がとらえたメタンに浸かった渓谷の画像

これまでもタイタンには、液体メタンで出来た川や海があることは分かっていました。
でも、その渓谷が観測されたのは今回が初めてのこと。

この渓谷は“Vid Flumina”と呼ばれ、40度という鋭い角度の壁が存在していて、
渓谷の幅は0.8キロ以下で、炭化水素の深さは最大で570メートルもあります。

この渓谷は勾配が急なので、
地殻運動や海面レベル変化によって現れたものと考えられています。


メタンが循環する環境

土星の衛星タイタンは厚い大気と湖、川、海を持ち、
太陽系の中で最も地球に似た天体と言えます。

でも、その極寒の表面にあるのは水ではなく、
メタンやエタンのような有機分子の液体なんですねー

地球では水の雨が降り、川となって海に流れ、蒸発してまた雨になるのですが、
タイタンではエタンやメタンといった炭化水素が循環しています。

また、タイタンの大気は、
太陽光と土星の磁場のエネルギーによって、
多彩な有機分子が作られる“天然の化学工場”として、
長く研究者の興味を引き付けてきました。

現在のタイタンの大気は、
生まれて間もないころの地球の大気と、
化学的な特徴が似ていると考えられています。

地球に似ているとはいえ、タイタンの地表温度はマイナス170度…
液体メタンが流れる環境で暮らすのは難しそうですね。


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